恋とかできるわけがない 〜ヲタクがJC拾ってもなにもできない件

茉莉 佳

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Death Jail

2017-08-14のブログ

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     2017-08-14 09:17
         ☆無題

   オタクはバタバタと仕事に出かけた。
   昨日の事はまったく憶えてないみたい。
   あたしの言う事全部信じちゃって、ごはん代まで置いてった。
   本気で責任とるつもり?
   結構お人好しっていうか、、、バカ?
   こういう人って、世の中じゃきっと、損するんだよね。

   正直に生きたって、ロクな事はない。
   うまく人を操って、
   上手に世の中を渡っていける小狡いヤツが、
   最後は勝ち残る。
   でもあたし、そんな風には生きられない。
   自分も不器用な方でイヤになるけど、こいつも鈍臭い。
   今どきこんな男がいるなんて、なんか意外。
   きっとこの人、カノジョいたことないだろな。

   でも油断できない。
   もしかして、
   昨日の男みたいに友達連れて帰ってくるかもしれない。
   夜になったら、みんなであたしをなぶるつもりかもしれない。
   嬲るって漢字、まさに字のまんま。
   男がよってたかって、
   女を痛めつけるんだ。
   やっぱり、ここからも逃げた方がいいかな?

   でももう疲れた。
   昨日までのエッチでからだが軋んでる。
   帰ってくるまではゆっくりさせてもらおう。
   そのときはそのとき。
   別に犯されたっていい。
   覚悟はできてる。
   あんなキモ男に抱かれるなんて惨めだけど、
   今のあたしにはそれがお似合い。



     2017-08-14 19:20
         ☆無題

   心配そうな視線を、あたしに向けてくるオタク男。
   あたしのこと、気にかけてくれてるみたい。

   ありえない。

   今朝だって、オタクが出勤するのを邪魔する様に、
   わざといろんなワガママを言って困らせたのに、
   オタクはそんなあたしのワガママを、いちいち真に受けて、
   全部叶えてくれた。

   信じられない。

   人間って、だれでも自分が一番可愛くて大事で、
   他人なんてどうでもいいはずなのに、
   どうしてあたしに、そんなによくしてくれるんだろ?

   オタクにとっては、あたしなんてただの家出娘で、
   どっかでのたれ死んでも、関係ない話。

   だったら、さっさと自分のしたい事して、
   溜まった欲望をあたしのなかに吐き出せばいいのに、
   オタクはそんな事しようともしない。

   ううん。
   正確には、エッチしたいのをガマンしてるみたい。

   オタクのあたしを見る目つきが、悩ましい。
   胸とかお尻を覗き見る視線を、痛いほど感じる。
   だけど、物欲しそうに見てるだけ。
   それ以上なにかをしてくることはない。

   ただのチキン?

   かと思ったけど、
   昨夜あたしとエッチしたって、オタクは信じてるから、
   いつでも手出してきたって、おかしくはないはず。
   なのに、あたしが挑発しても、触ろうともしない。

   それって、あたしのこと、思ってくれてるってこと?
   自分の欲望より、あたしの気持ちを優先してくれてるってこと?

   そんなお人好しがこの世にいるなんて、
   信じられない。

   でも、騙されちゃいけない。
   信じると、必ず裏切られる。
   美優もそうだった。
   美優、、
   ほんとに、親友だって思ってたんだよ。
   ただひとり心開けて
   悩み相談できて
   一生親友て思ってた。。

   あたしがバカだった。

   心を開くというのは、弱い自分をさらけ出すってこと。
   その弱い部分を、他人は攻撃してくる。
   自分以外は、みんな敵。

   だれも信じず、だれも寄せつけなければ、
   傷つかずにすむ。


時間が経つのも忘れて、ぼくは次々に記事をクリックしていった。

『お人好し』で『鈍臭い』ぼくに、最初は呆れてバカにしてた栞里ちゃん。
そんなぼくをいじるのがおもしろくなってきて、挑発してみたり、ワガママ言ってみたり。
そうしてるうちに、いつの間にかぼくの部屋が居心地よくなってきて、次第にぼくの事も、なんだか安心できる存在になっていく。
だけど、そうやって居心地がよくなるほど、
『信じたい』けど、
『信じれば裏切られる』
『頼りたい』けど、
『頼れば突き放される』
というふたつの気持ちがぶつかりあい、希望と絶望のはざまで揺れ動く栞里ちゃん。

自分のなかに生まれた『あったかい気持ち』に困惑し、ぼくに迷惑をかける事を怖れた栞里ちゃんは、ついに部屋を出ていく決心をした。
だけど、行くあてもなく、ビルの最上階の非常階段で、ぼんやり過ごしてた。
そんな彼女をぼくは、偶然見つけたんだった。

つづく
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