弟を好きになりました

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キャンプ編

キャンプへ行こう!

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※弟視点
※時系列的には高1の夏あたり



 兄さんが旅行へ行こうと言い出した。
 明日から夏休み。突然言われて多少驚いたけど、僕が断るはずはない。
 でも、今までそんなことを言ったことはなかったのに……。中学生を泊まりで連れ歩くのはさすがに躊躇いがあったのかも。
 兄弟で旅行へ行くくらい、場所を選べば普通なのにね。

 裏にやましい気持ちがあるから、余計に気になるのかな。
 何しろ、兄弟ではあるけど、僕らは恋人同士でもあるから。
 
「いいよ、どこ行くの?」
「キャンプへ」
「キャンプ……」
 
 これまた色気がない。できればもう少し……。温泉旅行とか……。
 
「……嫌か?」
「まさか。兄さんとの旅行、断る訳無い」
「良かった。ありがとうな、律!」
 
 これくらいで凄い喜びよう。可愛いなあ。
 
「で、いつから」
「一週間後かな」
 
 さすがに、明日からいきなりとかじゃなかったか。
 
「うちキャンプ用品とかあったっけ……。休みに一度、買いに行く?」
「いや、全部レンタルだから。コテージだし。まあ、ほとんど自由時間だから安心してよ」
「え? 自由時間?」
「え?」
 
 せっかく二人で行くのに自由時間なんて作られても。
 あ、まさか家族旅行? さすがにまさかだよね。子供の時だってろくに連れて行ってもらえなかったのに。
 
「社員旅行なんだ。家族を連れて行ってもいいって言うからさ。言わなかったっけ?」
 
 聞いてません、お兄様……。
 大体社員旅行でキャンプって。
 まあ、僕を置いて海外とかに行かれても困るから、マシと言えばマシか。
 
「律が来てくれるなら、離れなくて済むから嬉しいよ」
 
 それであんなに、やたらと喜んでたのか。
 兄さんが社員旅行へ行ったって話は聞かないし、今まで断ってきて今年はさすがに、ってとこなんじゃないかなと予想。

 社員旅行なら尚更一人で行かせる訳にはいかないな……。僕にとっては同僚をチェックできるチャンスだし、ちょうどいいか。
 
「自由時間はずっと、僕と二人でいてくれなきゃやだよ?」
「それはもちろん! ……むしろ俺が、一緒にいたいし……」
 
 そこまで言って、兄さんが俯いて上目遣いに僕をちらっと見た。
 
「何?」
「俺の弟はこんなかっこよくて可愛くて素直でいい子なんだって自慢したかったんだ」
 
 あーあ……相変わらずの兄馬鹿。
 僕は兄さんの顔を上げさせて、触れるだけのキスをした。
 
「俺の恋人はっていうのも、追加しといて」
「……ウン」
 
 さすがにそこは、他人には言えないだろうけど、忘れてもらっちゃ困るところ。 
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