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下校から始まる日常14
しおりを挟む莉湖
「そうです。ずっと皆藤さんは、何かある度に辻さんに話しかけていました。多分、内心辻さんも嬉しかったんだと思います。誰かに話しかけられるのが。でもある時、辻さんは無視をしても皆藤さんには意味が無いとわかるとある決心をしたんです」
望
「決心・・・ですか?」
莉湖
「はい。辻さんは皆藤さんの前で自分の力を見せたんです。私もその場にいましたが、辻さんはよほど辛かったと思います。自分に優しくしてくれた人に力を見せるのは」
望
「でも、蓮叶先輩もその時は力を持ってたんですよねぇ?」
莉湖
「そうです。本当に驚きました。私たち以外にも力を持っている人がいるなんて考えたこともなかったですから。私たちと同じ悩み苦しみを抱えていながら笑っていられる皆藤さんを見て辻さんは緊張の糸が解けたのか、その場で泣き崩れてしまいました」
望は黙って聞いている。
莉湖
「そして、辻さんは皆藤さんに自分の気持ちや起きた出来事を涙を流しながら全て伝えました」
莉湖は続ける。
莉湖
「その時に皆藤さんが言った言葉が、私はとても好きでした」
望
「なんて言ったんですか?」
莉湖は少し間を置く。
莉湖
「“今度は誰もいなくならないように、神様がこの力をくれたんだ”、“周りの人を守るために力を使おう”、“私も手伝うから”と」
望は驚いた。
望
「あの蓮叶先輩が、そんなことを・・・」
莉湖
「そうです。あの皆藤さんが言ったからこそ私はこの言葉が胸に刺さったんです。私以上に辻さんもそうですが。話が長くなってしまいましたが、この言葉が辻さんの中に残っている限り辻さんが私たちを見捨てるなんてことは絶対にありえません」
望
「そっかぁ、そうなんですねぇ。杏奈先輩も莉湖先輩も蓮叶先輩もみんなみんなかっこいいですねぇ!なんかさらに先輩たちとお近づきになれたみたいでよかったですぅ」
望はそう言って笑った。
望
「そこから仲良くなって一緒に『HHH』を作ったんですねぇ」
莉湖
「あ、いえ。それはまた別の話です」
望
「えぇ!まだ何かあるんですかぁ!?」
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