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下校から始まる日常12
しおりを挟む莉湖
「ただ・・・」
莉湖は言葉を詰まらせる。
望
「どうしたんですか?」
莉湖
「小学5年生の時。辻さんのご両親は家に押し入った強盗に殺されました」
望
「・・・えっ?」
望は驚きのあまり言葉を失う。
莉湖
「辻さんがちょうど私の家に遊びに来ているときでした」
望
「そんな・・・」
莉湖
「私もお会いしたことがありますが、とても優しいご両親でした」
莉湖は涙を押し殺し、話を続ける。
莉湖
「それからの辻さんは魂が抜けたように誰とも関わらなくなりました。唯一私にだけは相談してくれましたが、とても明るく活発だった辻さんがやつれていく姿は本当に見ていられませんでした」
望は黙って聞くことしかできなかった。
莉湖
「そしてそのまま中学生になり、2年生の冬に突然、この非能性が私と辻さんに見られるようになりました。辻さんはとてもショックが大きかったようです。『親も殺されて、自分は人間ですらない』といつも言っていました」
話を聞いていた望の頬に、涙が流れる。
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