あいつに惚れるわけがない

茉莉 佳

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level 8

「どうしてあんな声が出てしまうのでしょうか?」(性表現あり)

焦りながらも、他の言い訳を考える。
しかし、母はそれ以上追求してくることはなかった。
代わりにいつものようにグチグチと、わたしに対する不満を口にする。
ひととおりの説教を終えると、最後に念を押すように言った。

「明日は帰るんでしょ?」
「もちろんです」
「門限は守りなさいよ」
「はい」
「じゃあ、今日はもういいわ。あまりご迷惑かけないようにしなさいよ。そちらの人によろしくね」
「…はい」

意外とあっさり引き下がったな。
ちょっと拍子抜けして、わたしは携帯を切った。
それにしても。
優花さんと言わず、あえて『そちらの人』って…
嘘をついているのが、母にはもうバレているのかもしれない。

「凛子ちゃん。本当に大丈…」
「ヨシキさん!」

彼の言葉が終わらないうちに、わたしはヨシキさんの胸に飛び込んだ。

「オレ、凛子ちゃんを悪い子にしたみたいだな」

わたしを抱きしめ、髪を撫でながら、ヨシキさんは言った。
こうなったら、もうあとには引けない。
例え母に叱られようと、それでもわたしは、ヨシキさんといっしょにいたいのだ。

「自分で決めたことです」
「大胆だな。凛子ちゃんって」
「そうですか?」
「さすが、オレが惚れただけのことはある」
「本当に惚れていますか?」
「もうメロメロ。ついさっきまでヴァージンだったなんて、とても思えないよ」
「そんな…」
「嬉しいよ。はじめてであんなに感じてくれるなんて」
「え… わたし、変でしたか?」
「変なんかじゃないよ。すごく可愛かった」
「なんか… 恥ずかしいです。変なところ、たくさん見せてしまって。どうしてあんな声が出てしまうのでしょうか?」
「凛子ちゃんの喘ぎ声、ほんとに鈴みたいに綺麗で、興奮するよな」
「もうっ。恥ずかしいこと言わないでください」
「ははは。あんなエロ可愛い凛子ちゃんを、オレは独り占めできたんだな」
「ヨシキさん…」
「最高に幸せだよ」
「わたしの方こそ幸せです。ヨシキさんが最初のひとで」
「ありがとう。大事にするよ」
「嬉しいです」
「凛子ちゃん…」

熱い吐息でヨシキさんはささやくと、両手でわたしを抱きしめる。
ヨシキさんの背中に腕をまわし、わたしもぎゅっとヨシキさんを抱きしめた。
広い背中に、厚い胸。
一見華奢に見えるけど、こうして手を回すとゴツゴツしていて、硬くて逞しい。
はじめての感触に思わず胸がときめいて、わたしの方からキスをした。

「可愛すぎるよ凛子ちゃん。オレ、もう元気になっちまった」

そう言って、ヨシキさんはわたしをベッドに組み伏せ、胸に顔を埋めた。
まるで赤ちゃんのように、わたしの胸にしゃぶりついてくる。
そんな仕草が可愛くて愛おしく、思わず頭を撫でる。
からだがジンジンと火照ってきて、気持ちが昂まっていく。
はじめての時よりも、からだが潤って、ヨシキさんをすんなりと受け入れることができた。
そのあとはもう、本能のおもむくまま。

ヨシキさんの部屋ではじめて過ごす長い夜。
わたしたちは飽きることなく、何度も何度もからだを重ねた。

つづく
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