はりぼてスケバン弐

あさまる

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ある日の休日~閑静な住宅街にて起こる惨劇~

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閑静な住宅街。
休みの日の昼時。

そんな落ち着いた雰囲気にそぐわない空気。
華子の家に漂っていた。
厳密にいえば、彼女の部屋の中でそのおぞましいものは行われていた。

死屍累々。
真っ赤な顔。
そして、グルグルと目を回して床に伏している。

黒龍高校の丸雄、亥玄。
そして、白辰高校の辰美。
白百合高校の秋姫。

本来ならば、決して巡り会うことのないような者達だ。
そんな彼らを結び着けた存在であり、この部屋の主でもある華子。
彼女もまた、赤面していた。
しかし、他の者達とは様子が違っていた。

「あははははー、何かよく分からないけど楽しいなー。」
ゲラゲラと笑っている。

ガチャッ!
勢い良く扉が開かれる。
千鳥足で、彼女もまた顔が赤い。

「華子ーっ!華子っ!私の親友の華子ー!まだジュース合ったぞー!あはははは!」
いくつもの缶を抱えて華子へ向けて大声を上げた侵入者。

「おぉ!蝶華ー!良いね良いねー!飲むぞー!」

そう。
蝶華だ。
いつもと様子の違う彼女が華子へ近寄る。

ガシッ!
肩を組み、ゲラゲラと笑い続ける二人。


なぜこんな惨状が生まれてしまったのか。
その原因は、数時間前に遡る。

黒龍高校と、白辰高校。
今まで同盟を結んでいた。
しかし、それは表面上の平和を維持するに過ぎなかった。

それが、締結後の華子達による行動で、確固たるものとなった。
今日はその記念に華子の家で集まることになっていたのだ。

早朝から起きて掃除をしたり、料理を作るなどし、準備をしていた華子。
それほど今日の集まりに気合いを入れていると同時に楽しみでもあったのだ。
その証拠に、気合いを入れながら掃除をする彼女は鼻歌を歌っていた。


ちょうど終わった頃。
インターホンが鳴った。
それに気づいた彼女が急いで玄関へと走って行く。

扉を開ける。
そこには彼女が招いた者達がいた。

「いらっしゃーい。どうぞ、どうぞ、入ってー。」
ニコニコ。
嬉しそうに彼らを出迎える華子であった。

丸雄と亥玄。
そして、蝶華と辰美。
彼らの後ろからひょっこりと秋姫が顔を覗かせている。

なぜ、このようなことになったのか。
それは、丸雄との会話がきっかけだった。


ある日の放課後。
何となく帰るタイミングを逃した華子。
それは、丸雄も一緒であり、机を挟んで談笑していた。

「……でも、補習のテスト受かって良かったね。」
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