Campus91

茉莉 佳

文字の大きさ
40 / 300
05 Love Affair

Love Affair 8

ほっとすると同時に、なんだか拍子抜けしてしまった。
高校時代のあの、わたしの運命を変えたと思った大事件は、いったいなんだったの?!
ただの勘違いだった、って『オチ』がついていたってことか。
今までずっと悩んできたのが、バカみたい。
もっと早くこんな風に、川島君にほんとのことを聞けたらよかったんだけど、挨拶する勇気さえなかった当時の自分には、無理な話よね。
まあ、川島君のご機嫌損ねるようなことを言ってしまったのは失敗だったけど、とりあえず、ふたりの関係の確認はできたので、よしとするか。

なんだか… 希望が見えてきた気がする。
川島君と蘭さんの噂を周りから散々聞かされてきて、その度に胸が引き裂かれる思いにかられてきたけど、ふたりは実は、恋人同士なんかじゃなかったことを、川島君本人の口から聞けて。

気持ちが明るくなったせいか、わたしは少しおしゃべりになった。
「そうよね~。わたしも、男性心理知りたいと思って、ただの男友達と恋愛話なんかしてて、人に誤解されたりしたら、イヤだもん。モデルで水着とかになったりするなら、なおさらだろうし。
男女でいっしょになって創作活動するのって、意外と難しいのかもね。世間的には」
「…そうだな」
一瞬、複雑な表情を見せた川島君だったが、すぐに笑顔に戻って言った。
「理想の恋愛としては、お互いが尊敬しあって、人間性を高めあえるような関係になれればって、思うよ」
「あ。それいい。『エースをねらえ!』の岡ひろみと藤堂さんみたいな感じ。男と女って前に、同じ人間として対等につきあえればいいよね。お互いにないものをそれぞれ持ってるんだもの、尊敬しあわなくちゃね」
「そうだよな。男と女って、いっしょになってはじめて完全な人間になれる気がする。パズルのでこぼこを組み合わせる様に。まあ、体の構造もそうなってるけどな」
「やだ。川島君っ」
「あははは、ごめんごめん。だけどみんな、人間性を磨くより、凸凹をくっつけることにばっかり執着してるんだよな~」
「ん~… しかたないよ。だって、興味ないって言ったら、嘘になるもの」
「さつきちゃんも?」
「あ、あたりまえじゃない。わたしだって、ふつうの女の子だもん」
「ははは。ぼくだってふつうの男の子だしな」
「川島君はそんな経験、あるの?」
「え?」
突然の質問に不意を突かれたように、川島君は目を見開いてわたしを見た。
わたしだってびっくり。
こんな大胆なこと、訊いてしまうなんて!
少し頬を赤らめながら、照れるように川島君は答える。
「恋愛経験、乏しいって言ったろ」
「でも、乏しいってことは、少しはあるってことじゃないの?」
「だからぁ、恥ずかしいことを何回も言わせるなよぉ。この年でドーテーだなんて、ちょっとした屈辱なんだから」
「えっ? あ。ごっ、ごめん」
「ん~。まあ、いいけど」
「だっ、大丈夫。わたしだって、まだだから」
「まだ? そうか。さつきちゃん、まだバージンなのか。そうか~♪」
「なっ、なに嬉しそうに言ってるのよ。恥ずかしいじゃない」

なんか、すごい。
わたし、今、川島君と恋愛話してる!
まさか今日彼と、こんな深い話ができるなんて、思わなかった。
でも、話の流れが妙な方向にいっちゃってる。
今夜は人目につかない奥のボックス席に座れたから、こんな大胆な会話だってできるのかも。ふたりとも紅茶で酔っちゃったかな。

川島君は頬杖ついて、わたしを艶っぽく見つめる。
なんて悩ましげな視線。
なんだか恥ずかしくなって、わたしはうつむいてしまった。
「でも、さつきちゃんって可愛いのに、彼氏いないなんて、なんだか意外だな」
「そ、そう? そんなこと言われたの初めて…」
『可愛い』だなんて… 
好きな人からそんな風に言われると、からだの中から脳内麻薬エンドロフィンがどんどん分泌されてくるようで、幸せな妄想とか幻想が膨らんでくる。
顔にも血がのぼってきて、耳たぶまで火照ってる。川島君からこんなに色っぽい視線で、見つめられているからかもしれない。
「さつきちゃん… ぼくと…」

つづく
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

芙蓉は後宮で花開く

速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。 借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー カクヨムでも連載しております。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~

馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」 入社した会社の社長に 息子と結婚するように言われて 「ま、なぶくん……」 指示された家で出迎えてくれたのは ずっとずっと好きだった初恋相手だった。 ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ ちょっぴり照れ屋な新人保険師 鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno- × 俺様なイケメン副社長 遊佐 学 -Manabu Yusa- ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ 「これからよろくね、ちとせ」 ずっと人生を諦めてたちとせにとって これは好きな人と幸せになれる 大大大チャンス到来! 「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」 この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。 「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」 自分の立場しか考えてなくて いつだってそこに愛はないんだと 覚悟して臨んだ結婚生活 「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」 「あいつと仲良くするのはやめろ」 「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」 好きじゃないって言うくせに いつだって、強引で、惑わせてくる。 「かわいい、ちとせ」 溺れる日はすぐそこかもしれない ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ 俺様なイケメン副社長と そんな彼がずっとすきなウブな女の子 愛が本物になる日は……