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熱く抱きしめて
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秋もそろそろ終わり。だいぶ寒くなってきた。
新しく買ったカシミアのマフラーに顔を埋めつつ、いつものように夕飯の支度をしに直人さんの部屋へ向かう。
同じマンションだから、帰り道は変わらないんだけどね。というか隣人だし。
僕は大体定時であがるけど、直人さんがこの時間に帰っていることは滅多にない。
だから、玄関に入ったとたん後ろから抱きすくめられて、死ぬほど驚いた。
「ひぇっ……!」
直人さんはサドだけど、恋人には優しい人だ。でも、決してベタベタしてくるわけじゃない。
まさか変態が入り込んで後ろから僕の身体を!? と思い、肺いっぱいに息を吸い込んでみた。
……よかった。この匂いは確かに直人さんだ。
つまり直人さんが、僕の身体を抱きしめて……。こんな、後ろからぎゅって。どうしよう、凄く嬉しい。大好き。
「寒い。早く入れ」
「は、はい……」
むしろ一刻も早く、貴方の中に入りたい。ハァハァ……!
後ろでドアの閉まる音、直人さんは僕に寄り添ったまま歩いている。
「望……」
マフラーをほどかれた。え、まさか、そんな、いきなり?
大歓迎です!!
「ふう……」
直人さんは溜息をついて、僕のマフラーを自分の首に巻き付けた。
僕のマフラーでぬくぬくしてくれるのは嬉しいですけど、想像した展開と全然違う。
ほどいたマフラーで僕の手を縛り上げて、この場で挿れさせてくれるもんだとばかり。
「寒いのはあまり得意じゃない」
「ああ、直人さん、脂肪なさそうですもんね。外見からして涼しそうだし」
涼しそうっていうか、冷たそうっていうか。そこが好きなんですけど。もう、もの凄い好みなんですけど。
直人さんが目の前で妖艶にストリップしてくれたら、それを見るだけでイケる自信がある。
そんな僕の熱い視線を無視して、直人さんは部屋に上がり込んで暖房をつけた。
そうかあ。いつもは僕が先に帰って、暖房つけて待ってるもんな。直人さんのこんな姿、見るの初めて。なんか可愛い。少し震えてるし。
直人さんは暖房の下に立つと、僕を手で呼んだ。
かまってくれるの、嬉しい。これから身体を動かして暖かくなるのかな。蹴ったり殴ったりしてくれるのかな。
最近疲れているとか言って、鞭もふるってくれなかったから久しぶり!
そう思って近づいたら、今度は正面からぎゅうっと抱きしめられた。
「お前、体温高いな」
「あ、僕、平熱三十六度五分以上あるんですよ。それに寒さに強いんです」
「まあこれだけもちもちしていればな」
「それは関係ないですって! あんっ、お腹揉まないでくださいよぅ」
「妙な声を出すな、気持ち悪い」
恋人に対して、そんな台詞あんまりだ。
ハァハァ、もっと言って……。
興奮しすぎてむしろ暑くなってきた。こんな感じだから、寒さには強いんだよね、僕。
「直人さぁん、しましょうよー。きっと暖かくなりますよ!」
「わかった」
直人さんは妖艶に笑った。直人さんが即答してくれるなんて、明日は雪じゃない!?
「這いつくばってケツを出せ」
「ええええ! 逆ですよ、逆!」
「何を言ってるんだ。尻を出したら寒いだろう。突っ込むほうなら局部だけで平気だからな。お前が言ったんだ。さあ、暖めてもらおうか?」
ううっ。悔しいけど正論だ。何か……。何かいいアイデアは。
「大丈夫ですよ! スーツのズボンとパンツに穴をあければ脱がなくてもできます!!」
「……………………ふっ。そうだな」
その日僕の一張羅に穴があきました。
新しく買ったカシミアのマフラーに顔を埋めつつ、いつものように夕飯の支度をしに直人さんの部屋へ向かう。
同じマンションだから、帰り道は変わらないんだけどね。というか隣人だし。
僕は大体定時であがるけど、直人さんがこの時間に帰っていることは滅多にない。
だから、玄関に入ったとたん後ろから抱きすくめられて、死ぬほど驚いた。
「ひぇっ……!」
直人さんはサドだけど、恋人には優しい人だ。でも、決してベタベタしてくるわけじゃない。
まさか変態が入り込んで後ろから僕の身体を!? と思い、肺いっぱいに息を吸い込んでみた。
……よかった。この匂いは確かに直人さんだ。
つまり直人さんが、僕の身体を抱きしめて……。こんな、後ろからぎゅって。どうしよう、凄く嬉しい。大好き。
「寒い。早く入れ」
「は、はい……」
むしろ一刻も早く、貴方の中に入りたい。ハァハァ……!
後ろでドアの閉まる音、直人さんは僕に寄り添ったまま歩いている。
「望……」
マフラーをほどかれた。え、まさか、そんな、いきなり?
大歓迎です!!
「ふう……」
直人さんは溜息をついて、僕のマフラーを自分の首に巻き付けた。
僕のマフラーでぬくぬくしてくれるのは嬉しいですけど、想像した展開と全然違う。
ほどいたマフラーで僕の手を縛り上げて、この場で挿れさせてくれるもんだとばかり。
「寒いのはあまり得意じゃない」
「ああ、直人さん、脂肪なさそうですもんね。外見からして涼しそうだし」
涼しそうっていうか、冷たそうっていうか。そこが好きなんですけど。もう、もの凄い好みなんですけど。
直人さんが目の前で妖艶にストリップしてくれたら、それを見るだけでイケる自信がある。
そんな僕の熱い視線を無視して、直人さんは部屋に上がり込んで暖房をつけた。
そうかあ。いつもは僕が先に帰って、暖房つけて待ってるもんな。直人さんのこんな姿、見るの初めて。なんか可愛い。少し震えてるし。
直人さんは暖房の下に立つと、僕を手で呼んだ。
かまってくれるの、嬉しい。これから身体を動かして暖かくなるのかな。蹴ったり殴ったりしてくれるのかな。
最近疲れているとか言って、鞭もふるってくれなかったから久しぶり!
そう思って近づいたら、今度は正面からぎゅうっと抱きしめられた。
「お前、体温高いな」
「あ、僕、平熱三十六度五分以上あるんですよ。それに寒さに強いんです」
「まあこれだけもちもちしていればな」
「それは関係ないですって! あんっ、お腹揉まないでくださいよぅ」
「妙な声を出すな、気持ち悪い」
恋人に対して、そんな台詞あんまりだ。
ハァハァ、もっと言って……。
興奮しすぎてむしろ暑くなってきた。こんな感じだから、寒さには強いんだよね、僕。
「直人さぁん、しましょうよー。きっと暖かくなりますよ!」
「わかった」
直人さんは妖艶に笑った。直人さんが即答してくれるなんて、明日は雪じゃない!?
「這いつくばってケツを出せ」
「ええええ! 逆ですよ、逆!」
「何を言ってるんだ。尻を出したら寒いだろう。突っ込むほうなら局部だけで平気だからな。お前が言ったんだ。さあ、暖めてもらおうか?」
ううっ。悔しいけど正論だ。何か……。何かいいアイデアは。
「大丈夫ですよ! スーツのズボンとパンツに穴をあければ脱がなくてもできます!!」
「……………………ふっ。そうだな」
その日僕の一張羅に穴があきました。
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