信じない信じたくない信じられない

真城詩

文字の大きさ
1 / 1

信じない信じたくない信じられない

しおりを挟む
「ほらよ、どうだ。上玉だろ?」
何が起こっているのか理解できなかった。後ろ手に縛られた手首は恋人のはずの男に握られていて、目の前には見たことのない男が立っていた。声を出そうにも猿轡のせいでろくに喋ることもできない。先ほどまで恋人との甘いひと時を過ごしていたはずなのに。ふわりと眠くなってベッドに横になってからの記憶がない。
「そうだな、譲ってくれ。値段はさっき言ったとおり出す。」
それから布を鼻先に近づけられて、気を失った。

「っあ、あぁあっ」
どうしようもない快楽に責め立てられ、目を覚ました。ずっと気を失っていたのが不思議なくらいに腸内は柔らかくほぐされ、男根はそそり立っている。まるで恋人との情事を思わせる快楽につと期待して後ろを向くと、そこにいたのは先刻の知らない男だった。
「え、あ?うああっやぁああぁあっ」
突き立てられた屹立は彼の腸壁を容赦なく抉る。逃げたくても体がきつく麻縄で縛られて天井から吊るされている。逃げることは許されていなかった。頭がおかしくなりそうな刺激にがくがくと体を震わせ射精する、と同時に腸内に熱い液体が放たれるのを感じた。
「はあっはあっあ、あんた誰?!」
「ふん、お前の主人だ。お前何も知らないんだな。お前は売られたんだよ、お前の“コイビト”にな。」
「はあ?っそんなの、意味わかんねえよ、あいつが?え?ああっやだああっやめってええあぁあ」
夢だと思いたかったが、主人といった男がもう一度彼の秘孔に肥大した男根を突き立て、律動を開始したしゅんかん、すべてが吹き飛んだ。
やめてという懇願は意味を成さず、恋人だったはずの男に開発された躰は素直に快楽を受け入れる。体に食い込む縄がその快楽を増幅させる。それにしてもおかしいくらいの刺激だ。それもそのはず、彼の腕には注射痕とそばのテーブルには皿と注射器があった。薬を打たれているのだろう。彼にとっては今、風ですら辛いほどの快楽への導きとなっていた。
「やあぁああぁあっやめてえ、ああん、ふあぁあぁあっ」
「っは、淫乱が。今かわいがってやるぞ。」
「ああんっあ、あはぁあ、やああああっ」
売られた彼はこれからもきっと薬づけにされながらこうして啼き、壊れていくのだろう。
それでも彼は幸せなほうだ。彼を買った“主人”が快楽を彼に与えようとしているからよかったものの、そのような“主人”の中には苦痛を与えたがる者もいるのだから。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

そんなの聞いていませんが

みけねこ
BL
お二人の門出を祝う気満々だったのに、婚約破棄とはどういうことですか?

諦めようとした話。

みつば
BL
もう限界だった。僕がどうしても君に与えられない幸せに目を背けているのは。 どうか幸せになって 溺愛攻め(微執着)×ネガティブ受け(めんどくさい)

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 【たくさんの“いいね”ありがとうございます】 【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。

春を拒む【完結】

璃々丸
BL
 日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。 「ケイト君を解放してあげてください!」  大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。  ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。  環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』  そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。  オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。 不定期更新になります。   

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

泣くなといい聞かせて

mahiro
BL
付き合っている人と今日別れようと思っている。 それがきっとお前のためだと信じて。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

処理中です...