甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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嬉しい気持ち。
そして、苛立ち。

もしもの話だ。
その二つをグラフで表せと言われたとしよう。
そうしたら、きっとそれらは両極端にあるだろう。
真逆なものだ。

矛盾するそんな二つが共存する。
そんなことは決してあり得ない。

真優はそう思っていた。
しかし、それはたった今、覆された。
彼女は今、まさにそれを経験しているのだ。

隣を歩く翔子。
その状況だけなら嬉しさしかない。
しかし、彼女を挟んでいる人物が、真優の感情を複雑なものとしたのだ。

美成実だ。
彼女こそ、真優の気持ちをおかしなとしたのだ。

翔子と話して笑顔になっている。
無邪気なものだ。

自分にだけではない。
そんな笑顔を他人にしてほしくない。
見せてほしくない。

「ま、真優ちゃん?」
真優の異変に気づいたのは、翔子であった。

「うん?」

「大丈夫?」

「え?」
何を心配してるのだろう?
真優には分からない。

「なんか……その……怒ってる気がして……。」

「怒ってる?わ、私が?」
しまった。
翔子に余計な心配をかけてしまった。
反省する真優。

「うん。」

なるほど、理解した。
どうやら嬉しさと苛立ちが同時に発生すると、表面上目立つのは苛立ちの方のようだ。

「怒ってないよ、ちょっと考え事を……。」
前半は嘘。
後半は本当。

「そっか。」

「悩んでることあるなら私にも言ってね?雨枝さんのお陰でこうしてまた翔子と話せるようになったんだから。言うなれば恩人なんだもん!」
美成実が言う。

きっと、その中には悪意はないのだろう。
純粋な気持ちだ。
しかし、それでも真優にはそんな彼女の言動に思うところがあった。

「う、うん……。ありがとう。」
無理矢理作った笑顔。
上手く笑えているだろうか。
真優自身、そんな心配をしてしまうほどであった。


ほどなくして、真優の自宅へ到着した。
思えば、翔子の家には何度か訪れたことはある。
しかし、逆はなかったものだ。

楽しみだ。
思わず顔がにやけてしまう。

「楽しみだね、翔子。」

「うん!」

あぁ、そうだ。
思い出した。
そういえばおまけもいたのであった。
真優の一気に気持ちが冷めてしまう。


「ちょっと待っててね、部屋片付けて来るから。」
真優の自宅へ到着した。
玄関に二人を待たせ、自室を片付けようと考えた。

「うん、分かったよ!」
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