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05 Love Affair
Love Affair 8
ほっとすると同時に、なんだか拍子抜けしてしまった。
高校時代のあの、わたしの運命を変えたと思った大事件は、いったいなんだったの?!
ただの勘違いだった、って『オチ』がついていたってことか。
今までずっと悩んできたのが、バカみたい。
もっと早くこんな風に、川島君にほんとのことを聞けたらよかったんだけど、挨拶する勇気さえなかった当時の自分には、無理な話よね。
まあ、川島君のご機嫌損ねるようなことを言ってしまったのは失敗だったけど、とりあえず、ふたりの関係の確認はできたので、よしとするか。
なんだか… 希望が見えてきた気がする。
川島君と蘭さんの噂を周りから散々聞かされてきて、その度に胸が引き裂かれる思いにかられてきたけど、ふたりは実は、恋人同士なんかじゃなかったことを、川島君本人の口から聞けて。
気持ちが明るくなったせいか、わたしは少しおしゃべりになった。
「そうよね~。わたしも、男性心理知りたいと思って、ただの男友達と恋愛話なんかしてて、人に誤解されたりしたら、イヤだもん。モデルで水着とかになったりするなら、なおさらだろうし。
男女でいっしょになって創作活動するのって、意外と難しいのかもね。世間的には」
「…そうだな」
一瞬、複雑な表情を見せた川島君だったが、すぐに笑顔に戻って言った。
「理想の恋愛としては、お互いが尊敬しあって、人間性を高めあえるような関係になれればって、思うよ」
「あ。それいい。『エースをねらえ!』の岡ひろみと藤堂さんみたいな感じ。男と女って前に、同じ人間として対等につきあえればいいよね。お互いにないものをそれぞれ持ってるんだもの、尊敬しあわなくちゃね」
「そうだよな。男と女って、いっしょになってはじめて完全な人間になれる気がする。パズルの凸と凹を組み合わせる様に。まあ、体の構造もそうなってるけどな」
「やだ。川島君っ」
「あははは、ごめんごめん。だけどみんな、人間性を磨くより、凸凹をくっつけることにばっかり執着してるんだよな~」
「ん~… しかたないよ。だって、興味ないって言ったら、嘘になるもの」
「さつきちゃんも?」
「あ、あたりまえじゃない。わたしだって、ふつうの女の子だもん」
「ははは。ぼくだってふつうの男の子だしな」
「川島君はそんな経験、あるの?」
「え?」
突然の質問に不意を突かれたように、川島君は目を見開いてわたしを見た。
わたしだってびっくり。
こんな大胆なこと、訊いてしまうなんて!
少し頬を赤らめながら、照れるように川島君は答える。
「恋愛経験、乏しいって言ったろ」
「でも、乏しいってことは、少しはあるってことじゃないの?」
「だからぁ、恥ずかしいことを何回も言わせるなよぉ。この年でドーテーだなんて、ちょっとした屈辱なんだから」
「えっ? あ。ごっ、ごめん」
「ん~。まあ、いいけど」
「だっ、大丈夫。わたしだって、まだだから」
「まだ? そうか。さつきちゃん、まだバージンなのか。そうか~♪」
「なっ、なに嬉しそうに言ってるのよ。恥ずかしいじゃない」
なんか、すごい。
わたし、今、川島君と恋愛話してる!
まさか今日彼と、こんな深い話ができるなんて、思わなかった。
でも、話の流れが妙な方向にいっちゃってる。
今夜は人目につかない奥のボックス席に座れたから、こんな大胆な会話だってできるのかも。ふたりとも紅茶で酔っちゃったかな。
川島君は頬杖ついて、わたしを艶っぽく見つめる。
なんて悩ましげな視線。
なんだか恥ずかしくなって、わたしはうつむいてしまった。
「でも、さつきちゃんって可愛いのに、彼氏いないなんて、なんだか意外だな」
「そ、そう? そんなこと言われたの初めて…」
『可愛い』だなんて…
好きな人からそんな風に言われると、からだの中から脳内麻薬がどんどん分泌されてくるようで、幸せな妄想とか幻想が膨らんでくる。
顔にも血がのぼってきて、耳たぶまで火照ってる。川島君からこんなに色っぽい視線で、見つめられているからかもしれない。
「さつきちゃん… ぼくと…」
つづく
高校時代のあの、わたしの運命を変えたと思った大事件は、いったいなんだったの?!
ただの勘違いだった、って『オチ』がついていたってことか。
今までずっと悩んできたのが、バカみたい。
もっと早くこんな風に、川島君にほんとのことを聞けたらよかったんだけど、挨拶する勇気さえなかった当時の自分には、無理な話よね。
まあ、川島君のご機嫌損ねるようなことを言ってしまったのは失敗だったけど、とりあえず、ふたりの関係の確認はできたので、よしとするか。
なんだか… 希望が見えてきた気がする。
川島君と蘭さんの噂を周りから散々聞かされてきて、その度に胸が引き裂かれる思いにかられてきたけど、ふたりは実は、恋人同士なんかじゃなかったことを、川島君本人の口から聞けて。
気持ちが明るくなったせいか、わたしは少しおしゃべりになった。
「そうよね~。わたしも、男性心理知りたいと思って、ただの男友達と恋愛話なんかしてて、人に誤解されたりしたら、イヤだもん。モデルで水着とかになったりするなら、なおさらだろうし。
男女でいっしょになって創作活動するのって、意外と難しいのかもね。世間的には」
「…そうだな」
一瞬、複雑な表情を見せた川島君だったが、すぐに笑顔に戻って言った。
「理想の恋愛としては、お互いが尊敬しあって、人間性を高めあえるような関係になれればって、思うよ」
「あ。それいい。『エースをねらえ!』の岡ひろみと藤堂さんみたいな感じ。男と女って前に、同じ人間として対等につきあえればいいよね。お互いにないものをそれぞれ持ってるんだもの、尊敬しあわなくちゃね」
「そうだよな。男と女って、いっしょになってはじめて完全な人間になれる気がする。パズルの凸と凹を組み合わせる様に。まあ、体の構造もそうなってるけどな」
「やだ。川島君っ」
「あははは、ごめんごめん。だけどみんな、人間性を磨くより、凸凹をくっつけることにばっかり執着してるんだよな~」
「ん~… しかたないよ。だって、興味ないって言ったら、嘘になるもの」
「さつきちゃんも?」
「あ、あたりまえじゃない。わたしだって、ふつうの女の子だもん」
「ははは。ぼくだってふつうの男の子だしな」
「川島君はそんな経験、あるの?」
「え?」
突然の質問に不意を突かれたように、川島君は目を見開いてわたしを見た。
わたしだってびっくり。
こんな大胆なこと、訊いてしまうなんて!
少し頬を赤らめながら、照れるように川島君は答える。
「恋愛経験、乏しいって言ったろ」
「でも、乏しいってことは、少しはあるってことじゃないの?」
「だからぁ、恥ずかしいことを何回も言わせるなよぉ。この年でドーテーだなんて、ちょっとした屈辱なんだから」
「えっ? あ。ごっ、ごめん」
「ん~。まあ、いいけど」
「だっ、大丈夫。わたしだって、まだだから」
「まだ? そうか。さつきちゃん、まだバージンなのか。そうか~♪」
「なっ、なに嬉しそうに言ってるのよ。恥ずかしいじゃない」
なんか、すごい。
わたし、今、川島君と恋愛話してる!
まさか今日彼と、こんな深い話ができるなんて、思わなかった。
でも、話の流れが妙な方向にいっちゃってる。
今夜は人目につかない奥のボックス席に座れたから、こんな大胆な会話だってできるのかも。ふたりとも紅茶で酔っちゃったかな。
川島君は頬杖ついて、わたしを艶っぽく見つめる。
なんて悩ましげな視線。
なんだか恥ずかしくなって、わたしはうつむいてしまった。
「でも、さつきちゃんって可愛いのに、彼氏いないなんて、なんだか意外だな」
「そ、そう? そんなこと言われたの初めて…」
『可愛い』だなんて…
好きな人からそんな風に言われると、からだの中から脳内麻薬がどんどん分泌されてくるようで、幸せな妄想とか幻想が膨らんでくる。
顔にも血がのぼってきて、耳たぶまで火照ってる。川島君からこんなに色っぽい視線で、見つめられているからかもしれない。
「さつきちゃん… ぼくと…」
つづく
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