はりぼてスケバン

7

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歪んだ憎悪。
その逆恨みは、華子一人へ向けられていた。

最早こんな場所には用はない。
踵を返す三花であった。


彼女の目的地。
それは、白辰高校であった。

以前、華子を襲撃するようにと言った者達。
彼らと合流し、力をつければ華子に対抗出来るかもしれない。
そうすれば、彼女を蹴落とすことが出来る。

思惑とは、ことごとくその通りに行かないものだ。
門前払い。
どうやら白辰校内でも、彼女のことは問題視されていたようで、首根っこを掴まれそのまま放り出される始末であった。


苛立つ。
しかし、どうすることも出来ない。
黒龍高校では華子がチヤホヤされている。
そして、白辰高校には入ることすら出来ない。

誰も彼もが思い通りに動かない。
この苛立ちを、どこかへぶつけたい。
しかし、どこへ向けて良いか分からない。
そして、それが更に苛立つ原因となる。

負の連鎖。
その結果、彼女の思考は普段とかけ離れてしまった。
本来なら、考えつかないようなことを思いついてしまったのだ。

「もう……これしか……でも……仕方ないよね……。」
歪に上がる口角。
それは、彼女の危険な思想が漏れ出たせいであった。


翌日。
いつも通りの時間に起床した華子。
いそいそと起き上がると、念の為、カーテンを開ける。

安堵。
今日はクラスメイト達と、その為大勢は押し掛けて来てはいないようだった。

安心。
それをするには、まだ早かった。
しかし、今の彼女がそんなことを知るわけがなかった。

そのせいだろうか。
瞼が重くなっていく。
もう少しでそのまま意識を手放してしまいそうになってしまう。
それは、まさにその時であった。

ピンポーン！
インターホンの音。
そして、その後も連打。

苛立つほどにうるさい。
しかし、それがかえって良かったようだ。
目が覚めた。

のそのそと起き上がる。
この苛立ちを、迷惑な来訪者へぶつけてしまおう。
それくらいは許されるだろう。

勢い良く玄関の扉を開ける。
文句の言う準備は出来た。
言ってやる。
しかし、そんな気持ちの彼女の目の前には、誰もいなかった。

ピンポンダッシュの類か？
それとも、まさか、心霊現象か？
その他も、嫌な想像が、彼女の脳内を駆け巡る。
しかし、どれもこれも違っていた。

扉を勢い良く開けてしまった。
そのせいで、その正面にいた者に激突してしまったのだ。