甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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「そ、そうかな?あんまり考えたことなかったな。あはは……。」
良いだろう?
羨ましいだろう?
でも駄目。
翔子は私のもの。
誰にも渡さない。

日に日に増していく翔子に対する独占欲。
その危険性を、美成実自身も自覚していた。
しかし、もうどうしようもないところまで来てしまっていた。

「なんとかお近づきになれないかなぁ……。美成実、今度海部江さんに私のこと紹介してくれない?」

「え、えっと……どうだろう?私も最近そんなに翔子と話してないからなぁ。」
言いずらそうに言う美成実。

翔子の表面上しか見たことのないような者。
演じられた彼女しか知らない者。
そんな人間が翔子に近づこうなど烏滸がましい。
そんなどす黒い感情。
笑顔で対応する美成実の中に、それが渦巻いていた。

教室にたどり着いた美成実。
彼女の隣には、先ほどともにいたクラスメイトがいる。
彼女らが到着した頃には、翔子はすでに室内にいた。
今もなお、彼女は囲まれている。


それは、放課後まで続いた。
翔子の周りには、クラスメイト達が常にいる。
時折、他の学年や、別のクラスからも彼女に会いに来る者も少なからずいた。

一方、美成実はその様子を外から見ている一人にすぎない。
しかし、美成実はそれで良かった。

チラリ。
教室内の隅の方を見る。
そこには、一人で座っているクラスメイトの女子生徒。
休み時間、誰とも話さない為、孤立していた。

彼女の名前も分からない。
入学直後に行った自己紹介。
彼女も当然行った。
そのはずだ。
それなのに、美成実は覚えていなかった。
恐らくそれは、彼女だけではないだろう。
クラスメイトの大半がそのようになっているだろう。

寂しいものだな。
彼女のことを見て、そう思う美成実。

翔子を、彼女と同じ立場にしてはいけない。
その為には、皆から愛される人物であり続ける必要がある。

脳裏に浮かぶ、普段の翔子の姿。
甘えん坊で、弱虫。
それを見続けてきた美成実。
そんな彼女にとっては、愛おしい姿でしかなかった。
しかし、他の者、第三者が見たらどうなのだろうか?

馬鹿にされないか?
笑われないか?
拒絶されないか?
そんな不安が美成実の胸中を支配していた。


放課後。
部活へ向かう者達。
そして、そのまま帰宅する者達。
そのまま残る者達もいた。

教室内に未だにいる者達。
彼らの目的は、一つであった。
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