あいつに惚れるわけがない

茉莉 佳

文字の大きさ
37 / 259
level 5

「まるでファッション雑誌のひとコマみたいです」

しおりを挟む
「OKっ。すっごくいいよ! 今度はもっと脚を開いて、背筋をしゃきっと伸ばして立ってみて」

バッグから別のレンズを取り出し、カメラにつけながら、歩道橋を数段降りたヨシキさんは、わたしを見上げてそう指示した。

えっ?
そんなにローアングルから撮るの?
しかも、脚を広げるって…

今着ている服は、フレアのミニ丈なのに。
それじゃあ、パンツが見えてしまうのでは?
ヨシキさんはそんなヘンな写真を撮るような人だったの?!
しかもこんな白昼堂々と、都庁舎の前で。

そう思って一瞬戸惑ったものの、からだはヨシキさんの言うとおりに反応した。
脚のスタンスを広くとったわたしは、背筋を伸ばしてカメラを見た。
わたしはヨシキさんを信頼している。
彼がそう望むのなら、期待に応えたい。

「いいよいいよ! そう! 腕を高く挙げてみて」

ヨシキさんの言うとおりにポーズをとったけど、カメラからはスカートの中が丸見えな気がして、恥ずかしさでいっぱい。頬が紅潮してくる

「ほら。こんな感じはどう?」

何枚か撮ったあと、ヨシキさんは階段を軽やかに駆け上がってきて、カメラのモニターをわたしに向けて、撮ったばかりの画像を見せてくれた。

それは、想像もしていなかったような写真。
深い青空に、真っ白なコントラストを描いた都庁舎の高層ビルを背景に、思いっきり開放的なポーズのわたしが、カッコよく立っている。
こんなに大きくて背の高い都庁舎が、頂上まで全部収まっているのがすごい。
なによりわたしのプロポーション。
頭が小さく脚がすごく長い。
まるでファッション雑誌のひとコマみたいに、スタイルがよく見える。
ミニのワンピースの内側は少し見えているものの、それが逆に脚の長さを際立たせている。
そよ風にふわりと揺れているスカートの裾が、なんだか危うくて色っぽい。もちろんパンツなんて写っていなかった。

「すごいです! どうしてこんなに脚が長く写るんですか?
しかも、顔が小さいです。9頭身くらいに見えますけど!」
「ああ。超広角レンズを使ったからさ」
「超広角レンズ?」
「広い場所を写し込めるレンズのこと」
「それを使うと、脚が長く見えるんですか?!」
「まあね。そういう使い方もあるな。美月ちゃんもせっかくミニワンピ着てるし、もっと美脚を活かしたいなと思って、こんなアングルで撮ってみたんだけど、どうかな? エロ過ぎ?」
「いいえ。すっごくいいです。なんだか新鮮で」
「そう? よかった。高校生くらいじゃこういうきわどいの、抵抗あるかと思ったけど」
「全然大丈夫です。むしろもっと撮ってほしいというか」
「へぇ~。意外と大胆なんだ」

ヨシキさんはそう言って、茶化すように微笑んだ。

やっぱり、ヨシキさんっていい。
カメラの機材や撮影技術のことはわたしにはわからないけど、この人なら信用できる。
ヨシキさんの言うとおりにしていれば、こんなに素敵なわたしを撮ってもらえる。
はじめのうちはデート気分で、ヨシキさんのことを意識して緊張していたけど、撮られているうちに、わたしはすっかり撮影に没頭してしまった。

つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

処理中です...