【完結】追放令嬢は海賊生活を謳歌する

当麻リコ

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26.私に出来ること

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アランにも手伝ってもらい、ありったけの救急キットをかき集めて医務室を出る。

「レーナ、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だってば」

心配そうな顔で振り返るアランに、笑顔を返す。
それでもアランの憂い顔は晴れなかった。
それはそうだ。死体を見て青い顔をしていたお嬢様が、またその現場に戻ろうとしているのだから。

「さっきはびっくりしちゃっただけ。あんなの初めてだもの」
「当然だよ。女の子がわざわざ見る必要ない」

年下のくせに、いっぱしの男みたいな顔で私を女の子扱いしてくれるのがくすぐったい。
そんな上等なものでもないのに、アランはいつも私をお姫様みたいに大切にしてくれる。
それが気恥ずかしくて、嬉しかった。
でも、それに甘んじている自分は嫌なのだ。

「手当てならオレがやっておくから。レーナは休んでなって」
「いやよ。私を役立たずにしないで」
「役立たずなんて誰も思わない。お頭だってあんな意地悪言ってたけど本当は、」
「わかってる。わかってるよアラン」

微笑んで遮る。
ここで何もしなくても、誰も私をお荷物扱いなんてしない。
みんな私を船員の一人として認めてくれている。
だからこその気遣いで、だからこその優しさだ。
それに報いなくてどうする。
自分の部屋にこもって、震えて縮こまっているなんてごめんだ。

「ほら。行こう。大丈夫だから心配しないで」
「するに決まってるだろ」
「じゃあ心配してくれてありがとう。大好きよ」
「えっ」

本心から言うと、照れたのかアランが顔を真っ赤に染めた。
かわいらしい反応に、思わず噴き出してしまう。

「……オレもレーナ大好きだよ」

何を言っても無駄だと理解してくれたのだろう。
諦めたようにため息をついて、嬉しい言葉を返してくれる。

「えへへありがとう」

照れ笑いしながらお礼を言うと、アランがようやく笑顔を見せてくれた。

うん。アランにはやっぱり笑っていてほしいな。

改めてそう思う。

「わかった。行こう。でも具合が悪くなったらすぐに言ってね」
「うん。約束する」
「絶対だよ⁉」

少し怒ったように言って、辿り着いた甲板への扉に手を掛ける。
血の匂いは、ここまで漂ってきていた。

アランに頷いて、おなかに力を込める。
血みどろの光景なんて、もちろんちっとも平気じゃなかったが、覚悟を決めるしかない。

この向こうには本や映画の中の話なんかではなく、現実が待ち受けているのだから。
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