20 / 29
その後の話
イケメンと忘年会
しおりを挟む
忘年会当日。俺と支倉は一次会で抜ける約束をして、近いとお互いに何をしてしまうかわからないという打ち合わせの元、少し離れた席へ座った。
公共の場で嫉妬をした時、支倉は悲しすぎて声にも出さず泣くタイプ、俺はカッとなって人前でもやらかしてしまうタイプだからどちらかといえば俺のほうがやばい。
支倉は俺に迷惑がかかったらどうしようとまず考えるらしい。俺はそんなこと考える余裕すらない。どっちがより、愛が深いのかは水掛け論になると思う。
まあ、でも、さすがに俺も社会人だ。支倉がこの場で脱がされ押し倒されちんこでも揉まれたりしない限り、そういったことにはならない。
キスされてたら……トイレに連れ込んで身体の奥底まで消毒してやる自信はあるが。少なくとも人前ではしないな。
支倉はイケメンだ。大層もてる。だから、想像はしていたさ。
「支倉くぅん、あたしお酒ついだげるっ」
「やぁん、私が支倉くんの隣ぃ~」
ここは合コン会場か。課長も部長も引いてる。お前ら、いいから自分の課の上司についでやれよ、酒を。
支倉は化粧濃いめの女性社員五名ほどに囲まれて、イケメン的にのらりくらりとかわしていた。
「オイ、お前、相棒なんとかしろよー」
仕事以外ではあまり話したこともない同僚に、そう声をかけられる始末。
ってか、やっぱり俺と支倉は周りから見てそういう関係だと認識されてるんだな。去年も仲がよかったことはよかったが、恋人同士になる前とあとではかなり差がある。それに、多分最近は俺以外との付きあいを控えているはずだ。
……そりゃそうだよな。あれだけ毎日のように俺につきあっていて、それで他の奴にもいい顔してるってんなら身体がいくつあるんだよって話だ。
俺のほうは、元々支倉しか友達がいなかったので、例年通りだ。基本的に常にステルスモードだから、普通に声をかけられることはあまりない。簡単にいえば、影が薄い。
それでも今年は支倉のことをいろいろ訊かれていたから、多少去年よりも交流はとれているだろうか?
でも、訊かれることもなくなったんだよな、ここんとこ……。クリスマスが近くなったら、支倉の予定を根掘り葉掘り訊かれると思っていたんだが……。
「あいつがモテるのは、今に始まったことじゃないだろ」
「でも去年より酷いぞ、アレ。見てみろよ」
確かに、支倉を取り巻く女性社員に鬼気迫るものを感じる。
そんなベタベタすんなよ。あの身体も髪も声も、全部俺のものなんだから。
お前ら、知らないだろ。そのイケメンが夜になれば俺の下でアンアン言ってるなんて。その唇から出るのは、喘ぎ声と俺への愛の言葉だけなんだぞ。
「凄い顔ですよ、広瀬さん」
「あ……受付の……」
きてたのか。課が違うどころじゃないのに。綺麗どころだから誰かが無理矢理呼んだのか?
彼女は俺が支倉と付きあい始めた頃、俺に好きだって言ってくれた奇特な女性だ。
やっぱり美人だな。もったいないことしたかも。こんな美人と一次会で抜けてホテルとか、浪漫すぎる。
「あー、もう。わかりやすすぎて嫌になるわ」
「な、何がですか」
「なんでもないです。諦めるって言いましたからね、私。それじゃあ、酌をしてきますわ」
彼女はふふっと笑って、俺の傍を離れていった。見れば周りのグラスに酒がつがれている。何人かは彼女をぽーっと見送っていた。
「おい、なんだよあれ、意味深だなー。お前彼女と仲いいの? 恋人だったり?」
「別に……違う」
「そ、そっか。ほら、広瀬、早くとめないとお前の大事な親友が隣の課の女に喰われんぞ」
「ん……む?」
……なんか、うっすらバレてね?
俺は酒を飲みながら、今言われた意味についてあまり深く考えないことにした。
「最近あいつ口を開けば広瀬のことばっかりで、飲みとかのつきあいすっかり悪くなったからな。女どもはここぞとばかりにいってるんだろ。このチャンスを逃すものか、みたいな」
おい支倉、お前他の奴らに俺のどんなこと話してんだよ……。
「あー、そうなんだ。まあ、親友としては、あいつばかりもててるのは面白くないな」
「だろ、だろ?」
よかった。普通に乗ってくれた。
というか、なんかこいつ慣れ慣れしすぎじゃね? 俺、こういうノリに免疫ないんだから、控えてほしいな。
いつもは俺の姿なんて見えないような感じで扱っているのに、どうした……。
まあ、あれじゃ女が回ってこないもんなあ。きっとイケメン爆発しろとか思ってるんだろう、去年の俺みたいに。
それにこう後押しされてるなら、あのハイエナの群れから支倉を強奪する理由にはなるよな、うん。
とはいえ、女をはべらせてるなよ、支倉……なんて、間違っても人前で言えるキャラじゃないんだ、俺は。
さて、どうするか……。
じいっと支倉を見ていると、目があった。俺の視線に気づいたというよりは、多分奴も俺をチラチラ見ていたから、視線が重なったんだろう。
俺はふいっと視線を逸らしてから、同僚にそっと呟いて立ち上がった。
「じゃ、支倉を退場させてやるよ」
同僚は少し驚いた顔をしていた。俺がこういう時、人前で支倉に突っかかるような人間だと思っていないからだろう。
別に突っかかったりしないさ。あいつをおびき寄せるのは実に簡単。
今、目を逸らしたことで、奴はこっちを気にしてる。そう、あとは……このまま、トイレへと立ち去るだけでいい。
トイレへつくと、案の定支倉が駆け込んできた。ちょろすぎるだろ、お前。
「大丈夫か、隆弘」
「別に具合悪いわけじゃねーし」
「……その、もしかして怒ってる、か?」
「怒ってると思うのか? 俺が嫉妬してるとでも?」
「……お前、結構独占欲強いじゃないか」
「わかってるじゃないか」
ようやく俺の愛が伝わったようで嬉しくもあり、バレバレなのが悔しいようなそんな感じ。
「嬉しそうな顔すんな、馬鹿。女に囲まれてニヤニヤしやがって。お仕置きだぞ」
「っ……隆弘!」
俺は個室へ支倉を連れ込んで、鍵をかけた。
「さ、さすがにまずいだろ、俺が隆弘追ってきたところ、みんな見てるのに」
「お前は吐いてる俺を介抱してるだけ。いいな?」
「っん……」
返事を待たず、支倉に口づける。
まあ……さっきまで話していた同僚には効かない言い訳なんだけどな。俺が支倉連れ出すために演技したって、バレてるわけだし。
もちろん、妬いているってのもある。舌が痺れるくらいのキスをして、酒の味なんてわからないようにしてやりたい。
でも、それ以上に……。女に囲まれていたのにちょっと俺が目を逸らしてトイレに立っただけで、具合悪いのかとか、怒ってるのかなとか不安になってきてくれたことが嬉しくて、可愛くて、もうどうしてやろうか。我慢ができなくなってもしかたないだろ、これは。
「っや、待て! キス以上はまずいって本当……」
「軽く抜くだけだ。ほら……声殺せよ」
「声じゃなく、この水音でばれるだろ。よ、よせ……って」
「キスしただけで、ここをこんなに滴らせてるのはお前だろ。もうぬるぬると擦れるってどうなんだよ」
「っ……酒が、入ってるから……」
「あー、これ下着気持ち悪くなるぞ、相当。もう……すぐに帰らねーとな……」
「おい、ちょっ……指入れるなよっ、どこまでするつもりだよ、こんなところで」
「んー……?」
支倉のいいところを指の腹で擦りあげる。中も、外も。
両方を刺激され耐えられなくなった支倉は、あっさりとイッた。
性急に追いつめられたからか、肩で息をしている。
「あーあ。具合悪くなったのは、お前のほうだったな」
「誰の……せいだ、と……」
「俺だよな。責任、とってやるよ」
色を帯びた支倉をみんなに見せたくはないが、さすがにそろそろ戻らないとやばい。あと、帰らないと俺の身体もやばい。
「ほら、行くぞ」
「や、待て、まだ……こんなんじゃ」
「いいから」
汗で髪がはりついた額に、ひとつキスを落とす。
俺はまだ息を切らせている支倉に肩を貸しながら、みんなの元へ戻った。
「支倉、具合悪くなったみたいだから俺が連れ帰ります、それじゃ」
簡単にそう告げて、鞄を持って支倉に肩を貸したまま帰った。
支倉の足下がおぼつかないのは演技じゃない。こいつは何気に俺より顔に出やすいから、こういうお持ち帰り方が一番自然に見えるだろう。支倉の表情が色っぽすぎて、一部にはバレるかもしれないが。まあ、そこは吐いたばっかりで具合が悪いせいだ。という嘘で押し通させてもらう。
「タクシーよぶからな」
「こ、こんなふうに出てきて、やばくないか?」
「どのみち二次会は出ずに帰る予定だったろ。いかにも今から二人だけの飲みしますって見えるのと、そう大差ないと思うが」
「……それも、そうだな」
「じゃ、俺の家で二度目の忘年会だな。忘れたい夜にしてやるよ」
「そこは、忘れられない……って言わないか、普通」
「俺は忘れてやらない」
「そうじゃなく。お前、俺にどんなことするつもりだよ」
「思い返しては死にたくなるレベルの恥ずかしいこと。忘れたいのに忘れられないぜ、きっと」
「一気に一人で帰りたくなったぞ」
「それでも俺と過ごしたいんだろ?」
「隆弘の思うツボすぎてムカつく……」
「何言ってんだよ。さんざん俺を妬かせたくせに。つか、女に囲まれてるのに俺のほうばっか見てるなっつーの。あのままいたら絶対にからかわれてばれてたからな、お前」
自覚はあるのか、支倉が押し黙る。
ちょうど通りかかったタクシーを呼び止めて、そのまま俺の家まで直行。
会社の忘年会は一次会の途中で抜け出したが、俺の家では三次会までのフルコース、場所を変えずに堪能してもらうぜ。当然、リタイアはなしでな。
普通に飲みもしたいから、ビールとつまみを途中のコンビニで買って帰るとしよう。
これだけ脅してもどこか嬉しそうな幸せそうな顔をしている支倉に、ビールは下の口で飲んでもらうハメになるかもしれないな、と思いながら隣にあるその手をぎゅっと握りしめた。
公共の場で嫉妬をした時、支倉は悲しすぎて声にも出さず泣くタイプ、俺はカッとなって人前でもやらかしてしまうタイプだからどちらかといえば俺のほうがやばい。
支倉は俺に迷惑がかかったらどうしようとまず考えるらしい。俺はそんなこと考える余裕すらない。どっちがより、愛が深いのかは水掛け論になると思う。
まあ、でも、さすがに俺も社会人だ。支倉がこの場で脱がされ押し倒されちんこでも揉まれたりしない限り、そういったことにはならない。
キスされてたら……トイレに連れ込んで身体の奥底まで消毒してやる自信はあるが。少なくとも人前ではしないな。
支倉はイケメンだ。大層もてる。だから、想像はしていたさ。
「支倉くぅん、あたしお酒ついだげるっ」
「やぁん、私が支倉くんの隣ぃ~」
ここは合コン会場か。課長も部長も引いてる。お前ら、いいから自分の課の上司についでやれよ、酒を。
支倉は化粧濃いめの女性社員五名ほどに囲まれて、イケメン的にのらりくらりとかわしていた。
「オイ、お前、相棒なんとかしろよー」
仕事以外ではあまり話したこともない同僚に、そう声をかけられる始末。
ってか、やっぱり俺と支倉は周りから見てそういう関係だと認識されてるんだな。去年も仲がよかったことはよかったが、恋人同士になる前とあとではかなり差がある。それに、多分最近は俺以外との付きあいを控えているはずだ。
……そりゃそうだよな。あれだけ毎日のように俺につきあっていて、それで他の奴にもいい顔してるってんなら身体がいくつあるんだよって話だ。
俺のほうは、元々支倉しか友達がいなかったので、例年通りだ。基本的に常にステルスモードだから、普通に声をかけられることはあまりない。簡単にいえば、影が薄い。
それでも今年は支倉のことをいろいろ訊かれていたから、多少去年よりも交流はとれているだろうか?
でも、訊かれることもなくなったんだよな、ここんとこ……。クリスマスが近くなったら、支倉の予定を根掘り葉掘り訊かれると思っていたんだが……。
「あいつがモテるのは、今に始まったことじゃないだろ」
「でも去年より酷いぞ、アレ。見てみろよ」
確かに、支倉を取り巻く女性社員に鬼気迫るものを感じる。
そんなベタベタすんなよ。あの身体も髪も声も、全部俺のものなんだから。
お前ら、知らないだろ。そのイケメンが夜になれば俺の下でアンアン言ってるなんて。その唇から出るのは、喘ぎ声と俺への愛の言葉だけなんだぞ。
「凄い顔ですよ、広瀬さん」
「あ……受付の……」
きてたのか。課が違うどころじゃないのに。綺麗どころだから誰かが無理矢理呼んだのか?
彼女は俺が支倉と付きあい始めた頃、俺に好きだって言ってくれた奇特な女性だ。
やっぱり美人だな。もったいないことしたかも。こんな美人と一次会で抜けてホテルとか、浪漫すぎる。
「あー、もう。わかりやすすぎて嫌になるわ」
「な、何がですか」
「なんでもないです。諦めるって言いましたからね、私。それじゃあ、酌をしてきますわ」
彼女はふふっと笑って、俺の傍を離れていった。見れば周りのグラスに酒がつがれている。何人かは彼女をぽーっと見送っていた。
「おい、なんだよあれ、意味深だなー。お前彼女と仲いいの? 恋人だったり?」
「別に……違う」
「そ、そっか。ほら、広瀬、早くとめないとお前の大事な親友が隣の課の女に喰われんぞ」
「ん……む?」
……なんか、うっすらバレてね?
俺は酒を飲みながら、今言われた意味についてあまり深く考えないことにした。
「最近あいつ口を開けば広瀬のことばっかりで、飲みとかのつきあいすっかり悪くなったからな。女どもはここぞとばかりにいってるんだろ。このチャンスを逃すものか、みたいな」
おい支倉、お前他の奴らに俺のどんなこと話してんだよ……。
「あー、そうなんだ。まあ、親友としては、あいつばかりもててるのは面白くないな」
「だろ、だろ?」
よかった。普通に乗ってくれた。
というか、なんかこいつ慣れ慣れしすぎじゃね? 俺、こういうノリに免疫ないんだから、控えてほしいな。
いつもは俺の姿なんて見えないような感じで扱っているのに、どうした……。
まあ、あれじゃ女が回ってこないもんなあ。きっとイケメン爆発しろとか思ってるんだろう、去年の俺みたいに。
それにこう後押しされてるなら、あのハイエナの群れから支倉を強奪する理由にはなるよな、うん。
とはいえ、女をはべらせてるなよ、支倉……なんて、間違っても人前で言えるキャラじゃないんだ、俺は。
さて、どうするか……。
じいっと支倉を見ていると、目があった。俺の視線に気づいたというよりは、多分奴も俺をチラチラ見ていたから、視線が重なったんだろう。
俺はふいっと視線を逸らしてから、同僚にそっと呟いて立ち上がった。
「じゃ、支倉を退場させてやるよ」
同僚は少し驚いた顔をしていた。俺がこういう時、人前で支倉に突っかかるような人間だと思っていないからだろう。
別に突っかかったりしないさ。あいつをおびき寄せるのは実に簡単。
今、目を逸らしたことで、奴はこっちを気にしてる。そう、あとは……このまま、トイレへと立ち去るだけでいい。
トイレへつくと、案の定支倉が駆け込んできた。ちょろすぎるだろ、お前。
「大丈夫か、隆弘」
「別に具合悪いわけじゃねーし」
「……その、もしかして怒ってる、か?」
「怒ってると思うのか? 俺が嫉妬してるとでも?」
「……お前、結構独占欲強いじゃないか」
「わかってるじゃないか」
ようやく俺の愛が伝わったようで嬉しくもあり、バレバレなのが悔しいようなそんな感じ。
「嬉しそうな顔すんな、馬鹿。女に囲まれてニヤニヤしやがって。お仕置きだぞ」
「っ……隆弘!」
俺は個室へ支倉を連れ込んで、鍵をかけた。
「さ、さすがにまずいだろ、俺が隆弘追ってきたところ、みんな見てるのに」
「お前は吐いてる俺を介抱してるだけ。いいな?」
「っん……」
返事を待たず、支倉に口づける。
まあ……さっきまで話していた同僚には効かない言い訳なんだけどな。俺が支倉連れ出すために演技したって、バレてるわけだし。
もちろん、妬いているってのもある。舌が痺れるくらいのキスをして、酒の味なんてわからないようにしてやりたい。
でも、それ以上に……。女に囲まれていたのにちょっと俺が目を逸らしてトイレに立っただけで、具合悪いのかとか、怒ってるのかなとか不安になってきてくれたことが嬉しくて、可愛くて、もうどうしてやろうか。我慢ができなくなってもしかたないだろ、これは。
「っや、待て! キス以上はまずいって本当……」
「軽く抜くだけだ。ほら……声殺せよ」
「声じゃなく、この水音でばれるだろ。よ、よせ……って」
「キスしただけで、ここをこんなに滴らせてるのはお前だろ。もうぬるぬると擦れるってどうなんだよ」
「っ……酒が、入ってるから……」
「あー、これ下着気持ち悪くなるぞ、相当。もう……すぐに帰らねーとな……」
「おい、ちょっ……指入れるなよっ、どこまでするつもりだよ、こんなところで」
「んー……?」
支倉のいいところを指の腹で擦りあげる。中も、外も。
両方を刺激され耐えられなくなった支倉は、あっさりとイッた。
性急に追いつめられたからか、肩で息をしている。
「あーあ。具合悪くなったのは、お前のほうだったな」
「誰の……せいだ、と……」
「俺だよな。責任、とってやるよ」
色を帯びた支倉をみんなに見せたくはないが、さすがにそろそろ戻らないとやばい。あと、帰らないと俺の身体もやばい。
「ほら、行くぞ」
「や、待て、まだ……こんなんじゃ」
「いいから」
汗で髪がはりついた額に、ひとつキスを落とす。
俺はまだ息を切らせている支倉に肩を貸しながら、みんなの元へ戻った。
「支倉、具合悪くなったみたいだから俺が連れ帰ります、それじゃ」
簡単にそう告げて、鞄を持って支倉に肩を貸したまま帰った。
支倉の足下がおぼつかないのは演技じゃない。こいつは何気に俺より顔に出やすいから、こういうお持ち帰り方が一番自然に見えるだろう。支倉の表情が色っぽすぎて、一部にはバレるかもしれないが。まあ、そこは吐いたばっかりで具合が悪いせいだ。という嘘で押し通させてもらう。
「タクシーよぶからな」
「こ、こんなふうに出てきて、やばくないか?」
「どのみち二次会は出ずに帰る予定だったろ。いかにも今から二人だけの飲みしますって見えるのと、そう大差ないと思うが」
「……それも、そうだな」
「じゃ、俺の家で二度目の忘年会だな。忘れたい夜にしてやるよ」
「そこは、忘れられない……って言わないか、普通」
「俺は忘れてやらない」
「そうじゃなく。お前、俺にどんなことするつもりだよ」
「思い返しては死にたくなるレベルの恥ずかしいこと。忘れたいのに忘れられないぜ、きっと」
「一気に一人で帰りたくなったぞ」
「それでも俺と過ごしたいんだろ?」
「隆弘の思うツボすぎてムカつく……」
「何言ってんだよ。さんざん俺を妬かせたくせに。つか、女に囲まれてるのに俺のほうばっか見てるなっつーの。あのままいたら絶対にからかわれてばれてたからな、お前」
自覚はあるのか、支倉が押し黙る。
ちょうど通りかかったタクシーを呼び止めて、そのまま俺の家まで直行。
会社の忘年会は一次会の途中で抜け出したが、俺の家では三次会までのフルコース、場所を変えずに堪能してもらうぜ。当然、リタイアはなしでな。
普通に飲みもしたいから、ビールとつまみを途中のコンビニで買って帰るとしよう。
これだけ脅してもどこか嬉しそうな幸せそうな顔をしている支倉に、ビールは下の口で飲んでもらうハメになるかもしれないな、と思いながら隣にあるその手をぎゅっと握りしめた。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる