言葉に出せません

ご褒美追加

癒やされたい

　最近直人さんが構ってくれない。
　仕事が忙しいとはいえ、夜には普通に帰って来るのに。
　
「お前といると癒されて疲れが取れるよ、とか言って、一緒に食事するとかいちゃつくとかはあってもいいんじゃないですか？　ねえ」
　
　毎日かいがいしくお世話をする僕に、直人さんはもくもくと料理だけ食べてベッドへ寝転がった。
　
「スーツ脱がないとシワになりますよ！」
　
　ほぼ無視をしていた直人さんが僕の顔を見た。目があってドキリとする。
　
「望。お前といるとイライラして、余計疲れるんだ、帰ってくれ」
　
　あんまりだ。でも冷たい視線にハァハァしちゃう！
　
「わ、判りました……」
　
　背を向けた途端、後ろから抱き抱えられて気付けばベッドの中。
　
「それか一言も喋らずに、抱き枕にされていろ」
　
　僕は何度も頷いて、そのままじっと抱きしめられてた。
　直人さんの匂い、久しぶり。凄いしたくなってくる。直人さんはそうならないのかな。
　やばいくらいムラムラしてきた。
　
「望」
　
　直人さんがにっこりと笑う。
　こ、これはお誘い……。
　
「セルフプレイ始め出したら速攻叩き出すからな」
　
　……な訳ないですよね。
　仕方なく、僕は直人さんを癒すべくそのまま抱き枕になっていた。

　一晩頑張って耐えた結果は。
　
「あまり癒されなかった」

　という一言だった。

　それでも僕は貴方に構ってもらえるだけで幸せです。
　だから仕事が暇になったらきちんとご褒美くださいね。　
　まあ、その容赦のなさも、僕にはご褒美なんですけど。