甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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閑静な住宅街。
そこにポツンと存在する神社。
その石階段に、二人は座り込んでいた。
その頃には彼女らは、息も絶え絶えで、肩が上下に揺れていた。


「こ、ここまで来ればもう大丈夫……かな?」
ぜぇはぁぜぇはぁ……。
荒い息の合間に言葉を紡ぐ真優。

これは運動不足だな。
痛みを感じる横腹に、そう思う真優であった。

未だ声が出せない翔子。
恐らく彼女も横腹が痛いのだろう。
自身の手を押し当てている。
そして、大きく口を広げ、息をしていた。

数分後。
息の整った二人。
先に言葉を発したのは翔子であった。

「あ、あの……雨……雨野さん?」
自信なさ気に言う翔子。

「雨枝です。雨枝真優。……あなたと同じあまえ、で後ろの席のクラスメイトですよ。名前くらい覚えておいてくださいよ、海部江さん。」

「……そ、そうなんだ……ごめんね。」
しょんぼり。

そこまで強く言ったとは思っていなかった真優。
翔子の反応に、内心焦る。
「あっ、すみません……強く言い過ぎました。」

「……いや、大丈夫だよ。気にしないでね、雨枝さん。」
にっこり。
笑顔を見せる翔子。

「……っ!」

教室で見たことのない笑顔。
クールな見た目から想像もつかない無邪気なものだ。

ドキン。
心臓を鷲掴みされたような感覚。
それは、キューッと締め付けられるようなものであった。

恐らく、急に走ったからだろう。
準備運動なしで動いたから身体が驚いたのだろう。
だからだ。
きっとそうに違いない。
いや、そうに決まっている。

顔が熱いのも、そのせいだ。
目の前のろくに会話したことのないクラスメイトのことを可愛いと思ってしまうのも、疲れているせいだ。

「……あ、雨枝さん?」
心配そうな翔子の声。

「な、なんでもない!なんでもないですからっ!」
自身で説明出来ない恥ずかしさ。
それを誤魔化すように声を荒らげる真優。

「ひっ!?……ごめ、ごめんなさい……。その、怒らせちゃった……よね?」
突然の大声に驚く翔子。
ガタッと震え、縮こまる。

小動物のような恐がり方。
自身の身体を抱くような姿勢で隅にいる。
それは、普段の彼女のイメージとかけ離れた姿であった。

「ごめんなさい。その、突然大声上げてしまって……。」

「い、いや……ごめんね。」


無言。
聞こえるのは遠くの方の喧騒のみ。

気まずい。
何か話題はないだろうか。
「そ、そういえばさっきの人とは知り合いなんですか?」
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