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下校から始まる日常13
しおりを挟む莉湖
「辻さんはずっと誰かに心を開くのを恐れていました。心を許した人がご両親のように、再び自分のそばから突然いなくなってしまうのではないかと思っていたようです」
望
「杏奈先輩が・・・」
莉湖
「祖父母の家に引き取られていた杏奈先輩は高校に進むことを拒んでいました。学費がかかるからと辻さんは言っていましたが、多分1人になりたかったんだと思います。ですが、私や祖父母のお2人が説得をして、なんとか私と麗鳳高校に入学しました」
望
「今の杏奈先輩からは想像もできないです」
莉湖
「私も高校に入学したところで、辻さんに変化があるとは思えませんでした。ですが」
莉湖は間を置く。
莉湖
「入学して間もなく、皆藤さんと出逢いました。皆藤さんが私たちに話をかけてきてくれた時は驚きました。みんな、私たちのことなんて見えていないものだと思ってましたから」
望
「蓮叶先輩、優しいですからねぇ」
莉湖
「そうですね。ただ、先ほども言ったように当時の辻さんは誰にも心を開こうとしませんでしたので、皆藤さんを無視し続けていました」
望
「えぇー、蓮叶先輩かわいそうぅ」
莉湖はまた話に間を開ける。
莉湖
「でも、皆藤さんは出逢った時から今の皆藤さんのままでした。辻さんに無視され続けても、辻さんに話しかけることをやめなかったんです。1ヶ月間ずっと」
望は驚く。
望
「1ヶ月ですかぁ!?」
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