はりぼてスケバン

あさまる

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「……。」
絶句。
そして、全身から力が抜けたように、ガックリと肩を落とす飛鳥。

無言。
無音。
数秒か、数分か。
そんな沈黙が続いた。
そんなものを破ったのは、番仁朗であった。

「見たところ、喧嘩が強いようには見えないが……。」
鋭い視線。
そんなものが華子へ向けられている。

「え、あぁ……そうですね……弱いです……。」
謙遜などではない。
本当のことだ。

「……。」
無言となった番仁朗。
飛鳥とは違い、思案の為だ。

「せ、先生？」

「……ここの生徒を束ねられると思っているか？」

番仁朗の問いに、答えを言えない華子。
素直に伝えるというのなら、答えはノーだ。
しかし、今この場で言えるわけがない。

「そ、それは……。」

「お前の口から答えが聞けるならいくらでも待つ。」

「……。」

再度の沈黙。
正直に言うべきか。
それとも、ここだけでも取り繕うべきか。

思考。
長考。
迷走。

駄目だ。
考えれば考えるほど答えが見つからない。
正しいものが分からない。

爆発音のような大きな衝撃。
それは、部屋の中にいた者達を驚かせるには十分なものであった。

扉が吹っ飛び、部屋へと倒れ込む。
扉のガラスが派手な音を出しながら割れて飛び散る。

散らばるガラスなど意に返さないように、ゆっくりと歩み進む者。
それは飛鳥達の元へと確実に進んでいた。
亥玄だ。
彼が部屋の中へと入ってきた。

「……びっくりしたー……。」
目を真ん丸に見開き、口をあんぐりと開き、驚きの表情を浮かべる飛鳥。

「こいつにここの生徒を束ねられるかと、お前は聞いたな。」
開口一番失礼極まりないことを言って見せた亥玄。
それは、番仁朗へ向けられたものであった。

「鯉崎……？あぁ、そうだな。確かに言った。」

「それなら問題ない。」
華子の代わりに答えを言った。

「……。」
淡々と会話をしている二人を見ている華子。
彼女もまた、飛鳥と似た表情を浮かべていた。

彼が扉を壊して入ってきたことに対してもだが、番仁朗がそれについて何も言わないことに対しても驚いていた。

「なぜそう言える？」

「おなしなことを聞くな。」

「おかしなことだと？」

一気に空気が張り詰める。
華子の経験したことのない緊張感だ。

「あぁ、おかしなことだろ。俺がこいつの下にいるんだ。何かあれば俺が動く。そうすればすぐに解決出来る。それで良いだろ？」

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