はりぼてスケバン弐

あさまる

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「そう。何か手こずってるみたいだし……?どう?使ってみる?」

「使えるのか?」
半信半疑。
巳白が問いかける。

人数は多いに越したことはない。
しかし、烏合の衆では駄目だ。
最低限の統率が出来なければならない。
その為には、ある程度の実力と地頭はなくてはならない。

「まぁ、士気の落ちたこいつらよりはね?」
チラリ。
視線を一瞬彼らに向けると呟くように言った。

「……そうか。」

使えるものは使う。
巳白は彼らにも金を差し出そうとする。
それを受けとると、彼らは三花のことなど置いてそこから立ち去ってしまうのであった。

「じゃあ、私も帰ろっと。」

「さて……では、引き続き黒龍、白辰両校を潰す為に尽力してくれ。以上。」
そう言い、巳白がこの集まりを半ば強引に終わらせるのであった。

表立って動かなかった者達。
それらが動き出した。
しかし、やはりと言うべきなのか華子はそんなことなど予想もしていなかった。


「良いっすか、姐さん。ここから動かないで下さいっすよ?」

「分かったって。ほら、早く行って来なよ。」

「……本当に動いちゃ駄目っすからね?」

数日後の下校時。
それはタイミング悪くやって来てしまった。

亥玄が風邪により欠席。
そして、蝶華が白辰高校内の用事により来ることが出来ない。
そして、他の者もそれぞれ用事がある。

早い話が、華子を護衛することの出来る者は丸雄しかいないということであった。
つまり、ただでさえ戦力不足であったのだ。
それなのに、彼は彼女から離れようとしているのだ。

「早くしないと限定からあげ売り切れちゃうよ?」

「わっ!?行かなきゃっ!じゃ、じゃあ姐さん、待ってて下さいねっ!」

「はいはい。」
再三の忠告につい辟易してしまう華子が苦笑いで返答。

段々小さくなっていく彼の後ろ姿。
それをぼんやりと眺める華子。

微笑ましいことだな。
彼女はそんなことを思っていた。

それは、その時に起きた。
油断しきっていた華子。
そんな彼女の背後から忍び寄る影。

ついに行動に出た。
ついに動いたのだ。
後戻り出来ない。
一度始めてしまえばもう、元には戻れない。
それは、どちらも同じであった。

ガシャーン!
吹き飛ぶ。
しかし、それは彼女ではなかった。


「……え、え?」
ワンテンポ遅れての反応。
それは、華子の口から出たものだ。
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