言葉に出せません

used

文字の大きさ
31 / 46
ご褒美追加

イタズラさせたい

 今日はハロウィン。もちろんお菓子なんて用意してない。
 うふふ。僕たちみたいなサドマゾカップルにとって、こんなに美味しい日はないもんね。
 直人さんはいったい僕に、どんなイタズラをしてくれるんだろう。
 ムチ? ロウソク? 拘束? 宙吊り? スパンキング? 言葉責め?
 貴方がしてくれるなら、僕どんなことだって耐えてみせます、ハァハァ……。むしろやってほしい……。
 そんな期待をしていたら、想像以上のイタズラが、僕を待ち受けていた……。
 
 
 
 
「どうした? ほら、好きにしていいんだぞ?」
 
 ベッドの上で僕を誘う直人さん。ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべている。
 
「そ、そんなこと、言われても……」
 
 言われたら、むしろ丁寧に奉仕して突っ込むくらいしか、僕にできることはないんだけど。
 それをしようとしたら怒られるし。直人さんの罵声は好きだけど、奴隷、いや恋人として期待に応えたい気持ちもある。
 
「今日は俺じゃなく、お前が俺にイタズラをするんだ。さあ、どんなことをしてくれる、望」
「羽ペンで身体全部をくすぐるとか」
「ぬるいな」
「腕を縛って、バイブ挿れたまま放置します!」
「それで耐えられるのか、お前が。すでにここをこんなにして」
 
 爪先が僕の熱を辿る。堅い爪の感触と誘うような視線に、先走りがこぼれ落ちる。
 大体僕だけ素っ裸で直人さん着衣とか、この時点で僕がイタズラされているような感じじゃないか。燃えるけども!
 
「じ、じゃあ、こうやって足をがばっと開かせて」
 
 開かせて、ゆっくりとベルトを外す。ズボンを脱がせる。少しずつ肌が見えていく様がたとえようもなくやらしい。足を開かせているから、大事な部分が丸見えになるし。
 あ……。直人さんの、もう勃ってる……。
 もしかして直人さんも、僕に見られて興奮してる?
 
「開かせて、それからどうするんだ」
「こんなに凝視されて、恥ずかしかったり……しませんか?」
「別に」
 
 サドなプレイなんてできない僕に、無理矢理イタズラさせるとか、この時点で充分なイタズラ。
 困る僕を見て嘲笑する直人さんの視線がもう……!
 
 
 
 
「……という夢を昨日見たんですよ」
「ほう」
「だって直人さん、何もしてくれなかったし」
 
 直人さんが、読んでいた朝刊をダイニングテーブルにバサリと広げた。
 
「望」
 
 指先でこいこいされて、近寄る。指された部分を見て、何が載っているのかと思ったら今日の日付だった。
 
「ハロウィンは、一か月も前だ」
「だってぇ……。直人さんが、ちょっと遅れたけどイタズラしちゃうぞ! と言ってくれるのを、ずっと待ってたんですよ」
「一か月も」
「だから夢にまで見てしまった……」
「どうにも最近静かだと思ったら、俺がアクションを起こすのを待っていたのか……」
 
 直人さんは大きな溜息をついて、僕の足を思いきり踏んだ。
 
「いっ……」
 
 そのままグリグリと押しつぶしてくる。痛気持ちいい。
 
「お菓子など用意せず、イタズラされるのを待ちわびている奴にイタズラするぞと言ったところで、どうしようもないだろう」
 
 見抜かれてる。でも、わかっていても恋人同士なら、少しはイチャイチャビシバシしてもいいと思うんだ。
 
「それに俺は、そういうイベントにはまったく興味がない」
「直人さんが好きそうじゃないのはわかってましたけど。だからいい子で、期待だけして待ってたんですよ。ご褒美ください」
「これはご褒美にならないか?」
 
 踏まれた足に、更に体重をかけられた。
 
「ん、んんっ……。き、気持ちいいですけど、もうちょっと、もうちょっと、なんかぁ……」
「ククッ……。逆にお前が例の台詞を言っていたら、夢のような展開になっていたかもな」
「えっ……!」
 
 声をあげた僕の唇に、掠めるようなキス。
 胸ポケットに何かを入れられて、ポンポンとそこをはたかれる。
 
「やるよ。貰い物だけどな」
 
 そう言って、直人さんは朝刊を持ってマンションを出ていった。
 僕はその背中と自分の胸ポケットを交互に見比べて、入れられた物を取り出す。
 
「あ、タバコ……?」
 
 じゃない。これ、タバコチョコだ。
 イタズラされてくれる気なんて、全然ないじゃないですか。
 そう思いながらも、僕はどこか晴れやかな気分だった。
 タバコチョコは直人さんの……だと思いながら一本一本丁寧に舐め尽くした。


 会社には遅刻した。 
感想 2

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。