甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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「何ならゆっくりでも良いよ、私その間翔子と話してるから。……だから、私達のことは気にしないでゆっくりと……ゆっくりとね?」
ニコニコ。
美成実が笑顔で真優へそう言う。

彼女の顔には笑みがある。
しかし、それは明らかに彼女に対する攻撃的な意志の元、発言されたものだ。

「……。」
それに気づいたのだろう。
美成実をジッと見つめる真優。

「真優ちゃん?」

「いや、何でもないよ!大丈夫、そう時間はかからないと思うから。」
彼女らを二人きりにしてはならない。
そう思っての真優の発言だ。

「……ふーん、分かったよ。」
つまらなそうに美成実が言う。
きっと、本当に興味がないのだろう。

逆の立場なら、きっと真優も同じような態度だっただろう。
そして、早く翔子と二人きりになりたいとも思っているはずだ。

「慌てなくて良いからね。」
にっこり。
無垢な笑みで言う翔子。

「大丈夫!絶対にすぐに終わらせるからっ!」
逸る気持ちのせいだろうか。
真優は早口でそう言うと、いそいそと家の中へと引っ込んで行った。


ドタバタドタバタ……。
実際に片付けと言っても、内容は単純なものだ。
あまり他人に見られたくないようなものを隅に移動させたり、棚へしまったりとその程度だ。

彼女の名誉の為に述べるなら、決してそれらは疚しいものではない。
彼女が普段読んでいる漫画や、ゲームなど彼女のイメージから少し離れるようなものだ。

美成実にはどう思われても良い。
しかし、翔子は駄目だ。
極力幻滅されるようなものは見せたくない。
可能な限り、そのような類いは先回りして排除しなくてはならないのだ。


「お、お待たせしました……。」
ぜぇはぁぜぇはぁ……。
息も絶え絶え。
ドタドタと走り、自室から玄関へ戻った真優。

真優の目の前に広がる光景。
それは、彼女が耐えることの出来ないものであった。

「もー、くすぐったいよー……。」

「ぐへへ……ぐへへ……翔子ぉ……。」

翔子の胸元に抱きつく美成実。
そして、それを全く嫌がっていない様子の翔子。
そこに、それがあった。

ふざけるな。
瞬間湯沸し器のように、真優の感情が爆発する。
「は、離れて!!今すぐ翔子さんから離れて下さい!!」

「うわっ!?」

「っ!?ま、真優ちゃん!?」

彼女の突然の大声に驚く二人。
しかし、それでも彼女らの距離が離れることはなかった。
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