魔剣少女と契約した低血圧系魔術師、実は  の生まれ変わりでした?魔導学園で学生と講師を両立しながら何とか生きていこうと思います。

精神感応4

文字の大きさ
250 / 268
第三章「たくさん食べる女の子は嫌い?」

第248話 何となく重い腰

しおりを挟む
 「…………そろそろか……よっと……」

 評議会室で新しく提出された書類を確認していた双魔は時計を見ると少し重く感じる腰を上げて立ち上がった。
 窓の外は陽が地平線に沈みはじめ暗くなり、灯がついていた。

 約束に基づいて今日からしばらく夕方にロザリンを迎えに行き、日付が変わる一、二時間前後までを共に過ごす予定だ。

 昨夜は約束を交わし、双魔が食事を終えると解散となった。因みにロザリンは双魔がパスタを食べ終えるまでの間にちゃっかりとデザートを五品ほど平らげていた。

 酔いつぶれていたゲイボルグも目を覚ますと双魔が自分の要望に応じたことに感謝して、激しく尻尾を振って喜びを露にしていた。

 『送っていきましょうか?女性の夜歩きは危ないですから…………』
 『……ううん、大丈夫。それより、家で待ってる後輩君の契約遺物……たしか、ティルフィングだったかな?のために帰ってあげるといいよ』
 『……そうですか』
 『ヒッヒッヒ!双魔!本当に恩に着るぜ!明日からよろしくな!』
 『うん、それじゃあ、また明日』

 そう言って踵を返したロザリンの横顔は一瞬、笑っているように見えた。そして、何処か軽い足取りで去っていく一人と一柄を双魔はAnnaの店先で見送った。

 家に帰るといつものようにティルフィングが玄関で飛びついてきた。

 連絡が遅くなったお詫びにセオドアに包んでもらった三人分のケーキを渡すとティルフィングは目を輝かせ、左文がお茶を用意した。

 しばらくの間、ロザリンに付き合うことになった由と夕食を外で取ることを伝えると三人は了承してくれたが反応はそれぞれだった。

 『ソーマ、我もついていってもいいのか?』
 『ん…………聞いてみないと分からないな』
 『そうか……むう……』

 少し寂し気なティルフィングを抱き寄せてくしゃくしゃと頭を撫でてやる。

 『ムフフ……ソーマ、くすぐったいぞ!』
 『…………坊ちゃま、くれぐれもお身体はお大事に』
 『ん、気をつける。それに毎日、家には帰ってくるからな。そんなに心配することもないだろ』
 『坊ちゃまの心配をするのが私の仕事ですので』
 『ははは…………』

 そう言って眉を八の字にする左文はいつも通りだった。

 そして、一番反応が気になっていた鏡華だが…………。

 『そ、ええんやないの?うちは別に双魔のこと束縛する気なんてあらへんから。まあ、左文はんも言うたけど身体には気いつけてな?』
 『あ、ああ…………』

 思っていた反応と違い随分素っ気ない様子に内心何を言い出すかと身構えていた双魔は胸を撫で下ろしたのだが、やはり鏡華は一筋縄ではいかなかった。

 『それで……その議長はんって女の人やったよね?』
 『ん?ああ、そうだけど…………何だよ……』

 鏡華は双魔に満面の笑みを浮かべていた。ついこの間、イサベルの一件の際に見せたあの悪戯っぽい笑みだ。

 『ほほほほ!双魔……別にうちは何人になっても構へんよ?』
 『…………いや、今回はそう言うのじゃないからな?』
 『そ?双魔がそう言うんやったらそうなんやろけど…………どうなるかは分からへんよ?ふふふふ』
 『…………』
 『む?ソーマ、むずかしそうな顔をしてどうしたのだ?』
 『ん?……いや、何でもない』
 『ほほほほほ!』

 何故か楽しそうに笑う鏡華を見て、胸の中に浮かび上がった、消えかけていた小さな、小さな面倒の予感が浮かび上がるのを、双魔はティルフィングの触り心地のいい黒髪を撫でて誤魔化すのだった。

 「あれ?双魔、何処か行くの?そう言えば昨日はどうしたの?良かったら教えて欲しいな!」

 双魔が立ち上がって動かないことが気になったのか隣の机で作業をしていたアッシュがいつもの如く人懐っこく声を掛けてきた。

 アッシュには昨日起きたことを話せてはいないがもう約束の時間だ。行かなくてはならない。

 「すまん、また後で話す。もし俺が戻って来なかったら部屋は閉めていいから。アッシュ、フェルゼン頼む」
 「あっ!双魔!ちょっと!」
 「おう、任された!」

 引き留めようとするアッシュに振り向くことなく、双魔はいつものフラフラとした足取りで評議会室から出ていってしまった。

 「もうっ!双魔ったら!」
 「双魔もわざとか知らないがやる気がなさそうに見える割にはしっかりと仕事をこなすし色々と忙しそうだ、仕方ないだろう。ハハハハハ!」
 「アッシュ先輩これ終わりました。拗ねていないで早く確認をお願いします。あと、フェルゼン先輩はうるさいです」
 「っ!別に拗ねてないよ!」
 「おっと、すまん、シャーロットは手厳しいな」

 膨れっ面のアッシュ、爽やかな笑い声をフェルゼン、淡々と仕事をこなすシャーロット。

 遺物科評議会はロザリンと双魔が欠けても十分賑やかなのだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

霊力ゼロの陰陽師見習い

三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。 ……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」 その言葉は、もう何度聞いたか分からない。 霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。 周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。 同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。 ――俺だけが、何もできない。 反論したい気持ちはある。 でも、できない事実は変わらない。 そんな俺が、 世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて―― この時は、まだ知る由もなかった。 これは―― 妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる

書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。 鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。 だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。 その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。 俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。 ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。 なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...