せいげん

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何も見えない。
何も感じない。
ただただあることを思っていた。

気がつくと自分は家の中でリビングに突っ立ていた。いつもいるはずの家族がいない。代わりにいたのは、目の前に天井スレスレにまで届き、紫色の体をしたまるで漫画に出てくるような大きな怪物がこっちを見ていた。

必死に逃げた。逃げて逃げて逃げ続けた。家族は?あいつは何?そんなことを考える暇はなかった。わかることは、"あいつは人に触れただけで怪物に変える"。何故かわからない、けどそんな気がした。時刻は夕方だろうか、あたりが真っ赤に染まっている。道路にまで伸びた影が不気味に笑っているように見えた。数分走った、後ろを見ると怪物は追いかけてきていない。逃げ切ったとおもった、 しかしある一定の場所まで逃げると瞬間移動したようにいつのまにか家の中に戻っていた。

動揺はした。でもすぐに逃げた。逃げるしかなかった。それでもまたいつのまにか同じ場所で家に戻っていた。

考える暇はなく同じように逃げた。でも家の門を開けようとした直前、足が止まった。 いや、止めたのだ。ある思考が頭をよぎったからだ。
このまま逃げてもまた家に戻ってくるだけ、逃げても無駄なんだ、と。その時、家から
怪物が出てきてこっちへ迫ってきた、何故かゆっくりと歩いて。咄嗟に自分はこう言った、「なんでこんなことするんだよ」
怪物は答えない。
「何がしたいんだよ」
怪物は答えない。
手を伸ばせる距離まで近づかれたが、自分は逃げずに怪物を見ていた。逃げるのが嫌になった、楽になりたかった。そして右手を触られた。右手がブクブクと形を変える。
その様子を見た自分は、
「そういうことだったんだ」
と言い残して、目が覚めた。
今考えれば不思議に思う。最後の言葉は何?
いくら考えてもわからないけど何故かあの時あの言葉が出てきた。
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