魔剣少女と契約した低血圧系魔術師、実は  の生まれ変わりでした?魔導学園で学生と講師を両立しながら何とか生きていこうと思います。

精神感応4

文字の大きさ
8 / 268
第二章「若き魔術講師」

第8話 来客の予兆

しおりを挟む
 大日本皇国、東京、霞ヶ関。時刻は丑三つ時、街は昼間の喧騒が嘘のように静まり返っているが日々国政に身を砕く官僚たちは働いているのか各省庁のビルには灯がともっている。

 その中に赤レンガ造りのビルの森にはそぐわないとも思えるレトロな建物が建っている。“霞ヶ関の女王”と称される旧法務省である。

 近年、法務省は隣に新しく建てられたビルに引っ越しをしたはずなのだが何故かこの時間に明かりがついている。理由は簡単で引っ越しをせずにそのまま残った部署があるからだ。

 大日本皇国法務省公安調査庁対魔導課。通称“対魔課”旧法務省に残った部署の名である。ここでは魔導犯罪やテロを未然に防ぐべく国家資格を有する魔術師や陰陽師たちが日夜働いている。

 「この前のテロの情報についてはどうなってる!」
 「ロシアのIMF参加で諜報組織の活動に変化は!」
 「中国の過激派窃盗団が密入国だ!?入管はなにしてんだ!」

 夜にも関わらず実に騒がしい。そんな中、座り心地の悪そうなオフィスチェアに背を預けマグカップに淹れた緑茶を啜る若い男がいる。机上札には「次席」の文字。

 「次席、この案件についてですが……」
 「ああ、そのまま進めて構いません」
 「次席、祈年祭の警護の際の陰陽寮との打ち合わせのアポが来ています」
 「分かりました。対応しておきます」
 「こちらの案件についてなのですが……」

 部下が引っ切り無しにやってくる。緑茶が冷めないうちに昨日までにすべての仕事を片付けて綺麗にしたはずのデスクに書類の山ができる。

 (そろそろ休暇が欲しいな……)

 男はそんなことを考える。現実逃避だ。年末年始は宮中の儀式も多くなるため繁忙期だ。直近一か月は自宅に帰れていない。

 (まあ、そんなこと考えても仕事は減らないし……)

 マグカップを置いて仕事を再開しようとしたその時だった。

 「次席!次席!大変です!」

 一人の部下が部屋に駆け込んできた。あまりの慌てように一瞬で場が静かになる。

 「どうしました?」

 彼は確か欧州方面の担当者だったはずだ。相手を落ち着かせるためにも冷静に用件を聞いた。部下が耳元に口を寄せてくる。

 「今、ブリタニアから我が国の留学生が新たに神話級遺物と契約したとの情報が……」
 「何ですって?」

 そのような大事があればどこかしらから事前に通達があってもいいはずだがその知らせはまさに青天の霹靂だった。

 「詳細は?」
 「詳しい情報は……まだ入ってきていません」
 「そうですか……」

 この情報は実に厄介だ、事態がどう変化するか予想がつかない上に現地の職員にも荷が重い。判断は一瞬だった。立ち上がると背もたれに掛けていたジャケットを羽織りコート掛けから帽子とコートを手に取った。

 「申し訳ありませんが今から数日空けます!火急の案件は僕に連絡してください。此方から指示します。その他の案件は各自で判断して動いてください。責任は僕が取ります。では」

 そう言い残して素早く外に出る。

 「タクシー……いや、自分の足の方が速いな」

 足に魔力を集中させる。

 「オン・イダテイタ・モコテイタ・ソワカ」

 一言何やら唱えると、常人とは思えない脚力で飛び上がる。

 男の影は空港方面に向かって風を切り裂きながら都会の闇に消えていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

霊力ゼロの陰陽師見習い

三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。 ……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」 その言葉は、もう何度聞いたか分からない。 霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。 周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。 同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。 ――俺だけが、何もできない。 反論したい気持ちはある。 でも、できない事実は変わらない。 そんな俺が、 世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて―― この時は、まだ知る由もなかった。 これは―― 妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる

書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。 鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。 だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。 その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。 俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。 ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。 なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...