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「さあ。チェックメイト」
それを合図に戦いが始まった。大きく轟く銃声や叫び声。何も見えないから、何が行われているのか分からない。
「治君。気をつけろ。あいつの正面に行けば、即死亡……。まあ、死にたければ行ってもいいけどね。とにかく隙をつくんだ。いいね?」
「はい……!やってみます」
でも、暗闇でよく見えない。
「その程度の攻撃で終わりか。所詮、駆け出しの冒険者など、相手にならん。ここで、終わるまでだ」
バンッと銃声が鳴り響き、俺の頬に弾がかすった。ヤバい。マジで殺られる。しかし、いずみが殺られるよりはマシか。
「次こそ当てるぞ。田中治。この状況下でもノヴィアは相変わらずどこかに行っているようだが。仲間がどうとか言っていたのにな。残念だ。こんなにお前らが弱いとは思ってもみなかった。もう少しマシなゲームが出来ると思ったのにな……」
ああ。さようなら。俺の人生。異世界生活。もうここでチェックメイトらしい。
「サイレス……」
「な……」
ルイナの動きが止まった。
「治君。逃げるんだ。早く。このスキルは一瞬しか効かない」
どうやら、ユーリさんがスキルを使ってくれたらしい。しかし、本当に一瞬しか効かなかった。
「逃げても、逃がすことはしないぞ。お前なんぞすぐに捕まって全ておじゃんだ。さあ、この世界に別れの挨拶をする時間だ。さようならと」
「サイレス……サイレスサイレスサイレス!」
「一瞬しか効かないことを分かっていながら、尚そんな無謀な真似を。やめておけ。体力の無駄だ。見ているこっちが嫌になってくる」
ユーリさん……なんで幻想を見させないんだ!このままズルズル話が持っていかれるじゃないか!どうしよう……。俺がスキルを使うか?いや、ダメだ。スキルを使ったところで、動きが止まるわけでもないし……。いずみに頼んで……って捕まってるんだった!えっと……
「治君。いい方法がある。僕がサイレスで動きを止める。そうしたら、君がナイトメアの襲撃のときに覚えたウィップであいつを叩くんだ。いいかい?絶対に、動きを止めた後だからね?」
「はい。やってみます……!ユーリさんも頑張ってください」
「こらこら。人の心配よりまず先に、自分の心配をしたまえ。もし、僕が成功して、君が成功しなかったら身も蓋もないだろう?さあ。そろそろだ。いくぞ」
「はい……」
エクスカリバーを手に握りしめ、ユーリさんがスキルを発動させるのを待った。
「サイレス!」
ユーリさんがスキルを発動させた。と、同時に口を塞がれ、エクスカリバーを取り上げられた。
「捕獲成功……。言っただろう?人の心配よりまず先に自分の心配をしろって」
「な……ユーリさん……?どうして……」
「残念。君は最後まで気づかなかった。というより気づけなかった。最後まで僕の正体に気づけなかった。最後まで仲間を守れなかった。罪悪感で一杯かい?いいねぇ。その表情。そそられる。絶望に満たされた顔を間近で見るのは久しぶりだ。ゾクゾクするよ……。もっと……楽しませてはくれないかな?」
いや、罪悪感とかじゃなくて、まず自分の置かれている状況が分からない……。えっと、整理すると、ノヴィアのお姉さん兼受け付けのお姉さんのルイナさんが悪の組織的なあのフォールダークネスの幹部で、しかもそれにユーリさんがつるんでて……。ノヴィアはつるんでいないのか。よかった。死ぬのが俺だけで。
「なぜ笑っているのかなぁ。この状況下で。君は今から死ぬのに。死ぬのが怖くはないのかい?」
顔を近づけられ、聞かれる。俺は断じて腐男子ではないが、少しドキッとする。誰でも怖いさ。ユーリさんに俺の手を握らせる。どうでも良いが、ナイトはどこ行ったんだ?さっきから見当たらない。まあ、あいつは自称であろうと女神だ。女神が死んでしまっては、次に来る異世界の冒険者が何もないままスタートを切ってしまう。その点では、ナイトが人質に取られないでよかった。
「怖いです。凄く。震えてますよね?俺の手。人間は生きるか死ぬかしかないなんて、哀しい話だ……。あの、ナイトに会ったら……今まで本当面倒だったって、笑いながら言ってやってください……。でもあいつ、心配してないかもだけど」
「わかったよ。心配させないように後から逝かせてあげるさ」
ちっとも分かってないよ。ユーリさん。
「後から逝くとか逝かないとか、勝手に言わないでいただきたい。ユーリさん。あなたにとって死とはどうでも良いことかも知れないけれど……俺は、ナイトとかいずみとかノヴィアとかあのデブだって!……死んだら悲しいです。辛いです。だから……!せめて俺が死ぬ!その代わり、いずみを解放してください」
「ダメなのです!治!死んじゃ……!」
「黙れ。人質がギャーギャー騒ぐな」
せっかくのいずみの叫びも、ルイナに止められた。ああ。ここで終わりか。短かった。
「いずみ……。ありがとな」
銃声が鳴り、俺は異世界生活の幕を降ろした。
******
大分重かったですね……。いやはや、暗い気持ちになるなぁ。もう少しで最終回です。もとは1週間くらいの短編にしよう!と思ってたんですが……。楽しくてですね。終わり方をまだ考え中ですが、重くないようにしていきたいです。
それを合図に戦いが始まった。大きく轟く銃声や叫び声。何も見えないから、何が行われているのか分からない。
「治君。気をつけろ。あいつの正面に行けば、即死亡……。まあ、死にたければ行ってもいいけどね。とにかく隙をつくんだ。いいね?」
「はい……!やってみます」
でも、暗闇でよく見えない。
「その程度の攻撃で終わりか。所詮、駆け出しの冒険者など、相手にならん。ここで、終わるまでだ」
バンッと銃声が鳴り響き、俺の頬に弾がかすった。ヤバい。マジで殺られる。しかし、いずみが殺られるよりはマシか。
「次こそ当てるぞ。田中治。この状況下でもノヴィアは相変わらずどこかに行っているようだが。仲間がどうとか言っていたのにな。残念だ。こんなにお前らが弱いとは思ってもみなかった。もう少しマシなゲームが出来ると思ったのにな……」
ああ。さようなら。俺の人生。異世界生活。もうここでチェックメイトらしい。
「サイレス……」
「な……」
ルイナの動きが止まった。
「治君。逃げるんだ。早く。このスキルは一瞬しか効かない」
どうやら、ユーリさんがスキルを使ってくれたらしい。しかし、本当に一瞬しか効かなかった。
「逃げても、逃がすことはしないぞ。お前なんぞすぐに捕まって全ておじゃんだ。さあ、この世界に別れの挨拶をする時間だ。さようならと」
「サイレス……サイレスサイレスサイレス!」
「一瞬しか効かないことを分かっていながら、尚そんな無謀な真似を。やめておけ。体力の無駄だ。見ているこっちが嫌になってくる」
ユーリさん……なんで幻想を見させないんだ!このままズルズル話が持っていかれるじゃないか!どうしよう……。俺がスキルを使うか?いや、ダメだ。スキルを使ったところで、動きが止まるわけでもないし……。いずみに頼んで……って捕まってるんだった!えっと……
「治君。いい方法がある。僕がサイレスで動きを止める。そうしたら、君がナイトメアの襲撃のときに覚えたウィップであいつを叩くんだ。いいかい?絶対に、動きを止めた後だからね?」
「はい。やってみます……!ユーリさんも頑張ってください」
「こらこら。人の心配よりまず先に、自分の心配をしたまえ。もし、僕が成功して、君が成功しなかったら身も蓋もないだろう?さあ。そろそろだ。いくぞ」
「はい……」
エクスカリバーを手に握りしめ、ユーリさんがスキルを発動させるのを待った。
「サイレス!」
ユーリさんがスキルを発動させた。と、同時に口を塞がれ、エクスカリバーを取り上げられた。
「捕獲成功……。言っただろう?人の心配よりまず先に自分の心配をしろって」
「な……ユーリさん……?どうして……」
「残念。君は最後まで気づかなかった。というより気づけなかった。最後まで僕の正体に気づけなかった。最後まで仲間を守れなかった。罪悪感で一杯かい?いいねぇ。その表情。そそられる。絶望に満たされた顔を間近で見るのは久しぶりだ。ゾクゾクするよ……。もっと……楽しませてはくれないかな?」
いや、罪悪感とかじゃなくて、まず自分の置かれている状況が分からない……。えっと、整理すると、ノヴィアのお姉さん兼受け付けのお姉さんのルイナさんが悪の組織的なあのフォールダークネスの幹部で、しかもそれにユーリさんがつるんでて……。ノヴィアはつるんでいないのか。よかった。死ぬのが俺だけで。
「なぜ笑っているのかなぁ。この状況下で。君は今から死ぬのに。死ぬのが怖くはないのかい?」
顔を近づけられ、聞かれる。俺は断じて腐男子ではないが、少しドキッとする。誰でも怖いさ。ユーリさんに俺の手を握らせる。どうでも良いが、ナイトはどこ行ったんだ?さっきから見当たらない。まあ、あいつは自称であろうと女神だ。女神が死んでしまっては、次に来る異世界の冒険者が何もないままスタートを切ってしまう。その点では、ナイトが人質に取られないでよかった。
「怖いです。凄く。震えてますよね?俺の手。人間は生きるか死ぬかしかないなんて、哀しい話だ……。あの、ナイトに会ったら……今まで本当面倒だったって、笑いながら言ってやってください……。でもあいつ、心配してないかもだけど」
「わかったよ。心配させないように後から逝かせてあげるさ」
ちっとも分かってないよ。ユーリさん。
「後から逝くとか逝かないとか、勝手に言わないでいただきたい。ユーリさん。あなたにとって死とはどうでも良いことかも知れないけれど……俺は、ナイトとかいずみとかノヴィアとかあのデブだって!……死んだら悲しいです。辛いです。だから……!せめて俺が死ぬ!その代わり、いずみを解放してください」
「ダメなのです!治!死んじゃ……!」
「黙れ。人質がギャーギャー騒ぐな」
せっかくのいずみの叫びも、ルイナに止められた。ああ。ここで終わりか。短かった。
「いずみ……。ありがとな」
銃声が鳴り、俺は異世界生活の幕を降ろした。
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大分重かったですね……。いやはや、暗い気持ちになるなぁ。もう少しで最終回です。もとは1週間くらいの短編にしよう!と思ってたんですが……。楽しくてですね。終わり方をまだ考え中ですが、重くないようにしていきたいです。
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