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12.フォトコンテストの結果は……②
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どんよりしている私に気付いて、レナちゃんと真琳ちゃんはよろこぶのをやめてしまった。
「ご、ごめん、気をつかわせて……」
私は作った笑顔で、ふたりに声をかける。
「幸穂ちゃん、まだ最優秀賞の発表があります。あきらめちゃダメです」
「私をモデルにして選外なんて認めないから」
「……そうだよね、うん」
里吉くんはなにも言わなかったけど、力強くうなずいてくれた。
でも……選ばれた5枚の写真は、どれも目を奪われるような魅力があった。
私に、みんなの目を惹きつけるような魅力ある写真を撮れた自信はないよ……。
動画の中で、ひきつづき悠翔くんが話している。
『青春部門は、中高生のみなさんに送ってもらった中から選出しています。どれも、きらきらした青春を切り取って撮影してくれて、甲乙つけがたかったです。優秀賞からもれた人も、ぜひまたチャレンジしてほしいなと思います。では、最優秀賞の発表です』
落選しても、落ち込むのはよそう。たのしくケーキを食べて、もっと写真がじょうずになるよう練習して勉強すればいいんだから。
自分をなぐさめる言葉が、頭の中を高速で行き交う。
ふるえる指をおさえこむように、私は手をぎゅっと握った。
『最優秀賞は、こちらです』
再び悠翔くんが、うしろのスクリーンに手をあげる。
ぱっと写った写真は……。
「夕焼け空……」
あの日、夕焼け空の下で撮った私の写真だった。
驚きで、私は息をすることもまばたきさえも忘れた。
「幸穂さん!」
「幸穂ちゃん!」
「すごいじゃない、幸穂」
信じられなくて、なんとかまばたきをして、呼吸をして、画面を見つめる。
どうやら、見間違いでも似た写真でもなく、私が撮った里吉くんと真琳ちゃんの写真だ。
「わ、わ、わ……私の!」
「おめでとう幸穂さん!」
「すごいです、幸穂ちゃん」
里吉くんが、私の手をつかんでぶんぶん振る。レナちゃんが抱きついてきて、真琳ちゃんは相変わらずクールにシャンパンを飲んでいて。
すごいことが、起きてしまったかも!
『実は最優秀賞の写真を送ってくれた「ゆっちゃん」さんは、ぼくのイトコで』
悠翔くんの声に、私たちはぴたりと静かになる。
何を言うのかな? 身内だからひいきした、なんて言わないよね?
私は急に、全身の血の気がひいていくのを感じた。
いやだよ、ひいきされた最優秀賞なんて……。
悠翔くんがなにを言うのか。じっとタブレットの中の姿を見つめる。
『今日の最終選考会で、ほかの審査員のみなさんに「この写真を撮った人は、ぼくのイトコなので審査できません」とお伝えしました。とてもすばらしい写真だけれど、ぼくが審査をすると身内びいきになってしまい、公平に審査できないと思ったので。でも、みなさんが「最優秀賞にふさわしい」と言ってくださったので、最優秀賞に選出しました。けして身内びいきではありません』
会場内や審査員席に座る人に視線を向けていた悠翔くんは、そこで言葉を区切ってカメラ目線になった。
『文句なしの最優秀賞です。おめでとう、ゆっちゃん!』
悠翔くんの言葉に、私は涙があふれてきた。
うれしい!
「よかったね、幸穂さん」
「ありがとう、里吉くん」
認められたこともうれしい。でも、いっしょに写真を撮って、発表をよろこんでくれる友だちができたことも、すごくうれしい!
『続きまして、風景部門の結果発表にうつります。発表は写真家の――』
青春部門の発表は終わったみたい。
私たちは、ほかの部門の受賞写真を見ながらケーキでお祝いした!
大人が撮る写真は私たちとは別格のすばらしさだった。ここまで到達するにはどれくらいの時間がかかるんだろう。
でも、大人には出せない青春写真を撮れたんじゃないかなって思うよ。私たちには、私たちにしか撮れない写真があるはずだから。
「ご、ごめん、気をつかわせて……」
私は作った笑顔で、ふたりに声をかける。
「幸穂ちゃん、まだ最優秀賞の発表があります。あきらめちゃダメです」
「私をモデルにして選外なんて認めないから」
「……そうだよね、うん」
里吉くんはなにも言わなかったけど、力強くうなずいてくれた。
でも……選ばれた5枚の写真は、どれも目を奪われるような魅力があった。
私に、みんなの目を惹きつけるような魅力ある写真を撮れた自信はないよ……。
動画の中で、ひきつづき悠翔くんが話している。
『青春部門は、中高生のみなさんに送ってもらった中から選出しています。どれも、きらきらした青春を切り取って撮影してくれて、甲乙つけがたかったです。優秀賞からもれた人も、ぜひまたチャレンジしてほしいなと思います。では、最優秀賞の発表です』
落選しても、落ち込むのはよそう。たのしくケーキを食べて、もっと写真がじょうずになるよう練習して勉強すればいいんだから。
自分をなぐさめる言葉が、頭の中を高速で行き交う。
ふるえる指をおさえこむように、私は手をぎゅっと握った。
『最優秀賞は、こちらです』
再び悠翔くんが、うしろのスクリーンに手をあげる。
ぱっと写った写真は……。
「夕焼け空……」
あの日、夕焼け空の下で撮った私の写真だった。
驚きで、私は息をすることもまばたきさえも忘れた。
「幸穂さん!」
「幸穂ちゃん!」
「すごいじゃない、幸穂」
信じられなくて、なんとかまばたきをして、呼吸をして、画面を見つめる。
どうやら、見間違いでも似た写真でもなく、私が撮った里吉くんと真琳ちゃんの写真だ。
「わ、わ、わ……私の!」
「おめでとう幸穂さん!」
「すごいです、幸穂ちゃん」
里吉くんが、私の手をつかんでぶんぶん振る。レナちゃんが抱きついてきて、真琳ちゃんは相変わらずクールにシャンパンを飲んでいて。
すごいことが、起きてしまったかも!
『実は最優秀賞の写真を送ってくれた「ゆっちゃん」さんは、ぼくのイトコで』
悠翔くんの声に、私たちはぴたりと静かになる。
何を言うのかな? 身内だからひいきした、なんて言わないよね?
私は急に、全身の血の気がひいていくのを感じた。
いやだよ、ひいきされた最優秀賞なんて……。
悠翔くんがなにを言うのか。じっとタブレットの中の姿を見つめる。
『今日の最終選考会で、ほかの審査員のみなさんに「この写真を撮った人は、ぼくのイトコなので審査できません」とお伝えしました。とてもすばらしい写真だけれど、ぼくが審査をすると身内びいきになってしまい、公平に審査できないと思ったので。でも、みなさんが「最優秀賞にふさわしい」と言ってくださったので、最優秀賞に選出しました。けして身内びいきではありません』
会場内や審査員席に座る人に視線を向けていた悠翔くんは、そこで言葉を区切ってカメラ目線になった。
『文句なしの最優秀賞です。おめでとう、ゆっちゃん!』
悠翔くんの言葉に、私は涙があふれてきた。
うれしい!
「よかったね、幸穂さん」
「ありがとう、里吉くん」
認められたこともうれしい。でも、いっしょに写真を撮って、発表をよろこんでくれる友だちができたことも、すごくうれしい!
『続きまして、風景部門の結果発表にうつります。発表は写真家の――』
青春部門の発表は終わったみたい。
私たちは、ほかの部門の受賞写真を見ながらケーキでお祝いした!
大人が撮る写真は私たちとは別格のすばらしさだった。ここまで到達するにはどれくらいの時間がかかるんだろう。
でも、大人には出せない青春写真を撮れたんじゃないかなって思うよ。私たちには、私たちにしか撮れない写真があるはずだから。
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