イケメンと五月病

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本編

五月病の理由

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 俺が社員食堂で一番安いA定食をつつく中、奴は女の子に貰ったお弁当を美味しそうに食べている。何故か俺の目の前で。

 イケメン様は心までイケメンなのか、彼女いない歴年の数の俺にも優しくしてくださる。というか、何でか親友だったりする訳だ……。
 引き立て役でしかないのに、何で俺、傍にいるんだろうな。
 まあ、それはこいつがいい奴だからなんだけど。
 顔も中身もイケメンとかマジで死ね。
 
「お前は本日も侘びしくA定食か」
「うるせーよ」
「ご機嫌斜めだな、隆弘クン」
「なんか最近イライラするんだよ」
 
 食堂の窓から見える外を覗きながら呟くと、支倉も同じように外を見て、ああと呟いた。
 
「ずっと雨だもんな、ここのところ」
 
 俺がイライラしてる理由はそれだけじゃないけどな。
 
「食う?」
「女から貰った手作り弁当食わせようとするな」
「やだ、妬いちゃって」
「死ね」
 
 奴は俺の額を指先で小突きながら、にやにや笑っている。
 
「五月病じゃないのか? だからゴールデンウィーク、一緒に出かけようって言ったんだ。一人だからそう、へこむんだよ」
「違うっての。なんか……何か、追いつめられてるような気分になってるってだけだ」
「疲れてるなら、彼女でも作ってみたらどうだ。癒されるぞ」
「てめ……。作れないの知ってて言うな」
「じゃあ、例えばさ、好きな人を作るとか。恋してると、世界が変わって見えるんだぜ? 俺、お前が来るなら合コンくらい主催してやるし」
 
 これだからイケメンは。余裕ありすぎて厭味なんだよ。
 そんな気遣われると惨めになるってわからないのか?
 
「……じゃあ頑張ってみるか」
 
 俺がそう言ったら、はしゃいで次々と世話焼いてくるんだろうな。面倒くさい。
 そう思っていたのに、支倉は何故か黙り込んだ。
 
「支倉?」
「やっぱ、これ、お前にやるよ。食欲なくなったから」
「お、おい」
「お前に彼女ができたら……。今度は俺が、五月病かな」
 
 そんなことを、俺の耳元で囁いていった。
 馬鹿。どういう意味だ。説明しろ。このイケメン。言い捨てて行くな。
 お前が言ったんだろう、彼女でも作ってみろって。合コン主催してやるって。
 なのに何でそんなこと言うんだ。飯すら喉を通らなくなるだろ。
 
 俺が本当に五月病なら……その原因だって、お前なんだよ。 
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