その身を賭けろ

プロローグ

　中原旭（なかはらあさひ）は酷く追い詰められていた。
　人には決して負けられない勝負というものが存在する。死んでも勝たなければいけない、と思うような大勝負。今はまさに、そんなギャンブルの真っ最中。
　
　旭は残念ながら性格の面においても運に関しても、賭け事には向いているとは言いにくい。どうしたら勝てるのか多少は考えるが、基本的に細かいことは気にしない。引き際もわからない。したがって、凄腕のギャンブラーに挑むという無謀なこともやってしまう。最後には自分が勝つんだから大丈夫だという根拠のない自信によって。
　
　そして、行きつく先は奈落の底。