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次にやってきた受難
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非常に混乱している朱火は、それからもうわの空で口にし続けたご馳走の味をよく覚えていない。いや、寧ろ味がしなかったとでもいうべきか。砂でも噛んでいるような心地で朱火は龍の言葉を反芻し続けていた。何回頭の中で再生してもちょっとではなくよくわからない。呆然としている朱火の耳に龍の声があまり聞こえていなかったのは当然とさえいえよう。
「……おい、おぬし聞いておるのか?食後酒だというておろうに」
「はっ?いや、悪い悪い。ちょっとぼーっとしちまって。食後酒?いいな、もらえるか?」
「嫁になるものはこの酒を飲む決まりなのじゃ。さあ、存分に楽しむといい」
そういって注がれた酒は甘口で、ぐびぐびと朱火は飲み干した。元々酒には強い性質である。もう一杯と言って酒を足す龍にいい気分になって勧められるがまま酒を飲む。その時の朱火は嫁になれと言われた混乱と、旨い酒の板挟みになって、己の体に起き始めた小さな変化には気づきもしなかった。酒に強いとは言っても朱火も人間である。龍が勧める速度は速く、あっという間に酔いが回ってきた。こうなったらもう嫁のことなんてどうでもいい、朱火はいい気持ちで龍にこれまでの武勇伝を語り始めた。
「で、その洞窟で見つけたのは古い金貨でな、隣の国に持っていったらそれはもうたかくうれたんだぜぇー?」
「そうか、ぬしは盗賊だったのだな。村へ帰ってきたのは最近のことなのか?」
「むらぁ?……そうそう、けっこーさいきんのことだぁ」
「ぬしは酔うと滑舌が悪くなるのだな、まあそれもよい。そういえばこれから嫁となる者なのに名も聞いていなかったな、ぬし、名はなんと申す?」
「なまえぇ?しゅかだぁ。しゅいろのしゅにぃ、もえるひのかってかく」
「そうか、朱火か。良い名前だ」
「んんー、そぉかあ?ありがとよぉ」
「それでは朱火、もうそろそろ夜も遅い。褥へ行かんか?それともまだ飲むか?」
「んぅーまだのむぅーああーでもちょっと熱いから夜風を浴びてくるぜぇ」
「そうか分かった。足を滑らせないように気を付けるのだぞ……やれやれ、朱火は酔うとわがままになるのだな。覚えておこう」
そう言って外に出た朱火であったが、一人になった瞬間、体の火照りが酒によるものではない事に気づく。
「うぁ……あぁ」
今立ち上がるはずのないところが立ち上がっている。そう、局部である。顔が異常なほどに火照り、躰は快楽を求めている。ここ最近ご無沙汰だったからか?と朱火は考えたが大量の酒を飲んでいるのだ。ならばなぜ勃起する?考えついたのは媚薬である。夕飯か今の酒に薬を盛られたのだろう。そうとしか考えようがない熱さに頭がくらくらする。龍のもとに帰らなければいけないが、帰れば勃起していることは間違いなくばれる。せめてと思い朱火は一度その膨張を落ち着かせてから帰ることにした。手早く服と下着を取り、股間を露出させる。ここに限って誰も見ていないだろうが外で陰部を露出するのには相当の勇気が要った。そのまま何も考えずにいつも通り、機械的に、効率よく快楽を感じられるように手指を動かし昇り詰めようとする。しかし薬のせいか普段より圧倒的に感じるのだ。思わず声が漏れてしまう。
「あっあぁぁ、うぁああっ」
めまいがするほどの快楽に腰が揺れ、脚もがくがくと震えて立っていられなくなりそうだ。そんな快楽に浸る朱火が、後ろからの気配に気づけるわけがない。
「あぁああっはあぁ、うあぁんっ」
「こら、花嫁ともあろうものが外で自慰などするものではない」
「んぁあっ……?!」
「遅いと思ってきてみたら……私の可愛い花嫁が一人で楽しんでいるだと?許さんぞ、朱火。そんなに我慢できないなら今すぐ褥に連れ去って、可愛がってやろう」
「これはちが……てかおまえ、くすりもっただろぉ!そのせいだぁ!」
「やれやれ、まだ酔いは残っているのだな。薬なんぞ盛ってはいない。あの酒は催淫効果があるのだ。嫁となる者が飲む決まりというのはそういうことだ」
龍はあきれたような顔をしてひょいと朱火を抱き上げる。そのまま悠々と歩き、朱火を褥へ連れて行った。
「……おい、おぬし聞いておるのか?食後酒だというておろうに」
「はっ?いや、悪い悪い。ちょっとぼーっとしちまって。食後酒?いいな、もらえるか?」
「嫁になるものはこの酒を飲む決まりなのじゃ。さあ、存分に楽しむといい」
そういって注がれた酒は甘口で、ぐびぐびと朱火は飲み干した。元々酒には強い性質である。もう一杯と言って酒を足す龍にいい気分になって勧められるがまま酒を飲む。その時の朱火は嫁になれと言われた混乱と、旨い酒の板挟みになって、己の体に起き始めた小さな変化には気づきもしなかった。酒に強いとは言っても朱火も人間である。龍が勧める速度は速く、あっという間に酔いが回ってきた。こうなったらもう嫁のことなんてどうでもいい、朱火はいい気持ちで龍にこれまでの武勇伝を語り始めた。
「で、その洞窟で見つけたのは古い金貨でな、隣の国に持っていったらそれはもうたかくうれたんだぜぇー?」
「そうか、ぬしは盗賊だったのだな。村へ帰ってきたのは最近のことなのか?」
「むらぁ?……そうそう、けっこーさいきんのことだぁ」
「ぬしは酔うと滑舌が悪くなるのだな、まあそれもよい。そういえばこれから嫁となる者なのに名も聞いていなかったな、ぬし、名はなんと申す?」
「なまえぇ?しゅかだぁ。しゅいろのしゅにぃ、もえるひのかってかく」
「そうか、朱火か。良い名前だ」
「んんー、そぉかあ?ありがとよぉ」
「それでは朱火、もうそろそろ夜も遅い。褥へ行かんか?それともまだ飲むか?」
「んぅーまだのむぅーああーでもちょっと熱いから夜風を浴びてくるぜぇ」
「そうか分かった。足を滑らせないように気を付けるのだぞ……やれやれ、朱火は酔うとわがままになるのだな。覚えておこう」
そう言って外に出た朱火であったが、一人になった瞬間、体の火照りが酒によるものではない事に気づく。
「うぁ……あぁ」
今立ち上がるはずのないところが立ち上がっている。そう、局部である。顔が異常なほどに火照り、躰は快楽を求めている。ここ最近ご無沙汰だったからか?と朱火は考えたが大量の酒を飲んでいるのだ。ならばなぜ勃起する?考えついたのは媚薬である。夕飯か今の酒に薬を盛られたのだろう。そうとしか考えようがない熱さに頭がくらくらする。龍のもとに帰らなければいけないが、帰れば勃起していることは間違いなくばれる。せめてと思い朱火は一度その膨張を落ち着かせてから帰ることにした。手早く服と下着を取り、股間を露出させる。ここに限って誰も見ていないだろうが外で陰部を露出するのには相当の勇気が要った。そのまま何も考えずにいつも通り、機械的に、効率よく快楽を感じられるように手指を動かし昇り詰めようとする。しかし薬のせいか普段より圧倒的に感じるのだ。思わず声が漏れてしまう。
「あっあぁぁ、うぁああっ」
めまいがするほどの快楽に腰が揺れ、脚もがくがくと震えて立っていられなくなりそうだ。そんな快楽に浸る朱火が、後ろからの気配に気づけるわけがない。
「あぁああっはあぁ、うあぁんっ」
「こら、花嫁ともあろうものが外で自慰などするものではない」
「んぁあっ……?!」
「遅いと思ってきてみたら……私の可愛い花嫁が一人で楽しんでいるだと?許さんぞ、朱火。そんなに我慢できないなら今すぐ褥に連れ去って、可愛がってやろう」
「これはちが……てかおまえ、くすりもっただろぉ!そのせいだぁ!」
「やれやれ、まだ酔いは残っているのだな。薬なんぞ盛ってはいない。あの酒は催淫効果があるのだ。嫁となる者が飲む決まりというのはそういうことだ」
龍はあきれたような顔をしてひょいと朱火を抱き上げる。そのまま悠々と歩き、朱火を褥へ連れて行った。
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