はりぼてスケバン弐

あさまる

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「ただいま……。」
無論、返事など来ない。

静寂。
孤独な秋姫。

制服のまま、自室のベッドへ俯せに倒れ込む。
静かなことが余計に孤独感を強くする。

部屋の中が暗くなっていく。
電気を着けなければならない。
しかし、動く気力もない。

ずるずると、このまま沈んでいってしまうような感覚。
きっと、華子のような強引な者が助けに来てくれなければ自力で立ち直れない。


もう良い。
どうでも良い。
全て、嫌になった。


それから、秋姫は登校することを止めた。


何日経過しただろう。
今何時なのだろう。
そんなことも分からない。

辛うじて生きている。
そんな状態だ。

心配してほしい。
誰かに見ていてほしい。
そんなことなど、烏滸がましいことだったのだろうか。

誰かが来てくれるのではないか。
誰かが無理矢理にでも登校させようとしてくれるのではないか。
しかし、それはただただ淡い期待にすぎなかった。

ピンポーン。
甲高いインターホンの音が鳴る。
いよいよ幻聴が聞こえてきてしまった。

「……。」
当然無視だ。
幻聴のはずだ。
当たり前だろう。

何度も鳴る。
鳴り続ける。

幻聴。
そんなもの、彼女にも分かっている。
だから、無視すれば良い。
そうしていれば、いつか止まる。


未だ鳴り止まない音。
いい加減、しつこい。
いくら幻聴とはいえくどい。

「あー、もうっ!うるさいっ!何なのっ!?」
ドスンドスンドスン!
華奢な秋姫。
しかし、怒りの足音が騒々しくなってしまう。
それほどに余裕がなかったのだ。

自暴自棄。
たとえ誰で会っても関係ない。

怒ってやる。
迷惑だといってやる。
感情を全てぶちまけてやる。
秋姫の決意は確固たるものであった。
その時までは、確かに確固たるものであったのだ。


「……え?な、なんで……?」
あまりにも想定外。
先ほどまでの彼女の中にある怒りは、どこかへ消えてなくなってしまった。

「……そ、その……あはは……久しぶり……ではないね。」
苦笑い。
いたたまれない。

そこにいたのは華子であった。
本来いないはずの彼女が、秋姫の眼前にいたのだ。

今や黒龍高校の番長である華子。
亥玄や丸雄達、他の生徒による護衛も付けずにたった一人でやって来たのだ。

「え、えっと……華子……。」

「あ、あはは……。」

「……。」

「……。」

沈黙。
互いに次の出方を伺っている。
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