9 / 46
第三幕
2踏目
しおりを挟む
身体に毛布をかけられる感触。溜息の音。
直人さん帰って来たんだ。どうしよう寝ちゃってた。
今起きればお仕置きしてもらえるかな。それとももう少し引き伸ばした方がより凄い……ハァハァ。
「凄いにやついた顔……」
しまった、顔に出てしまったらしい。
しかも鼻つままれた! 口閉じてるのに。無理矢理起こそうってことか。
「いい夢見てんのか」
けど指はパッと離れていって、今度は衣擦れの音。ネクタイをほどく音ってどうしてこうエッチなんだろう。生着替え、直に見たい……。
あぁ、直人さん。直人さん、直人さーん……。
ぎしりとベッドが軋む。まさかこのまま寝る気!?
これはまずい、起きないと、お仕置きが。
「う、んー……」
わざとらしく声を出してから目を開けて直人さんを見る。
「お帰りなさい、僕寝てしまって! どんなお仕置きでも受けますから、許してください!」
「判った、許すから家へ帰れ」
「えええええ!」
「眠い」
時計を見れば朝の六時。さすがの僕も待ち切れず眠ってしまう筈だ……。
ご主人様の眠りを妨げる訳にもいかず、今日もぽつーん。というか仕事だ。直人さんは普段忙しそうにしてるけど今日は休みなのかな。
そっか。きっと仕事で忙しかっただけだ! それで帰れなかったんだ!
なんか香水の匂いとかするけど……。ポケットにSMクラブのチラシとか入ってるけどっ!
僕がいるのにいい! いくらでも殴ってくれて構わないのに、僕以外の人を殴るなんて!
でも……。寝てる僕に毛布をかけてくれた優しさは信じていいよね?
これは恋人に対する優しさだよね?
泣いても仕方ない、信じよう。
寝ている直人さんの髪を恐れ多くも少し撫でて、柔らかくキス。
これくらいいいよね……。寝てるし。恋人同士なんだし。
朝食を直人さんのために作って、僕は駅前でカロリーメイト。
さあ、今日も一日頑張って、帰ったら恋人同士の語らいをしに行くぞー!
「また来たのか……」
大きな溜息をつかれた。恋人同士なのにうんざりした表情、酷い……。ぞくぞくする。
「お邪魔します」
遠慮なく上がり込んで部屋の隅に座る。
「お前図々しいのか謙虚なのか判らないな」
直人さんがクッションに座ってテレビを見ながら、僕を手招きした。
傍へ行ってもいいってことだ。
どうしよう、嬉しい……!
そろそろと近寄って、そっと寄り添ってみる。
……怒られない。
「馬鹿みたいに嬉しそうな顔しやがって」
肩を抱き寄せられる。キスをされて、気付けば天井を見ていた。
「あ、あの……直人さん?」
「黙ってろ」
直人さんはそのまま僕の腹の上に座った。まるでソファにでも座るように、横掛けに。
おっ、お尻の感触がッ……。ああ、撫でたい舐めたい突っ込みたい。
「あの……」
「黙っていろと言ったはずだぞ」
体重をかけられて、お腹に心地よいというよりは苦しさが走る。
僕にとってはもちろん、その苦しさが快感だ。尻の感触とあわせて勃起しそう。
直人さんはそのままテレビを見始めた。二時間くらい、僕を椅子にしままま。
僕はずっと直人さんの横顔と尻を眺めていた。
興奮しすぎてテレビなんか見てる暇ないって、やばい!
昨日お仕置きできなかったから、これがそうなんだ。覚えててくれた……。
僕が感動に打ち震えていると、直人さんが近くにあるリモコンを拾ってパチリとテレビの電源を切った。
「お前、本当にどうしようもないマゾだな」
「も……もっと言ってください、ハァハァ」
「……くそっ」
サンドバッグみたいに思い切り殴ったり蹴ったりされた。気持ち良すぎてイッた。
僕はこれでも快感になるけど、なんだかプレイっぽくないし、直人さんらしくないと思う。
まだらしくないと言えるほど長い時間を一緒に過ごした訳じゃないけど、そんな気がした。
「何かあったんですか?」
「さぁな」
今度はさっきと違って、馬乗りになられた。
「気が変わった、抱かせろ」
えええええっ! 何この展開!
突っ込む突っ込まれるを抜きにしようって言ったのは直人さんなのに!
「やっ、嫌だ、やめてください!」
「お前これだけは嫌がるんだな……」
「だって抱きたいですもん! 僕は絶対中じゃ気持ちよくなれないです!」
「マゾのくせに。濡らさないで突っ込んでやるよ。ずたずたになって気持ちいいぜ、きっと。俺のこと好きなら、抱かせな」
その言い方は狡い。でも、僕は……貴方を抱きたい。
「嫌です。抱きたい。抱きたいです」
「くくっ……。冗談だ、本気になるなよ」
直人さんは笑って僕の上から降りた。訳が判らない。
「でもお前の嫌がる顔は悪くないな」
「そ、そうですか?」
「ああ、すっとした」
それはなんか違う気もするうぅぅ。
……でもいいか。褒めてくれたんだと思っておこう。うん。
恋人同士で凄く幸せなはずなのに、なんだか直人さんが遠い気がする。
もっと僕を頼ってくれてもいいのになあ。
サンドバッグがわりにはしてくれたか。役に立てたなら嬉しいけど。
「直人さん、キス……していいですか?」
「ダメだ」
口付けたらなんか判る気がしたのに。ちぇっ。
直人さんの隣で真ん丸く縮まっていると、ぐいっと顔を引っ張られた。
え!? サンドバッグの続き!?
「っ……」
キス、されてた。しかも舌が入ってくる。
絡められて歯の裏ぬるぬるってされて気持ちいい。
思わず腕を回してしがみついた。スーツとは違う、スウェットの柔らかい感触が心地いい。
「ん、ん……」
舌の先を強めに噛まれて、背を波立たせる。
「僕もしたい……」
キスの合間に希望を告げると咎めるようにまた唇を塞がれて、今度は鉄の味が滲むほど歯を立てられた。
あぁう……。そんなにされたら僕、イッちゃいそう……!
長いキスのあと、直人さんは男前に笑って自分の唇を湿らすように舌でぺろりと舐めた。
もう充分潤っててらてらしている唇に、それはことのほかエロイ仕種だった。
「なっ、な、直人さぁん!」
僕はもうたまらなくなって、その場に直人さんを押し倒した。
「さっきから中途半端に煽られて、僕もう……! 誘ってるんですか? 誘ってるんですよね!?」
「誰がいつ誘っ……」
言葉の続きを待たずにキスをした。
今は何にも言わせません。ただ僕のキスを受けていて。
「やめろ、今はそんな気になれない」
「奉仕を……ご奉仕をさせていただくだけですからぁぁ!」
きっとそれだけじゃ止まらない。最後までしてしまいたい。
ずっとお預けされて、それはそれで快感だけどさすがに僕だって限界がくる。
「ッ……よせ」
そう言いながらも直人さんの抵抗は弱い。
本当に嫌なら、直人さんは躊躇いなく蹴ったり殴ったりして止めることができるはず。
それをしないということは、少なからず僕は許されている……。
勇気付けられるようにねっとりと首筋を舐めあげる。
「好きなんです、本当に。どうしていいか判らないくらい」
直人さんは何も言わなかったけれど、僕に身を任せてくれた。
……後ろを舐めようとしたら、さすがに殴って止められたけど。
そうなってしまえば体格差や力的に僕が叶うはずもなく、結局僕がご奉仕しただけで終わってしまった。
殴られるだけでも気持ちいいけど、ちゃんとした性行為もしたい。突っ込んだり突っ込まれたりはなしというルールがこんなに辛いとは思わなかった。
きっと一度してしまったから余計に抑えがきかないんだ。童貞だった頃はきちんとできてないSMですら僕を快感の渦へと導いてくれていた。
今は容赦なく殴ってくれる直人さんがいて、充分なはず。
一つ欲求を満たすとどんどん欲張りになっていくっていうのは本当なんだな。
今日もベッドの隣で生殺し放置プレイ。
きっと明日も明後日もこうだろう。そう思うと酷くやるせない気分になる。
なのに結局は、来てしまうんだろう。恋人の元へ。
僕を殴ってくれる手の平と蹴ってくれる足、罵ってくれる愛しい声を求めて。
直人さん帰って来たんだ。どうしよう寝ちゃってた。
今起きればお仕置きしてもらえるかな。それとももう少し引き伸ばした方がより凄い……ハァハァ。
「凄いにやついた顔……」
しまった、顔に出てしまったらしい。
しかも鼻つままれた! 口閉じてるのに。無理矢理起こそうってことか。
「いい夢見てんのか」
けど指はパッと離れていって、今度は衣擦れの音。ネクタイをほどく音ってどうしてこうエッチなんだろう。生着替え、直に見たい……。
あぁ、直人さん。直人さん、直人さーん……。
ぎしりとベッドが軋む。まさかこのまま寝る気!?
これはまずい、起きないと、お仕置きが。
「う、んー……」
わざとらしく声を出してから目を開けて直人さんを見る。
「お帰りなさい、僕寝てしまって! どんなお仕置きでも受けますから、許してください!」
「判った、許すから家へ帰れ」
「えええええ!」
「眠い」
時計を見れば朝の六時。さすがの僕も待ち切れず眠ってしまう筈だ……。
ご主人様の眠りを妨げる訳にもいかず、今日もぽつーん。というか仕事だ。直人さんは普段忙しそうにしてるけど今日は休みなのかな。
そっか。きっと仕事で忙しかっただけだ! それで帰れなかったんだ!
なんか香水の匂いとかするけど……。ポケットにSMクラブのチラシとか入ってるけどっ!
僕がいるのにいい! いくらでも殴ってくれて構わないのに、僕以外の人を殴るなんて!
でも……。寝てる僕に毛布をかけてくれた優しさは信じていいよね?
これは恋人に対する優しさだよね?
泣いても仕方ない、信じよう。
寝ている直人さんの髪を恐れ多くも少し撫でて、柔らかくキス。
これくらいいいよね……。寝てるし。恋人同士なんだし。
朝食を直人さんのために作って、僕は駅前でカロリーメイト。
さあ、今日も一日頑張って、帰ったら恋人同士の語らいをしに行くぞー!
「また来たのか……」
大きな溜息をつかれた。恋人同士なのにうんざりした表情、酷い……。ぞくぞくする。
「お邪魔します」
遠慮なく上がり込んで部屋の隅に座る。
「お前図々しいのか謙虚なのか判らないな」
直人さんがクッションに座ってテレビを見ながら、僕を手招きした。
傍へ行ってもいいってことだ。
どうしよう、嬉しい……!
そろそろと近寄って、そっと寄り添ってみる。
……怒られない。
「馬鹿みたいに嬉しそうな顔しやがって」
肩を抱き寄せられる。キスをされて、気付けば天井を見ていた。
「あ、あの……直人さん?」
「黙ってろ」
直人さんはそのまま僕の腹の上に座った。まるでソファにでも座るように、横掛けに。
おっ、お尻の感触がッ……。ああ、撫でたい舐めたい突っ込みたい。
「あの……」
「黙っていろと言ったはずだぞ」
体重をかけられて、お腹に心地よいというよりは苦しさが走る。
僕にとってはもちろん、その苦しさが快感だ。尻の感触とあわせて勃起しそう。
直人さんはそのままテレビを見始めた。二時間くらい、僕を椅子にしままま。
僕はずっと直人さんの横顔と尻を眺めていた。
興奮しすぎてテレビなんか見てる暇ないって、やばい!
昨日お仕置きできなかったから、これがそうなんだ。覚えててくれた……。
僕が感動に打ち震えていると、直人さんが近くにあるリモコンを拾ってパチリとテレビの電源を切った。
「お前、本当にどうしようもないマゾだな」
「も……もっと言ってください、ハァハァ」
「……くそっ」
サンドバッグみたいに思い切り殴ったり蹴ったりされた。気持ち良すぎてイッた。
僕はこれでも快感になるけど、なんだかプレイっぽくないし、直人さんらしくないと思う。
まだらしくないと言えるほど長い時間を一緒に過ごした訳じゃないけど、そんな気がした。
「何かあったんですか?」
「さぁな」
今度はさっきと違って、馬乗りになられた。
「気が変わった、抱かせろ」
えええええっ! 何この展開!
突っ込む突っ込まれるを抜きにしようって言ったのは直人さんなのに!
「やっ、嫌だ、やめてください!」
「お前これだけは嫌がるんだな……」
「だって抱きたいですもん! 僕は絶対中じゃ気持ちよくなれないです!」
「マゾのくせに。濡らさないで突っ込んでやるよ。ずたずたになって気持ちいいぜ、きっと。俺のこと好きなら、抱かせな」
その言い方は狡い。でも、僕は……貴方を抱きたい。
「嫌です。抱きたい。抱きたいです」
「くくっ……。冗談だ、本気になるなよ」
直人さんは笑って僕の上から降りた。訳が判らない。
「でもお前の嫌がる顔は悪くないな」
「そ、そうですか?」
「ああ、すっとした」
それはなんか違う気もするうぅぅ。
……でもいいか。褒めてくれたんだと思っておこう。うん。
恋人同士で凄く幸せなはずなのに、なんだか直人さんが遠い気がする。
もっと僕を頼ってくれてもいいのになあ。
サンドバッグがわりにはしてくれたか。役に立てたなら嬉しいけど。
「直人さん、キス……していいですか?」
「ダメだ」
口付けたらなんか判る気がしたのに。ちぇっ。
直人さんの隣で真ん丸く縮まっていると、ぐいっと顔を引っ張られた。
え!? サンドバッグの続き!?
「っ……」
キス、されてた。しかも舌が入ってくる。
絡められて歯の裏ぬるぬるってされて気持ちいい。
思わず腕を回してしがみついた。スーツとは違う、スウェットの柔らかい感触が心地いい。
「ん、ん……」
舌の先を強めに噛まれて、背を波立たせる。
「僕もしたい……」
キスの合間に希望を告げると咎めるようにまた唇を塞がれて、今度は鉄の味が滲むほど歯を立てられた。
あぁう……。そんなにされたら僕、イッちゃいそう……!
長いキスのあと、直人さんは男前に笑って自分の唇を湿らすように舌でぺろりと舐めた。
もう充分潤っててらてらしている唇に、それはことのほかエロイ仕種だった。
「なっ、な、直人さぁん!」
僕はもうたまらなくなって、その場に直人さんを押し倒した。
「さっきから中途半端に煽られて、僕もう……! 誘ってるんですか? 誘ってるんですよね!?」
「誰がいつ誘っ……」
言葉の続きを待たずにキスをした。
今は何にも言わせません。ただ僕のキスを受けていて。
「やめろ、今はそんな気になれない」
「奉仕を……ご奉仕をさせていただくだけですからぁぁ!」
きっとそれだけじゃ止まらない。最後までしてしまいたい。
ずっとお預けされて、それはそれで快感だけどさすがに僕だって限界がくる。
「ッ……よせ」
そう言いながらも直人さんの抵抗は弱い。
本当に嫌なら、直人さんは躊躇いなく蹴ったり殴ったりして止めることができるはず。
それをしないということは、少なからず僕は許されている……。
勇気付けられるようにねっとりと首筋を舐めあげる。
「好きなんです、本当に。どうしていいか判らないくらい」
直人さんは何も言わなかったけれど、僕に身を任せてくれた。
……後ろを舐めようとしたら、さすがに殴って止められたけど。
そうなってしまえば体格差や力的に僕が叶うはずもなく、結局僕がご奉仕しただけで終わってしまった。
殴られるだけでも気持ちいいけど、ちゃんとした性行為もしたい。突っ込んだり突っ込まれたりはなしというルールがこんなに辛いとは思わなかった。
きっと一度してしまったから余計に抑えがきかないんだ。童貞だった頃はきちんとできてないSMですら僕を快感の渦へと導いてくれていた。
今は容赦なく殴ってくれる直人さんがいて、充分なはず。
一つ欲求を満たすとどんどん欲張りになっていくっていうのは本当なんだな。
今日もベッドの隣で生殺し放置プレイ。
きっと明日も明後日もこうだろう。そう思うと酷くやるせない気分になる。
なのに結局は、来てしまうんだろう。恋人の元へ。
僕を殴ってくれる手の平と蹴ってくれる足、罵ってくれる愛しい声を求めて。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる