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8th stage
美少女の告白なんて聞きたくない
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やっと納得できた。
栞里ちゃんが家出した理由。
彼女にとって、自分を取り巻く環境は、『世間じゃよくあるフツーの事』、なんかじゃない。
そりゃ、離婚もいじめも、世間には珍しくもないかもしれないけど、そのど真ん中にいて、荒波をモロに受けてる栞里ちゃんには、他人には想像もつかないほど、深刻な悩みなんだ。
そんな悩みを、ぼくなんかがどうやって解決してやれるというんだろう?
戸惑いをよそに、彼女の話はどんどんエスカレートしていった。
「今回の家出で、2回目なの」
「2回目?」
「初めて家出したのは夏休みに入ってすぐ。
その夜は行くとこなくて、公園のベンチで寝ちゃった」
「そっ、そんな、危ないよ!
公園のベンチなんか。だれかに襲われたらどうするんだい!」
「あたし、、、 そうなるのを待ってたのかも…」
「えっ?」
「だって、勇気がなくって…
不可抗力なら、例えそれで犯されても殺されても、『しかたない』って諦められるじゃん」
「…」
「だけど、その夜はなんにもなくて、、、 拍子抜けしちゃった。だから次の日はネカフェで、いろんな掲示板見て回ったの」
「掲示板って… 家出少女と泊め男の出会い掲示板、みたいな?」
「そう。そこで知り合った40歳くらいの男の人の家に、泊めてもらったの。もちろん、タダで泊めてもらったわけじゃない」
「…」
「それが初めてだった。けど、、、 相手なんて、だれでもよかった。あたしどうせビッチだもん。だれとでもエッチするの」
「…」
「でも、援交はしたくない。『お小遣いあげる』って言われたけど、受け取らなかった。
だって、お金とかもらったら、ただの売春じゃん。そんな即物的な理由で、家出したわけじゃないし」
「…そ、それで、、、 家出はずっとしてたの? そっ、その、おじさん家に」
「ううん。一晩泊まったあと、『仕事があるから』って言われて追い出されて、しかたないから家に帰った。
でもね。おかしいのはね。あたしが二日も家にいなくても、だれもなんにも言わない事。
だれも『どこに行ってたの?』って、訊きもしないし、探してもないのよ。
なんか、、、
家のなかじゃあたし、だれからも必要とされてないんだなって、はじめてわかった」
「…」
「2度目の家出は、お兄ちゃんと会う3日前。泊めてくれたのは大学生の男の人だった。向こうも夏休みだったから、2日間ずっと、エッチばっかりされてた。
だけど、3日目の夜。その人こっそり友達に電話してたの。『中坊拾ったからみんなでヤろう』って。
あたし、なんだか怖くなって、隙をみて逃げ出したの。そしてその晩、このマンションの入口に隠れてて、お兄ちゃんに声かけられたのよ」
「…」
、、、なにも言えなかった。
栞里ちゃんの淡々とした口調から、彼女の話が実際に起こった事だとは、とても思えなかった。
だけど、こんな事でぼくに嘘をついても、なんの得もないだろう。
じゃあこれは、ほんとの話に違いない。
だったら、、、
どうしてこんな重い話を、あっけらかんと言えるんだ?
それをぼくに話して、いったいどうしてほしいっていうんだ?
ぼくの困惑をよそに、栞里ちゃんの話は続いた。
「原宿でお兄ちゃんと別れたあと、ファーストフードで別の人に拾われて、その人とホテルに泊まったの。そいつとは二日つきあって、昨日の夜はまた別のおじさんに拾われた」
「…」
「そいつのエッチがねちっこくって。ブルマとか女児服とかヘンな服着せたがるし、からだじゅう舐め回すし、おしっこかけてとか足で踏んでくれとか言われるし、なんか変態っぽかった」
「しっ、栞里ちゃんは…」
「え?」
「その… 訊いていいかな?」
「なに? いいよ」
「エッ、エッチとか、、、 好きなの?」
「…大っキライ!」
眉をひそめて、彼女は言い放った。
「じゃあ、どうして…」
「罰なの」
「罰?」
「あたしは、だれからも必要とされてない、いらない人間だから。ダメな人間だから。こうしてみんなから汚されて、堕とされて、罰を受けなきゃいけないの」
「そ、そんな…」
「だから、お金なんかもらわない。これはあたしへの罰なんだから」
「…」
「最後の人からはやっぱり、『お金払う』って言われたけど、断ったら、この服くれたの。
その人の趣味で買ったジュニア服だったから、イヤだったけど、今まで着てた服は汗ばんで臭くて気持ち悪かったし、とりあえずもらうしかないかって思って…」
「…」
「でも…」
「でも?」
「…」
それっきり、栞里ちゃんは口を閉ざした。
両手をぎゅっと握りしめ、うつむいてる。
肩がかすかに揺れてるのがわかる。
ふっくらとした可憐な唇が、、、 震えてる。
おっ、、、 重い。
重過ぎる!
こんな話、聞くんじゃなかった。
栞里ちゃんからこんな重い話、聞きたくなかった!!
つづく
栞里ちゃんが家出した理由。
彼女にとって、自分を取り巻く環境は、『世間じゃよくあるフツーの事』、なんかじゃない。
そりゃ、離婚もいじめも、世間には珍しくもないかもしれないけど、そのど真ん中にいて、荒波をモロに受けてる栞里ちゃんには、他人には想像もつかないほど、深刻な悩みなんだ。
そんな悩みを、ぼくなんかがどうやって解決してやれるというんだろう?
戸惑いをよそに、彼女の話はどんどんエスカレートしていった。
「今回の家出で、2回目なの」
「2回目?」
「初めて家出したのは夏休みに入ってすぐ。
その夜は行くとこなくて、公園のベンチで寝ちゃった」
「そっ、そんな、危ないよ!
公園のベンチなんか。だれかに襲われたらどうするんだい!」
「あたし、、、 そうなるのを待ってたのかも…」
「えっ?」
「だって、勇気がなくって…
不可抗力なら、例えそれで犯されても殺されても、『しかたない』って諦められるじゃん」
「…」
「だけど、その夜はなんにもなくて、、、 拍子抜けしちゃった。だから次の日はネカフェで、いろんな掲示板見て回ったの」
「掲示板って… 家出少女と泊め男の出会い掲示板、みたいな?」
「そう。そこで知り合った40歳くらいの男の人の家に、泊めてもらったの。もちろん、タダで泊めてもらったわけじゃない」
「…」
「それが初めてだった。けど、、、 相手なんて、だれでもよかった。あたしどうせビッチだもん。だれとでもエッチするの」
「…」
「でも、援交はしたくない。『お小遣いあげる』って言われたけど、受け取らなかった。
だって、お金とかもらったら、ただの売春じゃん。そんな即物的な理由で、家出したわけじゃないし」
「…そ、それで、、、 家出はずっとしてたの? そっ、その、おじさん家に」
「ううん。一晩泊まったあと、『仕事があるから』って言われて追い出されて、しかたないから家に帰った。
でもね。おかしいのはね。あたしが二日も家にいなくても、だれもなんにも言わない事。
だれも『どこに行ってたの?』って、訊きもしないし、探してもないのよ。
なんか、、、
家のなかじゃあたし、だれからも必要とされてないんだなって、はじめてわかった」
「…」
「2度目の家出は、お兄ちゃんと会う3日前。泊めてくれたのは大学生の男の人だった。向こうも夏休みだったから、2日間ずっと、エッチばっかりされてた。
だけど、3日目の夜。その人こっそり友達に電話してたの。『中坊拾ったからみんなでヤろう』って。
あたし、なんだか怖くなって、隙をみて逃げ出したの。そしてその晩、このマンションの入口に隠れてて、お兄ちゃんに声かけられたのよ」
「…」
、、、なにも言えなかった。
栞里ちゃんの淡々とした口調から、彼女の話が実際に起こった事だとは、とても思えなかった。
だけど、こんな事でぼくに嘘をついても、なんの得もないだろう。
じゃあこれは、ほんとの話に違いない。
だったら、、、
どうしてこんな重い話を、あっけらかんと言えるんだ?
それをぼくに話して、いったいどうしてほしいっていうんだ?
ぼくの困惑をよそに、栞里ちゃんの話は続いた。
「原宿でお兄ちゃんと別れたあと、ファーストフードで別の人に拾われて、その人とホテルに泊まったの。そいつとは二日つきあって、昨日の夜はまた別のおじさんに拾われた」
「…」
「そいつのエッチがねちっこくって。ブルマとか女児服とかヘンな服着せたがるし、からだじゅう舐め回すし、おしっこかけてとか足で踏んでくれとか言われるし、なんか変態っぽかった」
「しっ、栞里ちゃんは…」
「え?」
「その… 訊いていいかな?」
「なに? いいよ」
「エッ、エッチとか、、、 好きなの?」
「…大っキライ!」
眉をひそめて、彼女は言い放った。
「じゃあ、どうして…」
「罰なの」
「罰?」
「あたしは、だれからも必要とされてない、いらない人間だから。ダメな人間だから。こうしてみんなから汚されて、堕とされて、罰を受けなきゃいけないの」
「そ、そんな…」
「だから、お金なんかもらわない。これはあたしへの罰なんだから」
「…」
「最後の人からはやっぱり、『お金払う』って言われたけど、断ったら、この服くれたの。
その人の趣味で買ったジュニア服だったから、イヤだったけど、今まで着てた服は汗ばんで臭くて気持ち悪かったし、とりあえずもらうしかないかって思って…」
「…」
「でも…」
「でも?」
「…」
それっきり、栞里ちゃんは口を閉ざした。
両手をぎゅっと握りしめ、うつむいてる。
肩がかすかに揺れてるのがわかる。
ふっくらとした可憐な唇が、、、 震えてる。
おっ、、、 重い。
重過ぎる!
こんな話、聞くんじゃなかった。
栞里ちゃんからこんな重い話、聞きたくなかった!!
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