甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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そして、翔子に声をかける。
しかし、それはすぐにかき消された。

ぞろぞろ。
クラクメイト達がどんどん翔子の元へと集まる。
各々が何かを彼女へ言っている。
しかし、その一つ一つに対応することは、彼女にとっては至難の技であった。

「海部江さんっ!この後どっか行かない?」

「私らとカラオケ行こうよ!」

「あ、あの……。えっと、そのぉ……。」
オロオロ、オロオロ……。

案の定と言うべきだろうか。
大勢に囲まれてしまい、しどろもどろになっている翔子。

「ちょ、そんなに皆で囲んだらっ……!あ、海部江さんっ!」
翔子を助けようとする真優。
しかし、これすらもそんな彼女にも、その周りの者達にも届かない。

「あ、あの、その……え、えっと……。」
翔子の呟き。
困惑の言葉。
それは、誰に届くでもなく消えていってしまった。


そうしているうちに、翔子は連れていかれてしまった。


「ど、どうしよう……。」
ぽつん。
その場に取り残された真優。

「ど、どうしようじゃないっ!海部江さんのことを助けないとっ!」
ガタン!
自身の一人言に突っ込みを入れる。
そして、勢い良く立ち上がるのであった。

真優が駆け出す。
目的地は、もちろん翔子の元だ。

「たっ、たのもー!!」
教室に響く少女の声。

未だに教室に残っているクラクメイト達。
彼らの視線がそんな彼女へと向けられた。

梨華や真優に引けを取らない小柄な少女だ。
この高校の制服を着ている。
その為、彼女は翔子達と同い年、もしくは歳上ということになる。

「あっ、うさちゃん先輩だ!」

「え?あっ、本当だ!うさちゃん先輩だ!ちっちゃくて可愛いー。今日はどうしたんですかぁ?飴なめます?」

少女へ向けられた黄色い歓声。
それは、愛らしいゆるキャラへ向けられるようなものに近かった。

「う、うさちゃんって言わないで!……あ、飴はもらうけど……。」
彼女らの声に反発する少女。

ぷんすか。
翔子のように、見事に幼い怒り方をする。

風野卯佐子。
彼女らが先輩と呼ぶ少女だ。
この場にいる皆そう言われるように、卯佐子は翔子達よりも一つ歳上である。

その見た目が目立ち、一ヶ月程しか経過していないこの時期であっても一年の一部には知られている。
更に一部に熱烈なファンがいるとまで噂されいるようだ。
そんな彼女が、放課後のこのタイミングで来た。
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