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「トップモデルとカメラマンの前で撮るのですか?」
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「『女の子』って歳でもないだろ。みっこも」
「んもうっ、川島君まで。今は実年齢より、見た目が大事なのよ」
「まあ、最近はアンチエイジングってことで、アラサーやアラフォーのモデルもたくさんいるし、みっこみたいに40過ぎても雑誌のカバーモデルやれるのも珍しくなくなったよな。
昔よりモデル寿命は延びたと実感するけど、これも『高齢化』ってことかな」
「その、『高齢化』って言葉。癪に触るな~。
まあ、モデルも確実に若い子にとって替わられてるけどね。凛子ちゃんみたいな」
「凛子ちゃん? ああ、ヨシキの話どおりだな。島津の容姿端麗な…」
「『お姫さま』。ですか?」
川島さんの言葉を遮り、わたしはヨシキさんの方に居直った。
「ヨシキさん、みなさんにわたしのこと、そう言い回っているのですか?」
「そ、そういうわけじゃないけど… 参ったなぁ~」
「ははは。ヨシキは毎日、凛子ちゃんの話ばかりだよ。『すっごく綺麗でスタイルよくって雰囲気あって、モデルになれば間違いなくブレイクする』って。写真も見せてもらったけど、とてもよかったよ」
「あ、ありがとうございます」
少し緊張して、わたしは答える。
ヨシキさん、職場ではわたしのことを、そんな風に言っていたのか。
なんだか恥ずかしいような、嬉しいような。
照れを隠すように、ヨシキさんも強い口調で川島さんに言う。
「だいたい社長、今日来るなんて、言ってなかったじゃないすか」
「おまえが推してるモデル候補の子を、ぜひ生で見たくてね。都合つけたんだ」
「しかも、みっこさんまで連れてきて」
「みっこの方がモデルを見る目があるし、時間作ってもらったんだよ。ついでにおまえがどんな撮影するかも、見てみたかったしな」
「マジっすか?!」
「ぼくは口出さないから、自由にやれよ。じっくり見せてもらおうじゃないか。おまえの撮影」
「んなこと言って、オレから盗む気っすね。若くて鋭い感性を」
「ははは。そうだよ。おまえのセンス、しっかり見せていただくよ。今日のスタジオレンタル料としてな」
「ったく、このおっさんは…」
「ははは。無駄口叩いてないでそろそろはじめろよ。お姫様もお待ちかねだぞ」
「え? 社長だけじゃなく、みっこさんが見てる前で撮るんすか?」
「あたりまえでしょ。そのために来たんだから」
森田さんが横から口を挟んだ。
「あたしの前じゃ撮れない、ってことはないでしょ? ヨシキくん」
「ま、まあ、そんなことはないけど… にしても、人目多過ぎっすよ。凛子ちゃんも気が散るだろし」
「凛子ちゃんはともかく、あなたはいつもの仕事撮影と変わらないでしょ。たくさんのスタッフやクライアントが見てる前で撮るのは」
「でも… やりにくいな~」
そう言いながら、ヨシキさんは渋々カメラを手にとった。
え?
こんなすごいふたり… トップモデルと一流カメラマンが見ている前で、わたしは撮られるの?
思わずからだがこわばる。
「緊張するなってのは無理だろうけど、ぼくたちのことは空気だとでも思って、リラックスして撮影を楽しみなよ、凛子ちゃん」
わたしの緊張を察して、川島さんが声をかけてくれた。
「さすが『空気読めないスタジオ』社長。自分から空気になったわね。あたしのことも、そのへんの置物だと思ってていいわよ」
森田さんが横から茶化して、ニッコリ微笑む。
ふたりともやさしい。
おかげで少しは、緊張もやわらぐ。
つづく
「んもうっ、川島君まで。今は実年齢より、見た目が大事なのよ」
「まあ、最近はアンチエイジングってことで、アラサーやアラフォーのモデルもたくさんいるし、みっこみたいに40過ぎても雑誌のカバーモデルやれるのも珍しくなくなったよな。
昔よりモデル寿命は延びたと実感するけど、これも『高齢化』ってことかな」
「その、『高齢化』って言葉。癪に触るな~。
まあ、モデルも確実に若い子にとって替わられてるけどね。凛子ちゃんみたいな」
「凛子ちゃん? ああ、ヨシキの話どおりだな。島津の容姿端麗な…」
「『お姫さま』。ですか?」
川島さんの言葉を遮り、わたしはヨシキさんの方に居直った。
「ヨシキさん、みなさんにわたしのこと、そう言い回っているのですか?」
「そ、そういうわけじゃないけど… 参ったなぁ~」
「ははは。ヨシキは毎日、凛子ちゃんの話ばかりだよ。『すっごく綺麗でスタイルよくって雰囲気あって、モデルになれば間違いなくブレイクする』って。写真も見せてもらったけど、とてもよかったよ」
「あ、ありがとうございます」
少し緊張して、わたしは答える。
ヨシキさん、職場ではわたしのことを、そんな風に言っていたのか。
なんだか恥ずかしいような、嬉しいような。
照れを隠すように、ヨシキさんも強い口調で川島さんに言う。
「だいたい社長、今日来るなんて、言ってなかったじゃないすか」
「おまえが推してるモデル候補の子を、ぜひ生で見たくてね。都合つけたんだ」
「しかも、みっこさんまで連れてきて」
「みっこの方がモデルを見る目があるし、時間作ってもらったんだよ。ついでにおまえがどんな撮影するかも、見てみたかったしな」
「マジっすか?!」
「ぼくは口出さないから、自由にやれよ。じっくり見せてもらおうじゃないか。おまえの撮影」
「んなこと言って、オレから盗む気っすね。若くて鋭い感性を」
「ははは。そうだよ。おまえのセンス、しっかり見せていただくよ。今日のスタジオレンタル料としてな」
「ったく、このおっさんは…」
「ははは。無駄口叩いてないでそろそろはじめろよ。お姫様もお待ちかねだぞ」
「え? 社長だけじゃなく、みっこさんが見てる前で撮るんすか?」
「あたりまえでしょ。そのために来たんだから」
森田さんが横から口を挟んだ。
「あたしの前じゃ撮れない、ってことはないでしょ? ヨシキくん」
「ま、まあ、そんなことはないけど… にしても、人目多過ぎっすよ。凛子ちゃんも気が散るだろし」
「凛子ちゃんはともかく、あなたはいつもの仕事撮影と変わらないでしょ。たくさんのスタッフやクライアントが見てる前で撮るのは」
「でも… やりにくいな~」
そう言いながら、ヨシキさんは渋々カメラを手にとった。
え?
こんなすごいふたり… トップモデルと一流カメラマンが見ている前で、わたしは撮られるの?
思わずからだがこわばる。
「緊張するなってのは無理だろうけど、ぼくたちのことは空気だとでも思って、リラックスして撮影を楽しみなよ、凛子ちゃん」
わたしの緊張を察して、川島さんが声をかけてくれた。
「さすが『空気読めないスタジオ』社長。自分から空気になったわね。あたしのことも、そのへんの置物だと思ってていいわよ」
森田さんが横から茶化して、ニッコリ微笑む。
ふたりともやさしい。
おかげで少しは、緊張もやわらぐ。
つづく
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