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彼女のその姿。
それが、蝶華を動揺させたのだ。
そんな状態の彼女の慌てふためきを緩和させる為に彼女が声を上げた。
「……おー……綺麗だー……。」
華子の視線の先。
そこには雲一つない青空。
蝶華に襲いかかった華子。
しかし、見事に往なされたのだ。
その結果、彼女は校庭の真ん中に仰向けに倒されることとなったのだ。
「大丈夫!?え、えっと、取り敢えず起き上がって……。」
「あはは……ごめ、ごめん、蝶華ちゃん。」
蝶華から差し伸べられる手。
それに掴まり、起き上がる華子。
幸いなことに怪我などしていない。
恐らく、いや十中八九加減してくれたのだろう。
「えっと……どうする?まだやる?」
「うん!お願いっ!」
屈託のない笑顔。
そして、それでいて真っ直ぐで真剣な視線。
そこからも、華子の本気具合が伺える。
「……分かった。なるべく怪我しないように加減はするけど……は、華子……さん……も気をつけてねっ!」
「……うんっ……!行くよっ!」
転倒。
起き上がり、転倒。
以降、繰り返し。
「も、もう一回……もう一回だけお願い。」
フラフラ。
ゆっくりと、しかし、それでいて確実に立ち上がる華子。
「……いや、もう今日は止めようよ……。」
「だ、大丈夫……!大丈夫だからっ!」
「で、でも……。」
動揺が隠しきれない蝶華。
喧嘩慣れしている彼女には分かる。
明らかに力量に差があり過ぎるのだ。
彼女の視線の先。
そこにはボロボロの華子がいた。
自身が投げ飛ばし続けたとはいえ、良心が痛む。
「大丈夫!結構ボロボロだけど……見た目より痛くないからっ!」
ニコッ。
微笑む華子。
しかし、蝶華には分かっていた。
それは、彼女に気を使っての嘘であった。
「……分かった。」
無論、更に手加減などはしない。
絶対にしてはならないのだ。
そんなことをすれば、彼女に対する侮辱になってしまう。
素人。
しかし、成り行きとはいえ、今彼女は黒龍高校の番長だ。
分不相応な立場に、必死に食らいついている。
本気。
だからこそ、彼女に対して真摯に向き合わなければならない。
数十分後。
流石の蝶華も肩を上下に大きく揺らしながら息をしている。
「う、うぅ……。」
とうとう限界が来たようだ。
電池が切れたように華子が倒れ込む。
「……おっと。」
地面に顔から突っ込む寸前。
その瞬間に、彼女の身体を支える蝶華。
それが、蝶華を動揺させたのだ。
そんな状態の彼女の慌てふためきを緩和させる為に彼女が声を上げた。
「……おー……綺麗だー……。」
華子の視線の先。
そこには雲一つない青空。
蝶華に襲いかかった華子。
しかし、見事に往なされたのだ。
その結果、彼女は校庭の真ん中に仰向けに倒されることとなったのだ。
「大丈夫!?え、えっと、取り敢えず起き上がって……。」
「あはは……ごめ、ごめん、蝶華ちゃん。」
蝶華から差し伸べられる手。
それに掴まり、起き上がる華子。
幸いなことに怪我などしていない。
恐らく、いや十中八九加減してくれたのだろう。
「えっと……どうする?まだやる?」
「うん!お願いっ!」
屈託のない笑顔。
そして、それでいて真っ直ぐで真剣な視線。
そこからも、華子の本気具合が伺える。
「……分かった。なるべく怪我しないように加減はするけど……は、華子……さん……も気をつけてねっ!」
「……うんっ……!行くよっ!」
転倒。
起き上がり、転倒。
以降、繰り返し。
「も、もう一回……もう一回だけお願い。」
フラフラ。
ゆっくりと、しかし、それでいて確実に立ち上がる華子。
「……いや、もう今日は止めようよ……。」
「だ、大丈夫……!大丈夫だからっ!」
「で、でも……。」
動揺が隠しきれない蝶華。
喧嘩慣れしている彼女には分かる。
明らかに力量に差があり過ぎるのだ。
彼女の視線の先。
そこにはボロボロの華子がいた。
自身が投げ飛ばし続けたとはいえ、良心が痛む。
「大丈夫!結構ボロボロだけど……見た目より痛くないからっ!」
ニコッ。
微笑む華子。
しかし、蝶華には分かっていた。
それは、彼女に気を使っての嘘であった。
「……分かった。」
無論、更に手加減などはしない。
絶対にしてはならないのだ。
そんなことをすれば、彼女に対する侮辱になってしまう。
素人。
しかし、成り行きとはいえ、今彼女は黒龍高校の番長だ。
分不相応な立場に、必死に食らいついている。
本気。
だからこそ、彼女に対して真摯に向き合わなければならない。
数十分後。
流石の蝶華も肩を上下に大きく揺らしながら息をしている。
「う、うぅ……。」
とうとう限界が来たようだ。
電池が切れたように華子が倒れ込む。
「……おっと。」
地面に顔から突っ込む寸前。
その瞬間に、彼女の身体を支える蝶華。
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