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6th stage
SSRなら突っ込んでも後悔しない
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「びっくりした~!」
栞里ちゃんはそう言って目を丸くしてぼくを見ると、いきなり笑い出した。
「あははははは。なに、あの人? あれがカメコ? 変なの。なんかキモい世界~。あはははは」
そう言ってひとしきり笑うと、ぼくを見てからかう様に言う。
「お兄ちゃんの方が、ずっとまともだね」
「へ? あんなカメコと較べられても、ちっとも嬉しくないんだけど」
「それもそっか」
「は、はは」
「…ありがと」
「え?」
「かばってくれて。なんか… 嬉しかった」
そう言って、栞里ちゃんはちょっぴり頬を赤らめる。
もしかして、今のでポイント稼いだのか?
やった!
「コスプレかぁ。なんか面白そう」
撮影ブースで写真を撮られてる、突飛なカッコのレイヤーたちを見渡しながら、栞里ちゃんは好奇心いっぱいという感じで呟いた。
オタクカメコが勘違いした様に、今の栞里ちゃんのカッコはなにかのアニメの美少女ヒロインコスみたいで、コスプレゾーンにいてもキラキラ輝いてて、存在感がある。
そんな彼女をもっと見てみたくて、ぼくは思い切って提案してみた。
「企業ブースにはコスプレ衣装を売ってる店もあるんだ。見に行ってみようか?」
「コスプレ衣装を?!」
「気に入ったのがあれば、買ったげるから。着てみたらいいよ」
「えっ? ほんとに?! 嬉しい! 着てみた~い♪ 早く行こ! ね!」
栞里ちゃんはノリノリで、ぼくの腕を引っ張った。
コスプレ衣装を扱ってる企業ブースは、ぼく達のいた場所からコスプレゾーンを挟んだ反対側にあった。
流行のボーカロイドや魔女っ娘のドレスが、トルソーに着せてあったり、関連アクセサリーがテーブルに所狭しと並べてあったりと、賑やかで華やかなブースだ。
売り場は、なにかいいものはないかと物色してるレイヤー達で、混雑してた。
「あっ。あの服、可愛いっ!」
そんな中で栞里ちゃんは、ブースの奥のトルソーに飾ってたアイドルっぽい衣装を指差し、瞳を輝かせた。
こっ、この衣装は、、、!
『リア恋plus』の『高瀬みく』がデートイベントで着てくる、スーパーアイドルデート服じゃないか!
『じゃ~ん。今日のデートは思い切って、アイドルっぽくしてみたの』
と言って、みくタンが現れるのだ。
それは出現率がとても低く、難しい条件でないと見られない、かな~りSSRなイベント!
数あるみくタンの服の中でも、一番華やかできらびやかでちょっぴりセクシーな、ファン垂涎の衣装。
むしろ、自分が欲しいくらいだ!!!
「いっ、いいよ! こっ、これ、買ってあげるよ!!」
誰かに売れてしまう前に自分のものにしてしまいたい。
焦る気持ちで鼻息を荒げて吃《ども》りながら、ぼくは栞里ちゃんに『高瀬みくスーパーアイドルデート服』を買ってあげた。
服だけじゃなく、それに付随するニ-ハイソックスや髪飾り、靴など一式買ってあげたのは、言うまでもない(笑)。そこまでしないと『完コス』とは呼べない。締めて70,380円。チーン、、、
こないだの原宿に続いて財布はシクシク痛むけど、それでもヲタクなら、自分の萌えには全財産を突っ込んで後悔しないのだ!
「いい! いいっ!! すっごい可愛いよ!!!」
更衣室から恐る恐る着替えて出てきた栞里ちゃんを見て、ぼくは我を忘れて興奮してしまった。
お世辞やおべっかでなく、栞里ちゃんには『高瀬みくスーパーアイドルデート服』が、めちゃくちゃ似合ってた!
これで、髪型さえセミロングのツインテールにすれば、もうみくタンそのものだ!!
「ほんとに似合ってる?」
「うん! うん!」
「メイクとかあまりしてないんだけど、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫!」
「なんか… 恥ずかしい、、、 スカート、短すぎ…」
そう言いながら栞里ちゃんは、パンツが見えそうなくらいに短いフレアスカートの裾を引っ張る。
「しっ、写真撮ろうよ!」
こんな可愛い高瀬みくを、撮っておかない手はない。
あまりの嬉しさに、全身に鳥肌が立ってしまったぼくは、興奮したまま彼女をコスプレゾーンに連れていこうとした。
だけど栞里ちゃんは首を横に振った。
「まだ、恥ずかしい。もうちょっと慣れてから、、、」
「そ、、、 そうだね。ごめん。栞里ちゃんコスプレ初めてだし… じゃあ、あとで撮らせてね」
「うん」
なにをどうしていいかわからない栞里ちゃんは、モジモジと落ち着かなさそう。
大きな一眼レフを抱えたカメコが何人も、栞里ちゃんの高瀬みくを舐める様に見つめながら、撮影のチャンスをうかがってる。
このままここにいると、またさっきみたいなキモカメコの餌食になるのは必至だ。
「ぼくのスペースに来ない? 慣れるまで、うちの席に座ってるといいよ」
そう言ってぼくは、栞里ちゃんをサークルスペースまで案内した。
つづく
栞里ちゃんはそう言って目を丸くしてぼくを見ると、いきなり笑い出した。
「あははははは。なに、あの人? あれがカメコ? 変なの。なんかキモい世界~。あはははは」
そう言ってひとしきり笑うと、ぼくを見てからかう様に言う。
「お兄ちゃんの方が、ずっとまともだね」
「へ? あんなカメコと較べられても、ちっとも嬉しくないんだけど」
「それもそっか」
「は、はは」
「…ありがと」
「え?」
「かばってくれて。なんか… 嬉しかった」
そう言って、栞里ちゃんはちょっぴり頬を赤らめる。
もしかして、今のでポイント稼いだのか?
やった!
「コスプレかぁ。なんか面白そう」
撮影ブースで写真を撮られてる、突飛なカッコのレイヤーたちを見渡しながら、栞里ちゃんは好奇心いっぱいという感じで呟いた。
オタクカメコが勘違いした様に、今の栞里ちゃんのカッコはなにかのアニメの美少女ヒロインコスみたいで、コスプレゾーンにいてもキラキラ輝いてて、存在感がある。
そんな彼女をもっと見てみたくて、ぼくは思い切って提案してみた。
「企業ブースにはコスプレ衣装を売ってる店もあるんだ。見に行ってみようか?」
「コスプレ衣装を?!」
「気に入ったのがあれば、買ったげるから。着てみたらいいよ」
「えっ? ほんとに?! 嬉しい! 着てみた~い♪ 早く行こ! ね!」
栞里ちゃんはノリノリで、ぼくの腕を引っ張った。
コスプレ衣装を扱ってる企業ブースは、ぼく達のいた場所からコスプレゾーンを挟んだ反対側にあった。
流行のボーカロイドや魔女っ娘のドレスが、トルソーに着せてあったり、関連アクセサリーがテーブルに所狭しと並べてあったりと、賑やかで華やかなブースだ。
売り場は、なにかいいものはないかと物色してるレイヤー達で、混雑してた。
「あっ。あの服、可愛いっ!」
そんな中で栞里ちゃんは、ブースの奥のトルソーに飾ってたアイドルっぽい衣装を指差し、瞳を輝かせた。
こっ、この衣装は、、、!
『リア恋plus』の『高瀬みく』がデートイベントで着てくる、スーパーアイドルデート服じゃないか!
『じゃ~ん。今日のデートは思い切って、アイドルっぽくしてみたの』
と言って、みくタンが現れるのだ。
それは出現率がとても低く、難しい条件でないと見られない、かな~りSSRなイベント!
数あるみくタンの服の中でも、一番華やかできらびやかでちょっぴりセクシーな、ファン垂涎の衣装。
むしろ、自分が欲しいくらいだ!!!
「いっ、いいよ! こっ、これ、買ってあげるよ!!」
誰かに売れてしまう前に自分のものにしてしまいたい。
焦る気持ちで鼻息を荒げて吃《ども》りながら、ぼくは栞里ちゃんに『高瀬みくスーパーアイドルデート服』を買ってあげた。
服だけじゃなく、それに付随するニ-ハイソックスや髪飾り、靴など一式買ってあげたのは、言うまでもない(笑)。そこまでしないと『完コス』とは呼べない。締めて70,380円。チーン、、、
こないだの原宿に続いて財布はシクシク痛むけど、それでもヲタクなら、自分の萌えには全財産を突っ込んで後悔しないのだ!
「いい! いいっ!! すっごい可愛いよ!!!」
更衣室から恐る恐る着替えて出てきた栞里ちゃんを見て、ぼくは我を忘れて興奮してしまった。
お世辞やおべっかでなく、栞里ちゃんには『高瀬みくスーパーアイドルデート服』が、めちゃくちゃ似合ってた!
これで、髪型さえセミロングのツインテールにすれば、もうみくタンそのものだ!!
「ほんとに似合ってる?」
「うん! うん!」
「メイクとかあまりしてないんだけど、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫!」
「なんか… 恥ずかしい、、、 スカート、短すぎ…」
そう言いながら栞里ちゃんは、パンツが見えそうなくらいに短いフレアスカートの裾を引っ張る。
「しっ、写真撮ろうよ!」
こんな可愛い高瀬みくを、撮っておかない手はない。
あまりの嬉しさに、全身に鳥肌が立ってしまったぼくは、興奮したまま彼女をコスプレゾーンに連れていこうとした。
だけど栞里ちゃんは首を横に振った。
「まだ、恥ずかしい。もうちょっと慣れてから、、、」
「そ、、、 そうだね。ごめん。栞里ちゃんコスプレ初めてだし… じゃあ、あとで撮らせてね」
「うん」
なにをどうしていいかわからない栞里ちゃんは、モジモジと落ち着かなさそう。
大きな一眼レフを抱えたカメコが何人も、栞里ちゃんの高瀬みくを舐める様に見つめながら、撮影のチャンスをうかがってる。
このままここにいると、またさっきみたいなキモカメコの餌食になるのは必至だ。
「ぼくのスペースに来ない? 慣れるまで、うちの席に座ってるといいよ」
そう言ってぼくは、栞里ちゃんをサークルスペースまで案内した。
つづく
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