はりぼてスケバン弐

あさまる

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華子らから少し離れた客席。
そこで彼女らを監視する二つの視線。
亥玄と丸雄であった。

そそくさと下校した華子。
彼女の異変に二人が気づき、後をつけたのだ。

悪い予感というものは、的中してほしくない時に当たってしまう。
華子が会話している者。
彼女は白百合高校の制服を着ているのだ。

白百合高校。
そこの生徒の一部。
彼らが今回の襲撃に関与した。

華子もそのことを知っているはずだ。
それなのに、彼女は白百合高校の生徒とこのように密かに会っている。

こそこそとしていた。
つまり、それは何か後ろめたいことがあるからだろう。

一介の生徒ならば無視出来る。
しかし、彼女は違う。
その行動一つで黒龍高校全体に多大な影響を及ぼしてしまう。

それが良い方へ転がれば問題ないだろう。
しかし、もしもそれが逆であったら駄目だ。
いくら彼女が番長といえど、そんな愚行は止めなくてはならない。


「……それにしても。」
視線はそのまま華子から逸らさない。
丸雄が口を開く。

「……?」
何を言い出すつもりだろうか。
彼の次の言葉を待つ亥玄。

「姐さんって、俺ら以外に友達いたんっすね……。あんな姿見たことなかったから何か俺、感激っす……。」
しみじみ。
悪気なく本人が聞こうものならば激怒必須な発言をしでかす丸雄。

「……おいこら、止めろ。」
流石に失礼だ。
亥玄が言う。

「……じゃあ逆に聞くっすけど、鯉崎は姐さんに俺ら以外の友達いるって思ってたんっすか?」

「それは……その……。」
言い渋る亥玄。

「でしょ?」
ふふん。
したり顔をする丸雄であった。

「し、しかし……。」
話題を強引に変えようとする亥玄。
その視線の先は、相変わらず華子達を見ている。

「うん?なんっすか?」

「いや、鼬原の話し相手……以前どこかで見た気がするんだ。」
ボソリ。
記憶の端を探るように呟く亥玄。

気がする。
しかし、確証があった。

「……そうっすかー。」
無関心。

「まぁ、良い。」
無関心な彼の様子に気づいた亥玄。
そんな彼もこのことには自らのこととはいえさほど興味はなかった。

亥玄が彼女を以前見た。
それは華子と下校中の時であった。
しかし、そんなことすっかり忘れていた彼であったのだ。


「こうやってまた二人で遊べて嬉しいな……。」
ニコニコ。
依然として嬉しさを隠せない華子。
可愛らしい笑みを浮かべている。
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