弟を好きになりました

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それからの2人

さくら

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 桜並木を弟と二人並んで歩く。君が小さい頃は、手を繋いで歩いたけれど今はその手を伸ばせずにいる。
 あたりに舞い落ちる花びらがまるで雪みたいに見えて、空を仰ぐと綺麗な晴天。
 手のひらに落ちた花びらはとけずにそのまま残り、上からもう一つの手が重ねられた。
 
「兄さん」
 
 弟から伸ばされた手を握り返して、笑う。
 
「綺麗だね」
「うん。桜さく……。去年は、いっそう綺麗に見えたっけ」
「律が落ちるはずないのに、白々しい」
「わかりきっていても、結果が出るまでは多少緊張するよ」
 
 緊張とか。余裕の笑み浮かべていたくせに。今だって、恐れる物は何もないって感じに、手を重ねてきたくせに。
 そのまま繋いでしまいたかったけど、やっぱり周りが気になって手をおろした。
 律が高校へ上がって一年間、いろいろあったなあ。主導権握られっぱなしだった。今年度は、少しは変わるかな。
 正月にも似たようなこと考えたけど、結局あれからもずーっと律のペースだ。
 あんなことや、こんなこと……されたり……。
 うう、まずい。思い出したらこんなところで、身体が……。
 
「り、律、ちょっと……そこのベンチで休んでいこう」
「え? ああ、うん」
 
 近くにちょうどベンチがあったので、しゃがみ込むのは免れた。
 春用のコートで前を隠すようにしつつ、ゆっくり座る。
 
「で、どうしたの、それ」
 
 バレバレだった。
 
「う。その……律との一年を振り返ってたら、こんな……。り、律のせいだからな、外とかでも、いろいろ……したりするから」
「僕のせいじゃなくて、ほとんど兄さんのせいだと思うな。今だってそんな可愛いこと言っちゃって。無理矢理連れ込んで、犯したくなる」
「ば、馬鹿ッ……」
「割りと本気。本物の僕が目の前にいるのに、妄想だけでこんなになってるなんて失礼じゃない? お仕置きだね」
 
 そう言って律は、俺の前に背を向けてしゃがみこんだ。
 
「な、何……?」
「乗って。背負って家帰るから。ベンチで押し倒されて捕まりたくなかったらね」
「そっ……そんな」
「兄さんだって早くしたいでしょ?」
「う……うう」
 
 そして素直に背負われてしまう俺。
 
「っ……ん、や……」
 
 勃ってるそこを、律の背中に押しつける形になってしまって、歩かれる度に振動が伝わってやばい。
 律におんぶしてもらいながら、その振動でイキそうになってるなんて最悪すぎる。恥ずかしすぎる。頑張って耐えないと……。
 前は俺が律を背負っていたのに、なんでこんなことに。
 
「あ、あ……っは」
「やらしー声出しちゃって……。僕も我慢できなくなっちゃうから、ちょっと抑えて。家でなら、いくらでもしてあげるから」
 
 欲しい。早く、律が欲しい。
 お仕置きだなんて言うけど、お仕置きになんてならない。今なら俺、律に何されてもきっと、悦んじゃうから。
 ……でも、顔が見たいからできたら前からしてほしい。
 律の髪に触れた桜の花びらをそっと唇で挟んで、ぎゅうっとしがみついた。 
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