はりぼてスケバン

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年齢は恐らく二十代後半だろう。
それが華子の目測であった。

「えっと……実は……。」
どう説明すれば良いものか。
必死に脳内を整理する華子。

「……？」

華子は今朝からの自身の受けた扱いを話した。
それにより、疲労感でヘロヘロになった。
そして、どこか昼を静かに過ごせる場所はないか探しているうちにここに来てしまったことも話してしまうのだった。
彼女の話を聞き、飛鳥は苦笑いしてしまった。

「それにしても……。」

「……？先生？」
どうしたのだろう？
華子が聞く。

「いや、一日で随分と変わってしまったな。」
呆れているのか驚いているのか。
再度苦笑いする飛鳥。

「あ、あはは……。」
これには訳がある。
しかし、それも憚られる。

飛鳥の目元にうっすらと隈が見える。
彼のデスクにも大量の吸い殻の入った灰皿があり、空になったエナジードリンクの缶も複数ある。
そんな彼の重荷をこれ以上増やすことは出来ない。

「まぁ、今のところは真面目に授業受けてくれてるみたいだからそれはありがたいけどね……。」

「は、はい……善処します。」
真面目に授業を受けたいのは山々だ。
しかし、それならば自身に纏わりつく者達をどうにかしてほしい。
そう言いかけ、グッと堪える華子。


「……では、白辰高校とはもう話はつけてきたんだな？」

「まぁ、これで当面は大丈夫だと思うよー。」

「そうかそうか。やはりお前を生徒会長に推薦して正解だったな。」

「あははーまぁ、成り手もいなかったから推薦もくそもないけどねー。」

「がはは、それもそうか。」

一人は低く堅い印象。
そして、もう一人は何とも気の抜けた声。

そんな二人のやりとりが彼女の耳に届いた。
この高校は大丈夫だろうかと耳を疑う内容が後半で聞こえてきたが、華子は聞いていないフリをした。

「そうだ、ちょうど良い。……門屋先生、話が終わったら尾谷借りても良いですか？」
飛鳥が振り返り、話していた二人へと話しかけた。

「おう、橘先生！ナイスタイミングですな！ちょうどこいつとの話は終わったんで大丈夫ですよ！」
がはは！
巨体を揺らし、豪快に笑う。
門屋と呼ばれた男性が、清々しい返答を飛鳥へする。
先ほどまでの堅い印象は一瞬にして砕け散った。

門屋番仁朗。
それが彼の名前だ。
ここで生徒指導をしている。

なるほど。
彼の見た目が物語っている。