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43 王女の末路② ※アシュリー視点
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謁見室から近い応接室に通され、柔らかいソファで隣り合う。
ランドルフが指を鳴らすと、すぐにジゼルが茶器を持って現れた。
「アシュリー様、ご婚約おめでとうございます」
「ま、待ってジゼル。わたくしまだ頭の中が整理できていないの」
嬉しそうに頬を上気させながらお祝いの言葉をくれるジゼルを手で制する。
どうやらジゼルはこの展開を先に知っていたらしい。
だから謁見の間に向かう足取りが軽かったのかと今更ながらに気づくが、今はそれよりも先に確認したいことがあった。
「あなた弟……ですの?」
「ああ。実はそうなんだ」
理解が追いつかないまま尋ねると、ランドルフがすんなり頷いた。
おかげでますます混乱が深まる。
「だいぶ後になってからできた子でな。兄たちとはずいぶん年が離れている」
そう説明されても、なにがなんだか分からない。
国家機密は無理でも、対外的に発表されている情報なら敵対している国にだって漏れ聞こえるはずなのに。
「カイエン様の他にアストラリス国王にご兄弟がいらっしゃるなんて、カラプタリアには伝わっておりません」
「生まれてすぐ跡取りに恵まれなかったアーキンズ公爵家の養子になった。だからだろう」
私の動揺が面白いのか、ランドルフが笑う。
「っ、わたくしはてっきり、カイエン様との結婚の話をされているのかと……っ」
混乱で目を回しそうになりながら言うと、強面の宰相が可愛らしく眉尻を下げた。
「兄上との方が良かったか?」
心配そうに私の顔を覗き込んでくるランドルフに腹が立つ。可愛いから余計にだ。
「崖から飛び降りる気持ちで了承しましたのに! なんて意地の悪い方たちなの!?」
あの誤解させる気満々の言い方。
間違いなく国王と王弟の策略だ。
きっと私とランドルフの間に生まれてしまった感情を知っていて、その上で仕組んだに違いない。
長いこと煩わされてきた敵国の王女に対する意趣返しのつもりかもしれないが、あまりにも趣味が悪い。
「すまないな。兄上たちは悪い人間ではないが、ちょっと性格が捻ねくれているんだ」
気遣わしげにランドルフがフォローしてくれるのはありがたいが、決死の覚悟と乙女心を弄ばれてしまったことはしばらく忘れられそうにない。
ものすごく幸せな采配をしてくれたのは心から感謝しているけれど、しばらくは彼らの言動を警戒してしまいそうだ。
「俺に免じて怒りを収めてくれると助かる」
苦笑しながら宥められては、いつまでもへそを曲げているわけにもいかなくなる。
「……べつに怒っているわけではありません。ただ取り乱したことが恥ずかしいの」
子供っぽく思われたくなくて言うけれど、くちびるが尖ってしまったのであまり意味はなかったかもしれない。
「この歳になるまで浮いた話の一つもなかった弟が、頭を下げてまで結婚の許しを乞うたんだ。あれが兄上たちなりの祝福なんだと思う」
だとしたら愛情が分かりづらいにも程がある。
だけどそれよりも今、とても気になるセリフが聞こえた気がするのだけど。
「……頭を下げたんですの? わたくしと結婚したくて?」
「ああ。許してもらえないなら宰相の座を退いて隠居すると嘆いて」
「そういうの、脅しというのよ」
思いのほか小狡い手を使うランドルフに苦笑しながらも、だんだんと現実味を感じて鼓動が速まっていく。
「ねえ、わたくし、本当にあなたと結婚できるの?」
ドギマギしながら問う。
実は私が都合のいい解釈をしているだけで、何か間違えているのかもしれない。
だって虜囚生活以上に幸せなことなんて、あるわけないと思っていた。
ナタリアから解放されて、美味しいものや楽しいものをたくさん与えてもらって。
見るのも嫌だった醜い傷跡を綺麗に消してくれるなんて奇跡まで施してくれたのに。
その上で最愛の人と生涯を共にできる権利をもらえるなんて。
「ああ、おまえが嫌ではないなら」
ランドルフがまっすぐに私を見て、真摯に頷く。
じわりと目尻に涙が滲んだ。
ランドルフが膝に置いた私の手に、そっと自分の手を重ねた。
「――アシュリー。出会った時からずっと心惹かれていた。苦しみを抱えてなお明るく笑うおまえが好きだ。理不尽に屈しない強さが好きだ」
「ランドルフ様……」
「だけどもう二度と苦しみを味わわせたくない。そばで支えさせてほしい。卑怯な手を使った自覚はある。だが無理やりにでも手に入れたいというのが本心だ。戦勝国の傲慢ととってもくれても構わん。だが誓う」
そこで言葉を切って、ぎゅっと私の手を握り締める。
熱のこもった視線に、心臓が破裂しそうだった。
「――生涯幸せにすると。だからどうか強制ではなく頷いてくれ……俺と、結婚してほしい」
望んだ以上の言葉に眩暈がする。
まともに人間扱いすらされなかった私に、こんな未来があっていいのだろうか。
「……秘密と引き換えに?」
今にも涙がこぼれ落ちそうで、誤魔化すように冗談めかして笑う。
なにか代わりに渡せるものがあればいいのに。
だけど困った。もう全部差し出してしまった。
私に残されたものはもう、ちっぽけな自分の身ただひとつ。
だけどランドルフは笑う。
心から幸せそうに。
「アシュリーからの愛を引き換えに」
いつの間にかこぼれ落ちていたらしい涙を、優しく拭ってくれながらランドルフが言う。
「……っ、そんなのもう、とっくにあなたのものよ……!」
声が震えた。
呼吸がままならない。
それ以上なにも言えなくなって、私は彼に体当たりするように抱き着いた。
ランドルフが指を鳴らすと、すぐにジゼルが茶器を持って現れた。
「アシュリー様、ご婚約おめでとうございます」
「ま、待ってジゼル。わたくしまだ頭の中が整理できていないの」
嬉しそうに頬を上気させながらお祝いの言葉をくれるジゼルを手で制する。
どうやらジゼルはこの展開を先に知っていたらしい。
だから謁見の間に向かう足取りが軽かったのかと今更ながらに気づくが、今はそれよりも先に確認したいことがあった。
「あなた弟……ですの?」
「ああ。実はそうなんだ」
理解が追いつかないまま尋ねると、ランドルフがすんなり頷いた。
おかげでますます混乱が深まる。
「だいぶ後になってからできた子でな。兄たちとはずいぶん年が離れている」
そう説明されても、なにがなんだか分からない。
国家機密は無理でも、対外的に発表されている情報なら敵対している国にだって漏れ聞こえるはずなのに。
「カイエン様の他にアストラリス国王にご兄弟がいらっしゃるなんて、カラプタリアには伝わっておりません」
「生まれてすぐ跡取りに恵まれなかったアーキンズ公爵家の養子になった。だからだろう」
私の動揺が面白いのか、ランドルフが笑う。
「っ、わたくしはてっきり、カイエン様との結婚の話をされているのかと……っ」
混乱で目を回しそうになりながら言うと、強面の宰相が可愛らしく眉尻を下げた。
「兄上との方が良かったか?」
心配そうに私の顔を覗き込んでくるランドルフに腹が立つ。可愛いから余計にだ。
「崖から飛び降りる気持ちで了承しましたのに! なんて意地の悪い方たちなの!?」
あの誤解させる気満々の言い方。
間違いなく国王と王弟の策略だ。
きっと私とランドルフの間に生まれてしまった感情を知っていて、その上で仕組んだに違いない。
長いこと煩わされてきた敵国の王女に対する意趣返しのつもりかもしれないが、あまりにも趣味が悪い。
「すまないな。兄上たちは悪い人間ではないが、ちょっと性格が捻ねくれているんだ」
気遣わしげにランドルフがフォローしてくれるのはありがたいが、決死の覚悟と乙女心を弄ばれてしまったことはしばらく忘れられそうにない。
ものすごく幸せな采配をしてくれたのは心から感謝しているけれど、しばらくは彼らの言動を警戒してしまいそうだ。
「俺に免じて怒りを収めてくれると助かる」
苦笑しながら宥められては、いつまでもへそを曲げているわけにもいかなくなる。
「……べつに怒っているわけではありません。ただ取り乱したことが恥ずかしいの」
子供っぽく思われたくなくて言うけれど、くちびるが尖ってしまったのであまり意味はなかったかもしれない。
「この歳になるまで浮いた話の一つもなかった弟が、頭を下げてまで結婚の許しを乞うたんだ。あれが兄上たちなりの祝福なんだと思う」
だとしたら愛情が分かりづらいにも程がある。
だけどそれよりも今、とても気になるセリフが聞こえた気がするのだけど。
「……頭を下げたんですの? わたくしと結婚したくて?」
「ああ。許してもらえないなら宰相の座を退いて隠居すると嘆いて」
「そういうの、脅しというのよ」
思いのほか小狡い手を使うランドルフに苦笑しながらも、だんだんと現実味を感じて鼓動が速まっていく。
「ねえ、わたくし、本当にあなたと結婚できるの?」
ドギマギしながら問う。
実は私が都合のいい解釈をしているだけで、何か間違えているのかもしれない。
だって虜囚生活以上に幸せなことなんて、あるわけないと思っていた。
ナタリアから解放されて、美味しいものや楽しいものをたくさん与えてもらって。
見るのも嫌だった醜い傷跡を綺麗に消してくれるなんて奇跡まで施してくれたのに。
その上で最愛の人と生涯を共にできる権利をもらえるなんて。
「ああ、おまえが嫌ではないなら」
ランドルフがまっすぐに私を見て、真摯に頷く。
じわりと目尻に涙が滲んだ。
ランドルフが膝に置いた私の手に、そっと自分の手を重ねた。
「――アシュリー。出会った時からずっと心惹かれていた。苦しみを抱えてなお明るく笑うおまえが好きだ。理不尽に屈しない強さが好きだ」
「ランドルフ様……」
「だけどもう二度と苦しみを味わわせたくない。そばで支えさせてほしい。卑怯な手を使った自覚はある。だが無理やりにでも手に入れたいというのが本心だ。戦勝国の傲慢ととってもくれても構わん。だが誓う」
そこで言葉を切って、ぎゅっと私の手を握り締める。
熱のこもった視線に、心臓が破裂しそうだった。
「――生涯幸せにすると。だからどうか強制ではなく頷いてくれ……俺と、結婚してほしい」
望んだ以上の言葉に眩暈がする。
まともに人間扱いすらされなかった私に、こんな未来があっていいのだろうか。
「……秘密と引き換えに?」
今にも涙がこぼれ落ちそうで、誤魔化すように冗談めかして笑う。
なにか代わりに渡せるものがあればいいのに。
だけど困った。もう全部差し出してしまった。
私に残されたものはもう、ちっぽけな自分の身ただひとつ。
だけどランドルフは笑う。
心から幸せそうに。
「アシュリーからの愛を引き換えに」
いつの間にかこぼれ落ちていたらしい涙を、優しく拭ってくれながらランドルフが言う。
「……っ、そんなのもう、とっくにあなたのものよ……!」
声が震えた。
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それ以上なにも言えなくなって、私は彼に体当たりするように抱き着いた。
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