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8th stage
もうだれも信じる事なんてできない
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「でも… それ、書き込んだの、、、 親友だった子なんだよね」
「え?」
「表じゃ、『ずっと親友でいようね。一生いっしょだよ』なんて調子いい事言ってたけど、裏で汚いカキコして、あたしを裏切ってた」
「ど、どうしてそんな事、、、」
「あたし… その子が好きだった部活の先輩から、告られたの。
な~んか、マンガみたいな話じゃない? ありきたりすぎて、笑うしかない」
「…」
「その先輩の事、あたしはなんとも思ってなかったし、美優の気持ちを知ってたから迷惑なだけで、速攻拒否ったけど、すぐに噂が広まって、、、
美優は『それでもわたしたち親友だよ』って、笑いながら言ってくれたけど、その日から早速裏サイトに悪口書き込みはじめた。
…ったく、すぐに特定できる様な書き方するなんて、頭悪すぎ、美優」
「…その、美優ちゃんとは、今でも友達でいるの?」
「向こうは馴れ馴れしく寄ってくるけど、適当にあしらってる。
だって、もう信用できないし、二言目には『悩みがあったらなんでも話して』って、なんとかして人の弱み握ろうとして、うざいし」
「…裏サイトにカキコしてるの、美優ちゃんだけ?」
「美優に釣られて、最近は何人もカキコしてるみたい。面白半分にあることないこと人の悪口とか書いて、、、 ばっかじゃない?」
「栞里ちゃんはそれで、へっ、平気なの?」
「そりゃ、、、 イヤだけど… 別にどうでもいい。
もうだれも、信じる事なんてできない
裏サイトなんて、見なきゃいいだけの話だし。それでハブられたって、なんとも思わない」
「そんな、、、」
「でも、あたしが本当にムカつくのは、そんなあたしの事なんてお構いなしで、自分勝手で好きな事ばかりしてる、うちの連中」
「うちの連中?」
おうむ返しに訊き返すと、栞里ちゃんはちょっと躊躇ったが、すぐに喋りはじめた。
「もうすぐ、離婚するんだ。うちの両親」
「りっ、離婚? そ、それは、、、 ごめん。なんて言っていいか…」
言葉が見つからずに焦ってるぼくに、彼女はどこか醒めた様な調子で言った。
「別に、お兄ちゃんが気にしなくていいよ。そんなの、世間じゃフツーの事じゃん」
「ま、まあ、そうかもしれないけど…」
「おやじは外に愛人作っちゃって、滅多に家に帰ってこないし、おかんは余裕なくていつもイライラして、あたしに当たり散らしてた。
でも最近は、男ができたみたい。毎晩の様に出かけて、石鹸の臭いさせて帰ってくる。ナニやってきたかバレバレ。ったく、下手な隠蔽工作するなっての。頭悪すぎ!」
「…」
「お姉ちゃんだって、最近はすっかりビッチギャルになっちゃって、髪は金髪だしメイクも派手になって、勉強なんか放ったらかしで、いつも男と遊んでる。
今つきあってる男が、これまた頭悪いんだな~。
姉ちゃんのいない時にうちに来た事あったけど、お茶出したあたしの事、押し倒して組み伏せて、、、 やろうとしたのよ。
ばっかじゃない?
自分のカノジョの妹だよ?!
お姉ちゃんも、どーしてあんなつまんない男とつきあえるの?! 頭悪すぎ!」
「…」
『頭悪すぎ!』
栞里ちゃんがそう言う度に、彼女の心傷を痛烈に感じた。
そうやって相手を罵らないと、自分を保てない栞里ちゃんの心のなかを思うと、可哀想でならない。
こんな傷ついてる彼女を、いったいぼくはどう慰めてやればいいんだ?!
栞里ちゃんの表情から、強がりの笑顔さえ消えた。
感情を持たない人形の様に、淡々と話す。
「小学校の頃、あたし、学校の先生になりたいって思ってた。いつでもみんなが笑いあってられる、楽しいクラスを作りたいなって、思ってた。
だから勉強も頑張ったし、いい成績を取っていい子でいれば、親も喜んでくれて、離婚しなくてすむんじゃないかとか思ってた、、、
でも、それって、ただあたしが、バカだっただけ」
「バカって、、、」
「成績よくっても、いい子でいても、結局両親は別れちゃうし、自分より頭のいい妹を、お姉ちゃんは妬んで意地悪ばっかりするし、クラスはみんな仲悪くてギスギスしてるのに、先生はなんにもしてくれない。
自分のやってきた事って、全然な~んにも意味ない。バッカみたい」
「…」
「あたしさぁ、、、 裏サイトで『ビッチ認定』されちゃったんだ」
「え?」
満面の笑みを浮かべながら、栞里ちゃんは言った。だけどその笑いには、どこか虚ろな所がある。
「すごくない? あたしまだバージンだったのに、何人もの男からお金もらってヤッてる、『ビッチ』なんだって。
はあ? みんななに見てんの? って感じ。頭悪いよね」
「…」
「まじめに頑張ったって、勉強したって、結局いい事なんて、なんにもない。
頑張るだけ、損じゃん。だったらあたしだって、遊ばなきゃ損じゃない?
どうせ『ビッチ』とか言われるのなら、ほんとにビッチになってやった方が、すっきりするじゃん。
だからあたし、、、 家出したの」
「あ、、、」
つづく
「え?」
「表じゃ、『ずっと親友でいようね。一生いっしょだよ』なんて調子いい事言ってたけど、裏で汚いカキコして、あたしを裏切ってた」
「ど、どうしてそんな事、、、」
「あたし… その子が好きだった部活の先輩から、告られたの。
な~んか、マンガみたいな話じゃない? ありきたりすぎて、笑うしかない」
「…」
「その先輩の事、あたしはなんとも思ってなかったし、美優の気持ちを知ってたから迷惑なだけで、速攻拒否ったけど、すぐに噂が広まって、、、
美優は『それでもわたしたち親友だよ』って、笑いながら言ってくれたけど、その日から早速裏サイトに悪口書き込みはじめた。
…ったく、すぐに特定できる様な書き方するなんて、頭悪すぎ、美優」
「…その、美優ちゃんとは、今でも友達でいるの?」
「向こうは馴れ馴れしく寄ってくるけど、適当にあしらってる。
だって、もう信用できないし、二言目には『悩みがあったらなんでも話して』って、なんとかして人の弱み握ろうとして、うざいし」
「…裏サイトにカキコしてるの、美優ちゃんだけ?」
「美優に釣られて、最近は何人もカキコしてるみたい。面白半分にあることないこと人の悪口とか書いて、、、 ばっかじゃない?」
「栞里ちゃんはそれで、へっ、平気なの?」
「そりゃ、、、 イヤだけど… 別にどうでもいい。
もうだれも、信じる事なんてできない
裏サイトなんて、見なきゃいいだけの話だし。それでハブられたって、なんとも思わない」
「そんな、、、」
「でも、あたしが本当にムカつくのは、そんなあたしの事なんてお構いなしで、自分勝手で好きな事ばかりしてる、うちの連中」
「うちの連中?」
おうむ返しに訊き返すと、栞里ちゃんはちょっと躊躇ったが、すぐに喋りはじめた。
「もうすぐ、離婚するんだ。うちの両親」
「りっ、離婚? そ、それは、、、 ごめん。なんて言っていいか…」
言葉が見つからずに焦ってるぼくに、彼女はどこか醒めた様な調子で言った。
「別に、お兄ちゃんが気にしなくていいよ。そんなの、世間じゃフツーの事じゃん」
「ま、まあ、そうかもしれないけど…」
「おやじは外に愛人作っちゃって、滅多に家に帰ってこないし、おかんは余裕なくていつもイライラして、あたしに当たり散らしてた。
でも最近は、男ができたみたい。毎晩の様に出かけて、石鹸の臭いさせて帰ってくる。ナニやってきたかバレバレ。ったく、下手な隠蔽工作するなっての。頭悪すぎ!」
「…」
「お姉ちゃんだって、最近はすっかりビッチギャルになっちゃって、髪は金髪だしメイクも派手になって、勉強なんか放ったらかしで、いつも男と遊んでる。
今つきあってる男が、これまた頭悪いんだな~。
姉ちゃんのいない時にうちに来た事あったけど、お茶出したあたしの事、押し倒して組み伏せて、、、 やろうとしたのよ。
ばっかじゃない?
自分のカノジョの妹だよ?!
お姉ちゃんも、どーしてあんなつまんない男とつきあえるの?! 頭悪すぎ!」
「…」
『頭悪すぎ!』
栞里ちゃんがそう言う度に、彼女の心傷を痛烈に感じた。
そうやって相手を罵らないと、自分を保てない栞里ちゃんの心のなかを思うと、可哀想でならない。
こんな傷ついてる彼女を、いったいぼくはどう慰めてやればいいんだ?!
栞里ちゃんの表情から、強がりの笑顔さえ消えた。
感情を持たない人形の様に、淡々と話す。
「小学校の頃、あたし、学校の先生になりたいって思ってた。いつでもみんなが笑いあってられる、楽しいクラスを作りたいなって、思ってた。
だから勉強も頑張ったし、いい成績を取っていい子でいれば、親も喜んでくれて、離婚しなくてすむんじゃないかとか思ってた、、、
でも、それって、ただあたしが、バカだっただけ」
「バカって、、、」
「成績よくっても、いい子でいても、結局両親は別れちゃうし、自分より頭のいい妹を、お姉ちゃんは妬んで意地悪ばっかりするし、クラスはみんな仲悪くてギスギスしてるのに、先生はなんにもしてくれない。
自分のやってきた事って、全然な~んにも意味ない。バッカみたい」
「…」
「あたしさぁ、、、 裏サイトで『ビッチ認定』されちゃったんだ」
「え?」
満面の笑みを浮かべながら、栞里ちゃんは言った。だけどその笑いには、どこか虚ろな所がある。
「すごくない? あたしまだバージンだったのに、何人もの男からお金もらってヤッてる、『ビッチ』なんだって。
はあ? みんななに見てんの? って感じ。頭悪いよね」
「…」
「まじめに頑張ったって、勉強したって、結局いい事なんて、なんにもない。
頑張るだけ、損じゃん。だったらあたしだって、遊ばなきゃ損じゃない?
どうせ『ビッチ』とか言われるのなら、ほんとにビッチになってやった方が、すっきりするじゃん。
だからあたし、、、 家出したの」
「あ、、、」
つづく
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