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18 Rip Stick ~before side
Rip Stick 14
『来た!』
緊張が高まる。
「いい? ここを乗り越えたら、あとは楽だから。しっかりね!」
小池さんの檄が飛ぶ。
みっこに続いて他のモデルたちも、次々にバックステージに戻ってくる。
「みっこっ。こっち!」
ドレスのホックをはずしながら、みっこは小走りにわたしたちのスペースに駆けてくる。
走りながらビスチェを脱ぎ、スカートのホックをはずして、素早く脚先からドレスを抜いた。
服のラインに響かないように、みっこは下着をつけていない。
遠慮なく、形のいいバストが現れる。
「はいっ! さつき」
すれ違いざまに、みっこはわたしにドレスを渡す。
ボスッと、ボリュームのあるドレスが、わたしの腕のなかに飛び込んでくる。
バックステージはまるで戦場。
戻って来たモデルたちは大急ぎで着替えをしようとするが、バックステージは暗い上に、たくさんのスタッフがひしめいているから、自分のフィッティングスペースにたどり着くのも大変。おまけに手際の悪いチームは、衣装やアクセサリーの順番もグチャグチャになってしまってて、モデルも混乱して怒りだすしまつ。
なにかひとつの手違いがあっても、モロに進行に響く危うさだ。
よく、こんなリスキーな演出を考えたな。
その分、オープニングは派手でよかったけど。
「はいっ。これ!」
さすがにイベント慣れしている小池さんは、手際もあざやか。
みっこが着やすいように、小池さんはブラウスを広げる。みっこはそれにサッと腕を通す。
「さつき。スカート!」
わたしはあわててスカートをドーナツ状に床に広げ、みっこが入れるスペースを作った。
ブラウスのボタンを留めながら、みっこはスカートの輪のなかに飛び込む。それを確認して、わたしはスカートをたくし上げる。
「みっこちゃん、髪。これつけて!」
「みっこ、スカート終わったわ。小池さん、ベルトください!」
そのとき、ステージの袖から、悲鳴のような声があがったと思うと、進行係が真っ青な顔で叫んだ。
「26、27、28番、準備いいですか! もうすぐ出ますっ!」
「えっ? まだ45秒しか経ってないのにっ?」
「ステージのモデルが振りを端折ってしまって、もう帰ってきたの!」
「うそっ! まだ服も着てないのにっ!」
「もうダメ! 戻ってくるわ!」
最後のモデルは緊張のせいか、振りを間違ってしまい、予定より早くセンターステージから戻ってきてしまった。
早すぎる!
予定より15秒も早いっ!
ステージがガラ空きになっちゃう!
「小池さん、髪いいわ。出ます!」
「えっ? みっこちゃん、まだコサージュが」
「大丈夫」
小池さんから受け取ったコサージュをつけながら、みっこはステージの袖に駆けていく。
「みっこ、靴は?!」
「履いた」
「ベルトも…」
「してる」
いつの間にやったんだろ?
まだ渡してなかった靴もソックスも、ベルトやネックレスまで、みっこはすっかり身につけていた。
ステージの袖にスタンバイした彼女は、脇に置かれた大鏡で自分の姿をチェックすると、ハラハラとなりゆきを見守っている進行係に言う。
「26、出ます」
「27、28はっ?」
「ダメっ。あと15秒」
「OK もたせるわ」
そう言って、わたしたちに軽くウィンクして微笑むと、みっこはステージのライトのなかに、飛び出していった。
つづく
緊張が高まる。
「いい? ここを乗り越えたら、あとは楽だから。しっかりね!」
小池さんの檄が飛ぶ。
みっこに続いて他のモデルたちも、次々にバックステージに戻ってくる。
「みっこっ。こっち!」
ドレスのホックをはずしながら、みっこは小走りにわたしたちのスペースに駆けてくる。
走りながらビスチェを脱ぎ、スカートのホックをはずして、素早く脚先からドレスを抜いた。
服のラインに響かないように、みっこは下着をつけていない。
遠慮なく、形のいいバストが現れる。
「はいっ! さつき」
すれ違いざまに、みっこはわたしにドレスを渡す。
ボスッと、ボリュームのあるドレスが、わたしの腕のなかに飛び込んでくる。
バックステージはまるで戦場。
戻って来たモデルたちは大急ぎで着替えをしようとするが、バックステージは暗い上に、たくさんのスタッフがひしめいているから、自分のフィッティングスペースにたどり着くのも大変。おまけに手際の悪いチームは、衣装やアクセサリーの順番もグチャグチャになってしまってて、モデルも混乱して怒りだすしまつ。
なにかひとつの手違いがあっても、モロに進行に響く危うさだ。
よく、こんなリスキーな演出を考えたな。
その分、オープニングは派手でよかったけど。
「はいっ。これ!」
さすがにイベント慣れしている小池さんは、手際もあざやか。
みっこが着やすいように、小池さんはブラウスを広げる。みっこはそれにサッと腕を通す。
「さつき。スカート!」
わたしはあわててスカートをドーナツ状に床に広げ、みっこが入れるスペースを作った。
ブラウスのボタンを留めながら、みっこはスカートの輪のなかに飛び込む。それを確認して、わたしはスカートをたくし上げる。
「みっこちゃん、髪。これつけて!」
「みっこ、スカート終わったわ。小池さん、ベルトください!」
そのとき、ステージの袖から、悲鳴のような声があがったと思うと、進行係が真っ青な顔で叫んだ。
「26、27、28番、準備いいですか! もうすぐ出ますっ!」
「えっ? まだ45秒しか経ってないのにっ?」
「ステージのモデルが振りを端折ってしまって、もう帰ってきたの!」
「うそっ! まだ服も着てないのにっ!」
「もうダメ! 戻ってくるわ!」
最後のモデルは緊張のせいか、振りを間違ってしまい、予定より早くセンターステージから戻ってきてしまった。
早すぎる!
予定より15秒も早いっ!
ステージがガラ空きになっちゃう!
「小池さん、髪いいわ。出ます!」
「えっ? みっこちゃん、まだコサージュが」
「大丈夫」
小池さんから受け取ったコサージュをつけながら、みっこはステージの袖に駆けていく。
「みっこ、靴は?!」
「履いた」
「ベルトも…」
「してる」
いつの間にやったんだろ?
まだ渡してなかった靴もソックスも、ベルトやネックレスまで、みっこはすっかり身につけていた。
ステージの袖にスタンバイした彼女は、脇に置かれた大鏡で自分の姿をチェックすると、ハラハラとなりゆきを見守っている進行係に言う。
「26、出ます」
「27、28はっ?」
「ダメっ。あと15秒」
「OK もたせるわ」
そう言って、わたしたちに軽くウィンクして微笑むと、みっこはステージのライトのなかに、飛び出していった。
つづく
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