魔剣少女と契約した低血圧系魔術師、実は  の生まれ変わりでした?魔導学園で学生と講師を両立しながら何とか生きていこうと思います。

精神感応4

文字の大きさ
7 / 268
第一章「運命は突然に」

第7話 運命は突然に

しおりを挟む
 美しい。そんな陳腐な感想しか出てこなかった。眼に映ったのは一人の少女。小柄でスレンダーな肢体。夜闇を織ったような純黒の髪は床につきそうなほど長い。

 顔は陶人形のように整っていて人間とは思えない。そしてその瞳。真紅の瞳。紅玉の如き瞳。双魔の心はその瞳に奪い去られた。右眼は髪で隠れていて見えないがその隠れた右眼に何かを感じたような気がした。

 「とりあえず座ったらどうじゃ?」

 学園長の声で我に返った。無意識のうちに立っていたようだ。それほどまでの衝撃を少女は双魔に与えたのだ。

 学園長の言葉に従って双魔はソファーに座りなおした。少女は不思議そうにこちらを見つめている。

 「こちらに来なさい」

 学園長に呼ばれると少女はトテトテと歩いてこちらにやってくる。

 「彼はどうじゃ?ん?」

 学園長がそう言うと少女が双魔のそばまでやってくる。そして双魔を見定めるかのように見まわしはじめる。ぐるぐるぐるぐると双魔の周りを回る。

 しばらくそうしてから今度は膝に乗って双魔の髪の毛を草むらで何かを探すかのようにクシャクシャにする。

 それには満足したのか双魔の顔をペタペタと触りはじめた。何が何だかわからないが好きなようにさせてやれと学園長が目で語っているので双魔は少女になされるがままになっている。

 それからしばらく顔を触られ続けた。どれくらい時が経ったか分からない。兎に角長く感じる。
 学園長室に来た時にはまだ空の上の方にいたはずの太陽もいつの間にか地に落ちてきてガラス張りの窓からは斜陽が差し込み部屋が黄昏に染め上げられる。

 ボーっとし始めた時だった。膝の上の少女が両手で双魔の頬を挟み込んで双魔の目を覗き込んだ。双魔の青い瞳には少女の赤い瞳が、少女の赤い瞳には双魔の青い瞳が映る。

 見つめ合うこと数瞬。少女は口を開く。

 「お主……名は?」

 澄んだ声が鈴の音のように響き渡った。

 「……伏見……双魔」
 「そうま……そーま…………うむ、ソーマだな。気に入った!」

 今まで静かで無表情だった少女がにぱっと顔を綻ばせ明るい声を察したので双魔は呆気にとられる。

 「は?気に入ったって……んむっ!?」

 そしてその一瞬の隙を突かれて少女に唇を奪われた。唇と唇が触れるだけの軽いキス。にも関わらず触れた瞬間に双魔の身体に変化が起きる。

 (!?!?)

  触れ合っている唇から何かが流れ込んでくる。少女の魔力、冷たい魔力の奔流が身体に押し寄せる身体に何かが新しく書き込まれるような感覚が駆け巡る。

 しかし嫌な感覚ではない。拒否感はないし反応もない。冷たい魔力だが凍てつかせるものではなく微熱をゆっくりと冷ますような優しい冷たさ。魔力は流れ続け二人の身体は紅い光に包まれる。

 やがて光は双魔の右手に収束して霧散した。右手の甲には雪の結晶のような紅い紋様が刻まれている。”聖呪印”、遺物と契約している証だ。

 少女の顔がゆっくりと離れていく。眼を白黒させる双魔を見て少女はもう一度にぱっと笑った。

 「我が名はティルフィング!ソーマ、今日より其方は我が契約者だ!よろしく頼むぞ!」

 伏見双魔、十七歳。運命は静かに、激しく、大胆に動き始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

霊力ゼロの陰陽師見習い

三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。 ……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」 その言葉は、もう何度聞いたか分からない。 霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。 周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。 同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。 ――俺だけが、何もできない。 反論したい気持ちはある。 でも、できない事実は変わらない。 そんな俺が、 世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて―― この時は、まだ知る由もなかった。 これは―― 妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる

書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。 鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。 だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。 その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。 俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。 ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。 なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...