41 / 300
05 Love Affair
Love Affair 9
「さつきちゃん… ぼくと…」
そう言いかけて、川島君は言葉を詰まらせた。
「え?」
「いや… ぼくと、こんな話ししてて、イヤじゃないかなって思って」
「ううん。全然そんなことない。むしろ、今日、こんな話できて、よかったかなって」
「はは。取材になった?」
「すっごく。川島君って話しやすいから、いろいろ聞いちゃって。ごめんね」
「いや。いいんだよ」
「川島君の方こそ、彼女いないなんて、信じられない」
「そう?」
「川島君って、女子から告白されたこととかもあるんでしょ。その子と『つきあいたい』とか、思わなかったの?」
勢いに乗って、わたしはさらに突っ込んだことを訊いてみた。
高校の頃、クラスの女子の間で謎だった川島君の恋愛関係。
なんだか、これまで川島君に聞きたくても聞けなかったことが、次々と言葉になってくる感じ。
「ん~……」
しばらく考えたあと、川島君は言葉を選びながら言った。
「相手の人間性も知らずには、つきあえないと思う」
「でも、デートはしたんじゃないの?」
「え? あれって、デートっていうのかな? ただ、ふたりで会って、お茶したりしたくらいだよ」
「それって、デートじゃないの?」
「そうかなぁ… 相手のことを知るために、とりあえず会ってみただけだよ。それも、『いい友達でいようね』って感じで終わったし」
「あっ。それ、なんかひどい。女の子に期待だけさせて」
「えっ。そう?」
「けっこう残酷かも。その子だって、勇気を出して告白したんだろうし、会ってもらえたりしたら、相手だって期待するじゃない。
その気がないなら、最初から会ったりしない方がいいと思う」
「え~? 残酷かぁ… そうだな、ぼくも女性心理って、わかんないから」
バツが悪くなったのか、川島君はわたしから目を逸らせた。
あ。
素直な感想言い過ぎて、ちょっとへこませちゃったかな?
「でも、すごくいいと思う。ちゃんと女の子の内面を見ようとするのは。たまたまいい子がいなかっただけで、川島君ならすぐに彼女ができて、童貞卒業できるわよ」
「さつきちゃん、それ、フォローになってないって」
「あは。ごめんなさい」
「さつきちゃん。ぼくと…」
「え?」
「あ、いや。ぼくと、こんな話するの、イヤじゃないかなって」
「さっきと同じこと言ってる。わたしはイヤなんかじゃないわよ」
「そうか。ならいいけど…」
熱くなった気持ちを冷ますように、川島君は紅茶をゆっくり飲み干して言った。
「ぶっちゃけ。『卒業』するならやっぱり、一番好きな子とでなきゃな」
「へえー。そうなの?」
「おかしい?」
「好きな人のためにバージンをとっておくって女性の話は聞くけど、男の人のそういう純潔の守り方って、珍しくない?」
「じゃあ、ぼくが変なのかも。周りの男たちはフーゾクとか行って、そこで筆おろししたりするヤツもいるから」
「わあ。それ、幻滅」
「だよな。女の子的には、そういうのは引くよな。やっぱり」
「ん~。病気が怖いってのもあるけど、からだだけの関係って、なんか、嫌じゃない。エ、エッチって、お互いの愛を確かめ合う行為、なんじゃないかなって、思うし」
「そうだよな」
「風俗って、言ってみればビジネスでしょ?
愛をお金で買うのって、やっぱり嫌」
「まあ、男って、定期的に放出しないといけない即物的な生き物だから、それも仕方ない面はあるけど… ぼくもそういうのは嫌悪するな」
「そうなの。よかった」
「どうしてさつきちゃんが安心するんだ?」
「あ… いや、それは… 風俗とか行くのって、男友達でもやっぱり、嫌だなって…」
「…そっか」
「べっ、別にたいした意味はないのよ。ほんと」
「まあ、いいけど…」
なにか言いたそうな表情を一瞬見せた川島君だったが、すぐに話題を切り替えた。
「それにしても神様って、どうして恋愛なんて感情を、種の繁殖システムに組み込んだんだろうな?」
つづく
そう言いかけて、川島君は言葉を詰まらせた。
「え?」
「いや… ぼくと、こんな話ししてて、イヤじゃないかなって思って」
「ううん。全然そんなことない。むしろ、今日、こんな話できて、よかったかなって」
「はは。取材になった?」
「すっごく。川島君って話しやすいから、いろいろ聞いちゃって。ごめんね」
「いや。いいんだよ」
「川島君の方こそ、彼女いないなんて、信じられない」
「そう?」
「川島君って、女子から告白されたこととかもあるんでしょ。その子と『つきあいたい』とか、思わなかったの?」
勢いに乗って、わたしはさらに突っ込んだことを訊いてみた。
高校の頃、クラスの女子の間で謎だった川島君の恋愛関係。
なんだか、これまで川島君に聞きたくても聞けなかったことが、次々と言葉になってくる感じ。
「ん~……」
しばらく考えたあと、川島君は言葉を選びながら言った。
「相手の人間性も知らずには、つきあえないと思う」
「でも、デートはしたんじゃないの?」
「え? あれって、デートっていうのかな? ただ、ふたりで会って、お茶したりしたくらいだよ」
「それって、デートじゃないの?」
「そうかなぁ… 相手のことを知るために、とりあえず会ってみただけだよ。それも、『いい友達でいようね』って感じで終わったし」
「あっ。それ、なんかひどい。女の子に期待だけさせて」
「えっ。そう?」
「けっこう残酷かも。その子だって、勇気を出して告白したんだろうし、会ってもらえたりしたら、相手だって期待するじゃない。
その気がないなら、最初から会ったりしない方がいいと思う」
「え~? 残酷かぁ… そうだな、ぼくも女性心理って、わかんないから」
バツが悪くなったのか、川島君はわたしから目を逸らせた。
あ。
素直な感想言い過ぎて、ちょっとへこませちゃったかな?
「でも、すごくいいと思う。ちゃんと女の子の内面を見ようとするのは。たまたまいい子がいなかっただけで、川島君ならすぐに彼女ができて、童貞卒業できるわよ」
「さつきちゃん、それ、フォローになってないって」
「あは。ごめんなさい」
「さつきちゃん。ぼくと…」
「え?」
「あ、いや。ぼくと、こんな話するの、イヤじゃないかなって」
「さっきと同じこと言ってる。わたしはイヤなんかじゃないわよ」
「そうか。ならいいけど…」
熱くなった気持ちを冷ますように、川島君は紅茶をゆっくり飲み干して言った。
「ぶっちゃけ。『卒業』するならやっぱり、一番好きな子とでなきゃな」
「へえー。そうなの?」
「おかしい?」
「好きな人のためにバージンをとっておくって女性の話は聞くけど、男の人のそういう純潔の守り方って、珍しくない?」
「じゃあ、ぼくが変なのかも。周りの男たちはフーゾクとか行って、そこで筆おろししたりするヤツもいるから」
「わあ。それ、幻滅」
「だよな。女の子的には、そういうのは引くよな。やっぱり」
「ん~。病気が怖いってのもあるけど、からだだけの関係って、なんか、嫌じゃない。エ、エッチって、お互いの愛を確かめ合う行為、なんじゃないかなって、思うし」
「そうだよな」
「風俗って、言ってみればビジネスでしょ?
愛をお金で買うのって、やっぱり嫌」
「まあ、男って、定期的に放出しないといけない即物的な生き物だから、それも仕方ない面はあるけど… ぼくもそういうのは嫌悪するな」
「そうなの。よかった」
「どうしてさつきちゃんが安心するんだ?」
「あ… いや、それは… 風俗とか行くのって、男友達でもやっぱり、嫌だなって…」
「…そっか」
「べっ、別にたいした意味はないのよ。ほんと」
「まあ、いいけど…」
なにか言いたそうな表情を一瞬見せた川島君だったが、すぐに話題を切り替えた。
「それにしても神様って、どうして恋愛なんて感情を、種の繁殖システムに組み込んだんだろうな?」
つづく
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。
魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで
ひーにゃん
ファンタジー
誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。
運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……
与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。
だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。
これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。
冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。
よろしくお願いします。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。