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level 21
「みんなの手のひらの上で踊らされていました」
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「まあ、兄のおれから見ても、凛子は美人だし、背も高くてスタイルいいから、モデルは向いてると思うぜ。胸はないからセクシー系は無理だろうけどな」
「まっ、放っといてください!」
「はは。その、勝ち気で鼻っ柱が強いとこも、ライバルに立ち向かうにはちょうどいいんじゃないか?」
「…」
「三人の話し合いにおれが呼ばれたときには、契約書の有効性について話してたぜ。
正式な書類にちゃんと捺印してるし、サインも、凛子が偽造したって言わなきゃわからないから、両親の承諾さえもらえれば、このままでいいだろうってことになってたな。
この件は、事務所にも最初っから話してないらしいし、森田さんの胸のなかだけに納めておくつもりだったんじゃないか?」
「…」
「でも、このまますんなり、凛子のわがままを通すのは絶対いけない。あいつのためにならない。しっかりお灸を据えとかなきゃって、三人とも言ってたぜ」
「お灸、、」
「そりゃそうだろうよ。
凛子はもともと正義感強くて、まっすぐでかっこいい女の子だったからな。
おれだって、最近の凛子見てるとなんかもどかしくて、煮え切らなかったから、気合い入れ直すためにも、今回のことはいい薬になったんじゃないか?」
「…」
「ああ、それからな。
父さん、長年の森田さんのファンだって。
話し合いが終わったあと、サインとかもらってさ、やけに嬉しそうだったな」
「えっ? お父さまが」
「母さんもらしいぜ。森田さんの出るドラマとか映画を見てたらしくて、話し合いのあとはお茶しながら、みんなで楽しそうに盛り上がってたぜ。
にしても、森田美湖さんって、画面で見るのと変わらないくらい、超絶美しいな。全然アラフォーって気がしない。
おまけにほがらかで笑顔が素敵で、おれも一発でファンになったよ。
父さんなんか、これからもおまえがずっと森田さんにお世話になるって聞いて、ウキウキしてたぜ」
「…」
「今度おれにも紹介しろよな。凛子の彼氏。
どんなやつか、おれが見定めてやるよ。はは」
気楽な口調で全部暴露すると、兄は笑った。
…なんてことだ。
あんなに必死に考えて、反省して、自分の進路を心に誓ったというのに、、、
わたしはすっかり、両親の手のひらの上で踊らされてたのか!
それだけじゃなく、みっこさんにまで!
両親は教育者で、みっこさんは大女優。
みんな、なんて芸達者なんだ。
まったく、おとなって侮れない。
わたしが乗り越えようと思ってる壁って、予想以上に厚くて高いのかもしれない。
「でもそれ、お兄さまがわたしにバラしていいの? あとで怒られても知らないわよ」
少々気が抜けたわたしは、反動で少し憤りながら、兄に訊いた。
「むしろ、説教が終わったあと、『凛子に言っておけ』って言われたんだよ」
「?」
「おまえの負担を軽くしてやりたかったんじゃないか?
あれだけよってたかってヘコまされたら、さすがの凛子でも立ち直れないかもしれなかったからな。
説教後のメンタルケアまで考えてるなんて、我が両親ながら恐れ入るぜ。
でも凛子、また、あの三人を怒らせるようなことしてみろよ。
今度はもっとひどい目に遭うぜ」
最後にそう脅して、兄はにやりと笑った。
…完敗だ。
やっぱりわたし、あの三人にはまだまだ敵わない。
つづく
「まっ、放っといてください!」
「はは。その、勝ち気で鼻っ柱が強いとこも、ライバルに立ち向かうにはちょうどいいんじゃないか?」
「…」
「三人の話し合いにおれが呼ばれたときには、契約書の有効性について話してたぜ。
正式な書類にちゃんと捺印してるし、サインも、凛子が偽造したって言わなきゃわからないから、両親の承諾さえもらえれば、このままでいいだろうってことになってたな。
この件は、事務所にも最初っから話してないらしいし、森田さんの胸のなかだけに納めておくつもりだったんじゃないか?」
「…」
「でも、このまますんなり、凛子のわがままを通すのは絶対いけない。あいつのためにならない。しっかりお灸を据えとかなきゃって、三人とも言ってたぜ」
「お灸、、」
「そりゃそうだろうよ。
凛子はもともと正義感強くて、まっすぐでかっこいい女の子だったからな。
おれだって、最近の凛子見てるとなんかもどかしくて、煮え切らなかったから、気合い入れ直すためにも、今回のことはいい薬になったんじゃないか?」
「…」
「ああ、それからな。
父さん、長年の森田さんのファンだって。
話し合いが終わったあと、サインとかもらってさ、やけに嬉しそうだったな」
「えっ? お父さまが」
「母さんもらしいぜ。森田さんの出るドラマとか映画を見てたらしくて、話し合いのあとはお茶しながら、みんなで楽しそうに盛り上がってたぜ。
にしても、森田美湖さんって、画面で見るのと変わらないくらい、超絶美しいな。全然アラフォーって気がしない。
おまけにほがらかで笑顔が素敵で、おれも一発でファンになったよ。
父さんなんか、これからもおまえがずっと森田さんにお世話になるって聞いて、ウキウキしてたぜ」
「…」
「今度おれにも紹介しろよな。凛子の彼氏。
どんなやつか、おれが見定めてやるよ。はは」
気楽な口調で全部暴露すると、兄は笑った。
…なんてことだ。
あんなに必死に考えて、反省して、自分の進路を心に誓ったというのに、、、
わたしはすっかり、両親の手のひらの上で踊らされてたのか!
それだけじゃなく、みっこさんにまで!
両親は教育者で、みっこさんは大女優。
みんな、なんて芸達者なんだ。
まったく、おとなって侮れない。
わたしが乗り越えようと思ってる壁って、予想以上に厚くて高いのかもしれない。
「でもそれ、お兄さまがわたしにバラしていいの? あとで怒られても知らないわよ」
少々気が抜けたわたしは、反動で少し憤りながら、兄に訊いた。
「むしろ、説教が終わったあと、『凛子に言っておけ』って言われたんだよ」
「?」
「おまえの負担を軽くしてやりたかったんじゃないか?
あれだけよってたかってヘコまされたら、さすがの凛子でも立ち直れないかもしれなかったからな。
説教後のメンタルケアまで考えてるなんて、我が両親ながら恐れ入るぜ。
でも凛子、また、あの三人を怒らせるようなことしてみろよ。
今度はもっとひどい目に遭うぜ」
最後にそう脅して、兄はにやりと笑った。
…完敗だ。
やっぱりわたし、あの三人にはまだまだ敵わない。
つづく
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