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第2章 五芒星編
第31話 VSエターナ・リフィーア1
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まじでどうすんの? これ。
セロの真似して、しょっぱなから絶対破壊の隕石をぶっ放したけど、よくよく考えたら、これ落ちたら、俺も死ぬじゃん……
セレスの魔術は練習した分、慣れてそれなりに使い方が分かるけど、ぶっちゃけセロの魔術はノータッチ。
一心同体・Ver.隕石で魔力の威力はオリジナルのセロより強くなったけど、経験値そのものがゼロなんだけどね。
ははは、笑えない冗談だ。
「貴様、なぜセロのS級魔術が使えるんだ!!」
はい、そこ! 茶々入れないで、なんとかしなさい!
「おい、答えろ!!」
「うるさい!! 人が考え事してんだろうが!!」
俺に怒鳴られて、エターナは目を見開いてこっちをポカーンと見つめていた。
ちょっと大声出しただけでビビったのか? 案外小物だな。
「貴様……戦いの最中に考え事でもしてるのか?」
なに当たり前なこと聞いてんの?
これくらい普通じゃん。 誰でもやってることだろう?
てか、まじで頭上のこのでかい隕石をなんとかしてくれ!!
死ぬって!!
「おい? 何もしなくてもいいのか? この隕石が落ちたら、お前死ぬぞ?」
俺もな。
とりあえずエターナを挑発して、早くやつにこのえらくはた迷惑な隕石を処理してもらう。
『五芒星』のメンバーで、伝説のS級魔術師―『永遠』の皇帝だったらいけるだろう?
てか、できなかったら困る、まじで……
「言われなくてもやるわ!!」
エターナは上のはた迷惑な隕石に向けて手を伸ばした。
すると次の瞬間、隕石は内部から崩れていき、粉々に砕けた。
そして大気との摩擦で、数えられないほどの赤い火花を放ちながら消失した。
やった……助かった。
てか、今エターナって詠唱してなかったよね?
えっ? ってことは今、俺の絶対破壊の隕石を粉砕したのがS級魔術じゃなかったってこと?
いやいやいやいや、俺もA級魔術の空間破壊でセロの絶対破壊の隕石を打ち消したけど、めっちゃ苦戦したぞ?
なんでこいつすました顔してんの?
少しは疲れただろう?
ねえ、疲れたと言えや!! こら!!
「ふふふ、俺の絶対破壊の隕石をA級魔術で破るなんて大したものだな」
うん、多分こういうふうに話しかけたら、「それで力尽きたがな」とか、「魔力の大半を持っていかれた」とか、そういう返事が返ってくるはず。
俺の絶対破壊の隕石だぞ? コバエを叩く感じでなんの消耗もなしに簡単に潰せるはずがないよね。
「貴様のだと? それはセロのS級魔術だ!!」
あれ? 予想していた返事と違うぞ?
「あのー? 少し疲れてない? 魔力とかめっちゃ消耗してない?」
「急にどうした?」
「いや、お前の体調が心配でね」
「おかしいなやつ……別にそんなことはないけど?」
うっそ!!
まじで言ってんの!?
お前化け物じゃんか!?
セロの魔術が使いこなせない今、勝ち目が見えないぞ!?
なら、せめてこいつがどんな魔術を使ったかだけでも聞き出してやろう。
対策は後で考える!
「ふはははは、さすが『永遠』の皇帝と呼ばれるだけのことはある! あれでS級魔術を破るとは、見事だ」
私は手をエターナに向けて伸ばしたまま、言い放った。
「すべてお見通しってわけか……さすがだ。いかにも、私はA級魔術―加速する崩壊を使った」
思った通りだ! こいつほんとにちょろい!
にひひ、ちょっと知ったかぶりをすると、こいつは俺のことを買いかぶってなんでもかんでも話してくれる。
にしても、しゃべるときにポーズを取る必要なんてあったかな。
どうも一心同体・Ver.隕石を発動したあと、俺はむしょうにパフォーマンスにこだわるようになった。
これじゃ、あのキザで可哀想なセロと一緒じゃないか!?
勘弁してくれよ……
で? エターナよ、どうせ聞いてもないのに色々としゃべってくれるだろう?
続きをどうぞ?
「知っての通り、私の魔力の性質は『崩壊』。私は崩壊魔術を司る」
知らんがな。
ほら見ろ、自分からぺらぺらとしゃべってきた。
「加速する崩壊は物質の自然崩壊を加速させる魔術で、隕石なんて不安定なものを対処するのにそれで物足りる」
ふむふむ、なるほどね……って、今の俺と相性最悪じゃないかよ!!
「そして、私は『五芒星』の中で唯一、魔力の性質を反転させる術を知っている」
魔力の性質を反転させることなんてできるの!?
あとでセレス先生に聞こう。
こいつっておしゃべりだけど、存在自身がめちゃくちゃ常識外れじゃん!!
「『崩壊』の対極は『永存』、私は『永存』の魔力で自分の細胞の老化を止め、永遠の命を手に入れた! そして、体内にある魔力に『永存』の性質を持たせ、魔力の自然消失を阻止し、使える魔力の量を莫大に増やした」
なるほど、こいつ人間やめてますね……ナチュラルに。
つまり、体内にある魔力の性質を『永存』にして、無駄な消費を防ぎ、魔術などに使う魔力は本来の『崩壊』の性質を利用しているということだね。
うん、分かった。
分かったけど、対処法はないけどね!
まじでどうしよう。セロの魔術の使い方知らないし。
もう、こうなったらやけだ!
俺のやり方でやろう!
えっと、こう、右手を前に出して、左手で右手の手首を掴んで固定し、魔力を分散させ……
いけ! 隕石散弾!!
私の右手から放出されるように、無数の隕石がエターナに向けて飛んでいく!
絶対破壊の隕石で呼び出した巨大な隕石はエターナの魔術にとって格好の餌食、すぐに崩壊させられて終わりだ。
でも、これなら、エターナもすべての隕石を捉えられないだろう。
この魔術の名前をたくさんの隕石にしようと思ったけど、ひねりがないからやめた。
パフォーマンスとして、魔術の名前も大事だもんね、うん。
って、やはり今の俺おかしいな……
さて、今頃エターナはズタボロになっているだろうな。
「崩壊せし空間!!」
エターナの詠唱とともに、彼に神速で近づいていく隕石がすべて粉々になって消え去った。
まじかよ……
勝たせてよ……
もうすぐ昼食の時間だろうが……
お腹空いたよ……
てか、魔術の名前からして、こいつも空間魔術が使えるの?
ふざけんなや!
「標的を一個に絞らせずに数を増やしてきたのはいい手だ。ほめてやろう」
めっちゃ上から目線だな。
ムカつく。
「ただ、貴様の攻撃はもう私に届くことはない」
「それってどういうこと? なぜお前は空間魔術が使えるんだ?」
聞いたら答えてくれそうだから、とりあえず聞いてみた。
ムカつくけど、便利なやつだ。
「ふふっ、今になってとぼけても無駄だよ。貴様がすべてを見通していることくらい、私には手に取るように分かる」
ふふっ、とぼけてなんかいないぜ? まじでなんも分かんない!
自慢じゃないけど。
「私が使ったのは空間魔術ではない。ただ高密度の『崩壊』の魔力を私の周囲にまんべんなく展開しているだけだ。私に触れようとするものはすべて崩壊する。これこそ私の最強の防御魔術!!」
俺が間違っていたよ。
ぶっちゃけ、エターナっておしゃべりなんだから、自分の魔術の仕組みとか色々しゃべらせとけば、そのうちこいつを倒す方法が浮かんでくると思っていた。
なのに、これってなに!?
絶望しか浮かんでこないんだけど!!
まったくこいつを倒せる気がしないんだけど!!
「今度は私の番だ」
そう言って、エターナは屈んで地面に手を付けた。
「永遠の崩壊!!」
大地が鳴り響き、地面が崩れだす。
割れた大地が、激しい振動とともに沈んでいく。
やがて、すべてが静まり返ったとき、俺のいた場所は巨大な空洞と化していた。
底が見えぬ、真っ暗な大地の空洞。
「まさか私のS級魔術から逃れられるとはな……」
てへっ! ほめられちゃった!
じゃねぇだろう!!
俺はというと、咄嗟にセロがやったように、隕石を顕現させ、それに乗って上空に飛んだ。それでやっとこの絶望的な災害からぎりぎり脱出できたんだ。
泣きそう……もう無理。
こんな化け物に勝てるわけないじゃん……セレス……
『ご主人様、呼んだ~?』
今ほど、セレスの声を聞いて嬉しいと思ったことはない。
『セレス!! 愛してる!!』
だから、思わず思念同調を通して愛を叫んだ。
『あら~ ご主人様、うれしい~ うちもご主人様のこと愛しているわ~』
『愛を伝えてる場合じゃないだろう!! セレス、お前の頭はお花畑か!?』
『いや、ご主人様が……』
『というか、コバエはもういいのか!?』
『うん、ちゃんとしつけたわ~』
『じゃ、早く助けろ!! エターナは化け物だ! このままじゃ俺死んじゃう!! 一心同体だ!!』
一心同体だったら、セレスの思考や戦闘のセンスが俺と共有されるから、きっとエターナとも同じ次元で戦える。
『ふふっ、ご主人様、違うでしょう? ご主人様は今セロの魔力も持っているから~』
ふふっって、流行ってんの?
それってつまりどういうこと?
一心同体・Ver.隕石が使えるだけじゃないの?
「わははははは」
思念同調を通して、セレスの思考が流れてきたとたん、俺は高笑いするのを禁じ得なかった。
「貴様、なにがおかしいんだ!?」
もはや雑魚の声は俺には届かないぜ!
『ご主人様、いくよ~?』
『おう!』
『『三位一体!!』』
すべてが止まってるように感じる。
長くなって目にかかった銀色に光っている前髪を手で弄ってみる。
『緋色の目』を通して、エターナの魔力がはっきりと見えて、それがとてつもないほど強力だと視覚的に認識できた。
なのに、微塵も恐怖を感じない。
体内で一体となった三種の魔力がほとばしる。
俺は空中に立っている。
さっきまで乗っていた隕石は空間のゆがみに耐え切れず崩れ去った。
周りの空間が歪みだし、まるでこの世にあらざる翼でも生えたかのように俺の背後の空間が隕石の紋様をなぞり真っ赤に光る。
「エターナよ、裁きの時間だ」
俺は淡々とエターナに死の宣告を下した。
セロの真似して、しょっぱなから絶対破壊の隕石をぶっ放したけど、よくよく考えたら、これ落ちたら、俺も死ぬじゃん……
セレスの魔術は練習した分、慣れてそれなりに使い方が分かるけど、ぶっちゃけセロの魔術はノータッチ。
一心同体・Ver.隕石で魔力の威力はオリジナルのセロより強くなったけど、経験値そのものがゼロなんだけどね。
ははは、笑えない冗談だ。
「貴様、なぜセロのS級魔術が使えるんだ!!」
はい、そこ! 茶々入れないで、なんとかしなさい!
「おい、答えろ!!」
「うるさい!! 人が考え事してんだろうが!!」
俺に怒鳴られて、エターナは目を見開いてこっちをポカーンと見つめていた。
ちょっと大声出しただけでビビったのか? 案外小物だな。
「貴様……戦いの最中に考え事でもしてるのか?」
なに当たり前なこと聞いてんの?
これくらい普通じゃん。 誰でもやってることだろう?
てか、まじで頭上のこのでかい隕石をなんとかしてくれ!!
死ぬって!!
「おい? 何もしなくてもいいのか? この隕石が落ちたら、お前死ぬぞ?」
俺もな。
とりあえずエターナを挑発して、早くやつにこのえらくはた迷惑な隕石を処理してもらう。
『五芒星』のメンバーで、伝説のS級魔術師―『永遠』の皇帝だったらいけるだろう?
てか、できなかったら困る、まじで……
「言われなくてもやるわ!!」
エターナは上のはた迷惑な隕石に向けて手を伸ばした。
すると次の瞬間、隕石は内部から崩れていき、粉々に砕けた。
そして大気との摩擦で、数えられないほどの赤い火花を放ちながら消失した。
やった……助かった。
てか、今エターナって詠唱してなかったよね?
えっ? ってことは今、俺の絶対破壊の隕石を粉砕したのがS級魔術じゃなかったってこと?
いやいやいやいや、俺もA級魔術の空間破壊でセロの絶対破壊の隕石を打ち消したけど、めっちゃ苦戦したぞ?
なんでこいつすました顔してんの?
少しは疲れただろう?
ねえ、疲れたと言えや!! こら!!
「ふふふ、俺の絶対破壊の隕石をA級魔術で破るなんて大したものだな」
うん、多分こういうふうに話しかけたら、「それで力尽きたがな」とか、「魔力の大半を持っていかれた」とか、そういう返事が返ってくるはず。
俺の絶対破壊の隕石だぞ? コバエを叩く感じでなんの消耗もなしに簡単に潰せるはずがないよね。
「貴様のだと? それはセロのS級魔術だ!!」
あれ? 予想していた返事と違うぞ?
「あのー? 少し疲れてない? 魔力とかめっちゃ消耗してない?」
「急にどうした?」
「いや、お前の体調が心配でね」
「おかしいなやつ……別にそんなことはないけど?」
うっそ!!
まじで言ってんの!?
お前化け物じゃんか!?
セロの魔術が使いこなせない今、勝ち目が見えないぞ!?
なら、せめてこいつがどんな魔術を使ったかだけでも聞き出してやろう。
対策は後で考える!
「ふはははは、さすが『永遠』の皇帝と呼ばれるだけのことはある! あれでS級魔術を破るとは、見事だ」
私は手をエターナに向けて伸ばしたまま、言い放った。
「すべてお見通しってわけか……さすがだ。いかにも、私はA級魔術―加速する崩壊を使った」
思った通りだ! こいつほんとにちょろい!
にひひ、ちょっと知ったかぶりをすると、こいつは俺のことを買いかぶってなんでもかんでも話してくれる。
にしても、しゃべるときにポーズを取る必要なんてあったかな。
どうも一心同体・Ver.隕石を発動したあと、俺はむしょうにパフォーマンスにこだわるようになった。
これじゃ、あのキザで可哀想なセロと一緒じゃないか!?
勘弁してくれよ……
で? エターナよ、どうせ聞いてもないのに色々としゃべってくれるだろう?
続きをどうぞ?
「知っての通り、私の魔力の性質は『崩壊』。私は崩壊魔術を司る」
知らんがな。
ほら見ろ、自分からぺらぺらとしゃべってきた。
「加速する崩壊は物質の自然崩壊を加速させる魔術で、隕石なんて不安定なものを対処するのにそれで物足りる」
ふむふむ、なるほどね……って、今の俺と相性最悪じゃないかよ!!
「そして、私は『五芒星』の中で唯一、魔力の性質を反転させる術を知っている」
魔力の性質を反転させることなんてできるの!?
あとでセレス先生に聞こう。
こいつっておしゃべりだけど、存在自身がめちゃくちゃ常識外れじゃん!!
「『崩壊』の対極は『永存』、私は『永存』の魔力で自分の細胞の老化を止め、永遠の命を手に入れた! そして、体内にある魔力に『永存』の性質を持たせ、魔力の自然消失を阻止し、使える魔力の量を莫大に増やした」
なるほど、こいつ人間やめてますね……ナチュラルに。
つまり、体内にある魔力の性質を『永存』にして、無駄な消費を防ぎ、魔術などに使う魔力は本来の『崩壊』の性質を利用しているということだね。
うん、分かった。
分かったけど、対処法はないけどね!
まじでどうしよう。セロの魔術の使い方知らないし。
もう、こうなったらやけだ!
俺のやり方でやろう!
えっと、こう、右手を前に出して、左手で右手の手首を掴んで固定し、魔力を分散させ……
いけ! 隕石散弾!!
私の右手から放出されるように、無数の隕石がエターナに向けて飛んでいく!
絶対破壊の隕石で呼び出した巨大な隕石はエターナの魔術にとって格好の餌食、すぐに崩壊させられて終わりだ。
でも、これなら、エターナもすべての隕石を捉えられないだろう。
この魔術の名前をたくさんの隕石にしようと思ったけど、ひねりがないからやめた。
パフォーマンスとして、魔術の名前も大事だもんね、うん。
って、やはり今の俺おかしいな……
さて、今頃エターナはズタボロになっているだろうな。
「崩壊せし空間!!」
エターナの詠唱とともに、彼に神速で近づいていく隕石がすべて粉々になって消え去った。
まじかよ……
勝たせてよ……
もうすぐ昼食の時間だろうが……
お腹空いたよ……
てか、魔術の名前からして、こいつも空間魔術が使えるの?
ふざけんなや!
「標的を一個に絞らせずに数を増やしてきたのはいい手だ。ほめてやろう」
めっちゃ上から目線だな。
ムカつく。
「ただ、貴様の攻撃はもう私に届くことはない」
「それってどういうこと? なぜお前は空間魔術が使えるんだ?」
聞いたら答えてくれそうだから、とりあえず聞いてみた。
ムカつくけど、便利なやつだ。
「ふふっ、今になってとぼけても無駄だよ。貴様がすべてを見通していることくらい、私には手に取るように分かる」
ふふっ、とぼけてなんかいないぜ? まじでなんも分かんない!
自慢じゃないけど。
「私が使ったのは空間魔術ではない。ただ高密度の『崩壊』の魔力を私の周囲にまんべんなく展開しているだけだ。私に触れようとするものはすべて崩壊する。これこそ私の最強の防御魔術!!」
俺が間違っていたよ。
ぶっちゃけ、エターナっておしゃべりなんだから、自分の魔術の仕組みとか色々しゃべらせとけば、そのうちこいつを倒す方法が浮かんでくると思っていた。
なのに、これってなに!?
絶望しか浮かんでこないんだけど!!
まったくこいつを倒せる気がしないんだけど!!
「今度は私の番だ」
そう言って、エターナは屈んで地面に手を付けた。
「永遠の崩壊!!」
大地が鳴り響き、地面が崩れだす。
割れた大地が、激しい振動とともに沈んでいく。
やがて、すべてが静まり返ったとき、俺のいた場所は巨大な空洞と化していた。
底が見えぬ、真っ暗な大地の空洞。
「まさか私のS級魔術から逃れられるとはな……」
てへっ! ほめられちゃった!
じゃねぇだろう!!
俺はというと、咄嗟にセロがやったように、隕石を顕現させ、それに乗って上空に飛んだ。それでやっとこの絶望的な災害からぎりぎり脱出できたんだ。
泣きそう……もう無理。
こんな化け物に勝てるわけないじゃん……セレス……
『ご主人様、呼んだ~?』
今ほど、セレスの声を聞いて嬉しいと思ったことはない。
『セレス!! 愛してる!!』
だから、思わず思念同調を通して愛を叫んだ。
『あら~ ご主人様、うれしい~ うちもご主人様のこと愛しているわ~』
『愛を伝えてる場合じゃないだろう!! セレス、お前の頭はお花畑か!?』
『いや、ご主人様が……』
『というか、コバエはもういいのか!?』
『うん、ちゃんとしつけたわ~』
『じゃ、早く助けろ!! エターナは化け物だ! このままじゃ俺死んじゃう!! 一心同体だ!!』
一心同体だったら、セレスの思考や戦闘のセンスが俺と共有されるから、きっとエターナとも同じ次元で戦える。
『ふふっ、ご主人様、違うでしょう? ご主人様は今セロの魔力も持っているから~』
ふふっって、流行ってんの?
それってつまりどういうこと?
一心同体・Ver.隕石が使えるだけじゃないの?
「わははははは」
思念同調を通して、セレスの思考が流れてきたとたん、俺は高笑いするのを禁じ得なかった。
「貴様、なにがおかしいんだ!?」
もはや雑魚の声は俺には届かないぜ!
『ご主人様、いくよ~?』
『おう!』
『『三位一体!!』』
すべてが止まってるように感じる。
長くなって目にかかった銀色に光っている前髪を手で弄ってみる。
『緋色の目』を通して、エターナの魔力がはっきりと見えて、それがとてつもないほど強力だと視覚的に認識できた。
なのに、微塵も恐怖を感じない。
体内で一体となった三種の魔力がほとばしる。
俺は空中に立っている。
さっきまで乗っていた隕石は空間のゆがみに耐え切れず崩れ去った。
周りの空間が歪みだし、まるでこの世にあらざる翼でも生えたかのように俺の背後の空間が隕石の紋様をなぞり真っ赤に光る。
「エターナよ、裁きの時間だ」
俺は淡々とエターナに死の宣告を下した。
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