2 / 8
第二章
しおりを挟む
地下室での生活が始まって三日目。
一日一回運ばれてくる食事は、冷たいパンと水だけ。
寝床は藁を敷いただけの床。窓はなく、僅かな光も届かない。
だけど私は動じなかった。
むしろ、この静寂が心地よかった。
地上では常に継母の監視と妹の嫌がらせに晒されていた。
些細なことで怒鳴られ、理不尽な仕事を押し付けられ、休む暇もなかった。
ここでは、誰にも邪魔されず、自分の力を磨くことができる。
暗闇の中、私は指先で宙に古代文字を描く。
光の軌跡が複雑な図形を形作り、やがて小さな球体として結実する。
照明の刻印。
簡単な魔法具の一つだが、材料なしでしかも空中に直接刻印を施せる者は、王国広しといえども私だけだろう。
淡い光が地下室を照らす。
石造りの壁、天井の梁、隅に積まれた古い木箱。
この部屋は、かつて父が秘密の実験室として使っていた場所だった。
父の死後、マデリンが存在を忘れていたのか、物置として放置されている。
私は木箱に近づき、蓋を開けた。
中には、父の遺品が詰まっていた。古い羊皮紙の束、インク壺、そして......。
「これは......」
小さな黒曜石のペンダント。
手に取ると、古代文字が表面に刻まれているのが分かった。【記録】【保護】【伝達】。
これは、記憶を保存し、特定の人物に伝える魔法具だ。
私は魔力を込めた。ペンダントが光り、父の声が響いた。
「エリス、もしお前がこれを見つけたなら、私はもうこの世にいないのだろう」
父の声。
三年前に病で亡くなった、優しい父の声だった。
「お前の母、アデリアは素晴らしい刻印師だった。お前が持つ【刻印の紡ぎ手】は、母から受け継いだ血だ。そして、私が知る限り、お前の母だけが【フェイタル・グリフ】を使えた」
心臓が跳ねた。
母も、【フェイタル・グリフ】を......。
「だが、その力は諸刃の剣だ。エリス、決して私怨で使ってはならない。運命を歪める力は、使い手をも蝕む」
父の警告が、胸に突き刺さる。
「もしお前が苦境に立たされているなら、王都の『銀月商會』を訪ねなさい。そこに、お前の母の旧友がいる。ロザリンド・シルヴァという女性だ。彼女なら、お前を助けてくれるだろう」
記録はそこで途切れた。
私はペンダントを握りしめた。
お父様、ごめんなさい。私はもう、継母たちにフェイタル・グリフを施してしまった。
だが、後悔はしていない。
彼女たちは私から全てを奪った。尊厳も、自由も、未来さえも。このまま黙って耐えることなど、できるはずがない。
その時、地下室の扉が開いた。
階段を降りてくる足音。一人ではない。
光が差し込み、私は目を細めた。
現れたのは、セシリアと、見知らぬ男だった。
男は三十代半ばほどだろうか。
整った顔立ちだが、目つきが悪い。貴族の服装をしているが、どこか品がない。
「これが例の娘か」
男は私を値踏みするように見た。
「はい、クラウス様。姉のエリスです」
セシリアが、媚びるような声で答えた。
クラウス......聞いたことがある名だ。クラウス・ヴェルナー。辺境の男爵で、魔法具の収集家として知られている。
だが同時に、悪名も高い。
気に入った技術者を借金漬けにして隷属させ、死ぬまで働かせるという噂があった。
「ふむ......確かに、魔力の質が違うな」
クラウスが私に近づく。本能的に後退したが、壁に背中がぶつかった。
「セシリア嬢から聞いたよ。君は【刻印の紡ぎ手】で、妹に嫉妬して仕事を妨害したそうだな」
「違います」
私は言い返した。
「私は何も......」
「黙れ」
クラウスの声が、地下室に響いた。
「君のような出来損ないに、弁解の権利などない。だがね、私は寛大な男だ。君に、新しい人生を与えてあげよう」
懐から、一枚の羊皮紙を取り出す。
「これは、債務契約書だ。君の家は、顧客への賠償で借金まみれだそうじゃないか。この契約書にサインすれば、私がその借金を全て肩代わりしてあげる」
「その代わり......?」
「当然、君は私の専属刻印師として働いてもらう。期間は......そうだな、三十年ほどでどうだ」
三十年。
私は今二十一歳。三十年働けば、五十一歳になる。刻印師としての最盛期を、全てこの男に捧げることになる。
「断ったら?」
「君の家は破産し、セシリア嬢も路頭に迷うだろうな。まあ、セシリア嬢は若くて美しいから、娼館で働けば食いつなげるかもしれないが」
セシリアが青ざめた。
「そんな......クラウス様、お話が違います!」
「うるさい。黙っていたまえ」
クラウスがセシリアを一瞥する。その目には、人を人とも思わない冷酷さがあった。
セシリアは唇を震わせたが、何も言えなかった。
「さあ、エリス。どうする? サインするか、それとも家族もろとも地獄に落ちるか」
私は契約書を見つめた。
細かい文字で、契約内容が記されている。
給与は雀の涙ほど。休日はなし。逃亡した場合は、全財産の没収と、十年の強制労働。
奴隷契約と何も変わらない。
だが......。
「分かりました」
私は羽根ペンを手に取った。
「エリス!」
セシリアが驚きの声を上げた。
その目には、僅かな動揺があった。
私は契約書にサインする。
古代文字で、私の真名を記す。【星降る夜に生まれし者】。刻印師だけが持つ、魔法的な署名。
契約書が淡く光った。
「よろしい」
クラウスが満足げに笑う。
「では、明日から私の屋敷に来てもらおう。最初の仕事は......そうだな、【支配の首輪】を十個作ってもらおうか。奴隷管理用の魔法具だ」
支配の首輪。
着用者の意思を奪い、命令に絶対服従させる、禁忌の魔法具。
王国法で製造も所持も禁じられている。
「それは......違法です」
「知っている。だが、需要があるのだ。辺境の鉱山では、奴隷労働者が必要でね。君が作れば、一つ金貨百枚で売れる」
私は歯を食いしばった。
このまま、この男の言いなりになるのか。
父が警告した、私怨での【フェイタル・グリフ】。その代償を、私は今まさに味わっているのかもしれない。
「......三日、時間をください」
「何だって?」
「支配の首輪は、高度な刻印技術が必要です。準備期間が必要です」
クラウスは考え込む素振りを見せた。
「まあ、良いだろう。三日後、私の屋敷に来たまえ。それまでに準備を整えておけ」
彼は契約書を懐にしまい、階段を上がっていった。
セシリアは、私をじっと見つめていた。
「姉様......ごめんなさい」
小さな声。
だが、その目に本当の謝罪はなかった。あるのは、安堵と、僅かな優越感だけ。
「セシリア」
私は妹を見つめた。
「あなたは、自分が何をしたか分かっている?」
「私は......お母様の言うとおりにしただけ」
「お母様の言うとおり? 自分の意思はないの?」
セシリアは答えなかった。
彼女はいつもそうだった。自分で決断せず、常に母親の後ろに隠れている。その方が楽だから。責任を負わなくて済むから。
「いいわ。あなたたちが望んだ未来、しっかりと見せてあげる」
私の言葉に、セシリアは眉をひそめた。
「何を......」
「何でもないわ。早く行きなさいな。クラウス様が待っているわよ」
セシリアは何か言いかけたが、結局何も言わず階段を上がっていった。
扉が閉まる。
再び、私は暗闇の中に取り残された。
一日一回運ばれてくる食事は、冷たいパンと水だけ。
寝床は藁を敷いただけの床。窓はなく、僅かな光も届かない。
だけど私は動じなかった。
むしろ、この静寂が心地よかった。
地上では常に継母の監視と妹の嫌がらせに晒されていた。
些細なことで怒鳴られ、理不尽な仕事を押し付けられ、休む暇もなかった。
ここでは、誰にも邪魔されず、自分の力を磨くことができる。
暗闇の中、私は指先で宙に古代文字を描く。
光の軌跡が複雑な図形を形作り、やがて小さな球体として結実する。
照明の刻印。
簡単な魔法具の一つだが、材料なしでしかも空中に直接刻印を施せる者は、王国広しといえども私だけだろう。
淡い光が地下室を照らす。
石造りの壁、天井の梁、隅に積まれた古い木箱。
この部屋は、かつて父が秘密の実験室として使っていた場所だった。
父の死後、マデリンが存在を忘れていたのか、物置として放置されている。
私は木箱に近づき、蓋を開けた。
中には、父の遺品が詰まっていた。古い羊皮紙の束、インク壺、そして......。
「これは......」
小さな黒曜石のペンダント。
手に取ると、古代文字が表面に刻まれているのが分かった。【記録】【保護】【伝達】。
これは、記憶を保存し、特定の人物に伝える魔法具だ。
私は魔力を込めた。ペンダントが光り、父の声が響いた。
「エリス、もしお前がこれを見つけたなら、私はもうこの世にいないのだろう」
父の声。
三年前に病で亡くなった、優しい父の声だった。
「お前の母、アデリアは素晴らしい刻印師だった。お前が持つ【刻印の紡ぎ手】は、母から受け継いだ血だ。そして、私が知る限り、お前の母だけが【フェイタル・グリフ】を使えた」
心臓が跳ねた。
母も、【フェイタル・グリフ】を......。
「だが、その力は諸刃の剣だ。エリス、決して私怨で使ってはならない。運命を歪める力は、使い手をも蝕む」
父の警告が、胸に突き刺さる。
「もしお前が苦境に立たされているなら、王都の『銀月商會』を訪ねなさい。そこに、お前の母の旧友がいる。ロザリンド・シルヴァという女性だ。彼女なら、お前を助けてくれるだろう」
記録はそこで途切れた。
私はペンダントを握りしめた。
お父様、ごめんなさい。私はもう、継母たちにフェイタル・グリフを施してしまった。
だが、後悔はしていない。
彼女たちは私から全てを奪った。尊厳も、自由も、未来さえも。このまま黙って耐えることなど、できるはずがない。
その時、地下室の扉が開いた。
階段を降りてくる足音。一人ではない。
光が差し込み、私は目を細めた。
現れたのは、セシリアと、見知らぬ男だった。
男は三十代半ばほどだろうか。
整った顔立ちだが、目つきが悪い。貴族の服装をしているが、どこか品がない。
「これが例の娘か」
男は私を値踏みするように見た。
「はい、クラウス様。姉のエリスです」
セシリアが、媚びるような声で答えた。
クラウス......聞いたことがある名だ。クラウス・ヴェルナー。辺境の男爵で、魔法具の収集家として知られている。
だが同時に、悪名も高い。
気に入った技術者を借金漬けにして隷属させ、死ぬまで働かせるという噂があった。
「ふむ......確かに、魔力の質が違うな」
クラウスが私に近づく。本能的に後退したが、壁に背中がぶつかった。
「セシリア嬢から聞いたよ。君は【刻印の紡ぎ手】で、妹に嫉妬して仕事を妨害したそうだな」
「違います」
私は言い返した。
「私は何も......」
「黙れ」
クラウスの声が、地下室に響いた。
「君のような出来損ないに、弁解の権利などない。だがね、私は寛大な男だ。君に、新しい人生を与えてあげよう」
懐から、一枚の羊皮紙を取り出す。
「これは、債務契約書だ。君の家は、顧客への賠償で借金まみれだそうじゃないか。この契約書にサインすれば、私がその借金を全て肩代わりしてあげる」
「その代わり......?」
「当然、君は私の専属刻印師として働いてもらう。期間は......そうだな、三十年ほどでどうだ」
三十年。
私は今二十一歳。三十年働けば、五十一歳になる。刻印師としての最盛期を、全てこの男に捧げることになる。
「断ったら?」
「君の家は破産し、セシリア嬢も路頭に迷うだろうな。まあ、セシリア嬢は若くて美しいから、娼館で働けば食いつなげるかもしれないが」
セシリアが青ざめた。
「そんな......クラウス様、お話が違います!」
「うるさい。黙っていたまえ」
クラウスがセシリアを一瞥する。その目には、人を人とも思わない冷酷さがあった。
セシリアは唇を震わせたが、何も言えなかった。
「さあ、エリス。どうする? サインするか、それとも家族もろとも地獄に落ちるか」
私は契約書を見つめた。
細かい文字で、契約内容が記されている。
給与は雀の涙ほど。休日はなし。逃亡した場合は、全財産の没収と、十年の強制労働。
奴隷契約と何も変わらない。
だが......。
「分かりました」
私は羽根ペンを手に取った。
「エリス!」
セシリアが驚きの声を上げた。
その目には、僅かな動揺があった。
私は契約書にサインする。
古代文字で、私の真名を記す。【星降る夜に生まれし者】。刻印師だけが持つ、魔法的な署名。
契約書が淡く光った。
「よろしい」
クラウスが満足げに笑う。
「では、明日から私の屋敷に来てもらおう。最初の仕事は......そうだな、【支配の首輪】を十個作ってもらおうか。奴隷管理用の魔法具だ」
支配の首輪。
着用者の意思を奪い、命令に絶対服従させる、禁忌の魔法具。
王国法で製造も所持も禁じられている。
「それは......違法です」
「知っている。だが、需要があるのだ。辺境の鉱山では、奴隷労働者が必要でね。君が作れば、一つ金貨百枚で売れる」
私は歯を食いしばった。
このまま、この男の言いなりになるのか。
父が警告した、私怨での【フェイタル・グリフ】。その代償を、私は今まさに味わっているのかもしれない。
「......三日、時間をください」
「何だって?」
「支配の首輪は、高度な刻印技術が必要です。準備期間が必要です」
クラウスは考え込む素振りを見せた。
「まあ、良いだろう。三日後、私の屋敷に来たまえ。それまでに準備を整えておけ」
彼は契約書を懐にしまい、階段を上がっていった。
セシリアは、私をじっと見つめていた。
「姉様......ごめんなさい」
小さな声。
だが、その目に本当の謝罪はなかった。あるのは、安堵と、僅かな優越感だけ。
「セシリア」
私は妹を見つめた。
「あなたは、自分が何をしたか分かっている?」
「私は......お母様の言うとおりにしただけ」
「お母様の言うとおり? 自分の意思はないの?」
セシリアは答えなかった。
彼女はいつもそうだった。自分で決断せず、常に母親の後ろに隠れている。その方が楽だから。責任を負わなくて済むから。
「いいわ。あなたたちが望んだ未来、しっかりと見せてあげる」
私の言葉に、セシリアは眉をひそめた。
「何を......」
「何でもないわ。早く行きなさいな。クラウス様が待っているわよ」
セシリアは何か言いかけたが、結局何も言わず階段を上がっていった。
扉が閉まる。
再び、私は暗闇の中に取り残された。
10
あなたにおすすめの小説
救国の代償で白髪になった聖女、一度のミスを理由に「無能の戦犯」として追放される ~隣国の覇王に拾われ、愛され、奇跡の力を見せつける~
スカッと文庫
ファンタジー
聖女アリシアは、百年に一度の大氾濫から国を守るため、禁忌の魔力全解放を行い、単身で数万の魔物を殲滅した。その代償として、彼女の美しい金髪は真っ白な「白雪色」に染まり、魔力は一時的に枯渇してしまう。
しかし、その功績はすべて現場にいなかった「偽聖女セシリア」に奪われ、アリシアは「結界を一部損壊させた戦犯」「魔力を失った役立たず」として、婚約者の王太子ギルバートから国外追放を言い渡される。
「失敗したゴミに、この国の空気は吸わせない」
泥の中に捨てられたアリシア。しかし、彼女を拾ったのは、敵対国として恐れられていた帝国の「武徳皇帝」ラグナールだった。彼はアリシアの白髪が「高純度の神聖魔力による変質」であることを瞬時に見抜き、彼女を帝国の宝として迎える。
数ヶ月後。アリシアが帝国の守護聖女として輝きを取り戻した頃、王国では「一度きりの奇跡」だったセシリアの魔力が尽き、本当の滅亡が始まっていた。
「今さら結界が解けたと泣きつかれても、もう私の魔力は一滴も残っていません」
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
『無能な聖女』と婚約破棄された私、実は伝説の竜を唯一従える『真の守護者』でした。~今さら国に戻れと言われても、もう遅いです~
スカッと文庫
ファンタジー
「魔力値たったの5だと? 貴様のような偽聖女、この国には不要だ!」
聖女として国を支えてきたエルナは、第一王子カイルから非情な婚約破棄を言い渡される。隣には、魔力値を偽装して聖女の座を奪った男爵令嬢の姿が。
実家からも見捨てられ、生きては戻れぬ『死の森』へ追放されたエルナ。しかし、絶望の中で彼女が目覚めさせたのは、人間には測定不能な【神聖魔力】だった。
森の奥で封印されていた伝説の銀竜を解き放ち、隣国の冷徹皇帝にその才能を見出された時、エルナを捨てた王国は滅びの危機に直面する――。
「今さら謝っても、私の結界はもうあなたたちのために張ることはありません」
捨てられた聖女が真の幸せを掴む、逆転劇がいま幕を開ける!
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
追放された地味なメイドは和菓子職人の記憶に目覚める 〜王子たちの胃袋を『あんこ』で掴んだら、王宮で極甘に溺愛されています〜
あとりえむ
恋愛
「起きなさい、この穀潰し!」
冷たい紅茶を浴びせられ、無実の罪で男爵家を追放された地味なメイド、ミア。
泥濘の中で力尽きようとしたその時、彼女の脳裏に鮮やかな記憶が蘇る。
それは、炊きたての小豆の香りと、丁寧にあんこを練り上げる職人としての誇り……
行き倒れたミアを救ったのは、冷徹と恐れられる第一王子ミハエルだった。
バターと生クリームの重いお菓子に胃を痛めていた王族たちの前に、ミアは前世の知恵を絞った未知のスイーツ『おはぎ』を差し出す。
「なんだ、この食感は……深く、そして優しい。ミア、お前は私の最高のパートナーだ」
小豆の魔法に魅了されたミハエルだけでなく、武闘派の第二王子やわがままな王女まで、気づけばミアを取り合う溺愛合戦が勃発!
一方で、有能なミアを失い、裏金のカラクリを解ける者がいなくなった男爵家は、自業自得の崩壊へと突き進んでいく。
泣いて謝っても、もう遅い。
彼らを待っていたのは、処刑よりも皮肉な「全土小豆畑の刑」だった……
これは、一粒の小豆から始まる、甘くて爽快な逆転シンデレラストーリー。
あなたの心も、あんこのように「まあるく」癒やしてみせます。
【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
雑草と呼ばれた令嬢は、氷の公爵の庭を咲かせる
もちもちほっぺ
恋愛
亡き母の形見の庭を守ることだけが、フェリシアの居場所だった。
継母に食卓での給仕を命じられ、義妹に母の形見の花を踏みにじられても、父は「仲良くしなさい」と言うだけだった。
植物魔法は「雑草いじり」と蔑まれ、フェリシアはルミナリス家の娘ではなく、使用人以下として生きてきた。
転機は突然訪れる。
「氷の魔王」と恐れられるギルバート・ウィンストン公爵との縁談。嵐の中、馬車も出してもらえず送り出されたフェリシアが辿り着いたのは、十年間何も育たなくなった荒廃した庭だった。
『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~
スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」
王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。
伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。
婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。
それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。
――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。
「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」
リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。
彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。
絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。
彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる