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第三章「たくさん食べる女の子は嫌い?」
第248話 何となく重い腰
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「…………そろそろか……よっと……」
評議会室で新しく提出された書類を確認していた双魔は時計を見ると少し重く感じる腰を上げて立ち上がった。
窓の外は陽が地平線に沈みはじめ暗くなり、灯がついていた。
約束に基づいて今日からしばらく夕方にロザリンを迎えに行き、日付が変わる一、二時間前後までを共に過ごす予定だ。
昨夜は約束を交わし、双魔が食事を終えると解散となった。因みにロザリンは双魔がパスタを食べ終えるまでの間にちゃっかりとデザートを五品ほど平らげていた。
酔いつぶれていたゲイボルグも目を覚ますと双魔が自分の要望に応じたことに感謝して、激しく尻尾を振って喜びを露にしていた。
『送っていきましょうか?女性の夜歩きは危ないですから…………』
『……ううん、大丈夫。それより、家で待ってる後輩君の契約遺物……たしか、ティルフィングだったかな?のために帰ってあげるといいよ』
『……そうですか』
『ヒッヒッヒ!双魔!本当に恩に着るぜ!明日からよろしくな!』
『うん、それじゃあ、また明日』
そう言って踵を返したロザリンの横顔は一瞬、笑っているように見えた。そして、何処か軽い足取りで去っていく一人と一柄を双魔はAnnaの店先で見送った。
家に帰るといつものようにティルフィングが玄関で飛びついてきた。
連絡が遅くなったお詫びにセオドアに包んでもらった三人分のケーキを渡すとティルフィングは目を輝かせ、左文がお茶を用意した。
しばらくの間、ロザリンに付き合うことになった由と夕食を外で取ることを伝えると三人は了承してくれたが反応はそれぞれだった。
『ソーマ、我もついていってもいいのか?』
『ん…………聞いてみないと分からないな』
『そうか……むう……』
少し寂し気なティルフィングを抱き寄せてくしゃくしゃと頭を撫でてやる。
『ムフフ……ソーマ、くすぐったいぞ!』
『…………坊ちゃま、くれぐれもお身体はお大事に』
『ん、気をつける。それに毎日、家には帰ってくるからな。そんなに心配することもないだろ』
『坊ちゃまの心配をするのが私の仕事ですので』
『ははは…………』
そう言って眉を八の字にする左文はいつも通りだった。
そして、一番反応が気になっていた鏡華だが…………。
『そ、ええんやないの?うちは別に双魔のこと束縛する気なんてあらへんから。まあ、左文はんも言うたけど身体には気いつけてな?』
『あ、ああ…………』
思っていた反応と違い随分素っ気ない様子に内心何を言い出すかと身構えていた双魔は胸を撫で下ろしたのだが、やはり鏡華は一筋縄ではいかなかった。
『それで……その議長はんって女の人やったよね?』
『ん?ああ、そうだけど…………何だよ……』
鏡華は双魔に満面の笑みを浮かべていた。ついこの間、イサベルの一件の際に見せたあの悪戯っぽい笑みだ。
『ほほほほ!双魔……別にうちは何人になっても構へんよ?』
『…………いや、今回はそう言うのじゃないからな?』
『そ?双魔がそう言うんやったらそうなんやろけど…………どうなるかは分からへんよ?ふふふふ』
『…………』
『む?ソーマ、むずかしそうな顔をしてどうしたのだ?』
『ん?……いや、何でもない』
『ほほほほほ!』
何故か楽しそうに笑う鏡華を見て、胸の中に浮かび上がった、消えかけていた小さな、小さな面倒の予感が浮かび上がるのを、双魔はティルフィングの触り心地のいい黒髪を撫でて誤魔化すのだった。
「あれ?双魔、何処か行くの?そう言えば昨日はどうしたの?良かったら教えて欲しいな!」
双魔が立ち上がって動かないことが気になったのか隣の机で作業をしていたアッシュがいつもの如く人懐っこく声を掛けてきた。
アッシュには昨日起きたことを話せてはいないがもう約束の時間だ。行かなくてはならない。
「すまん、また後で話す。もし俺が戻って来なかったら部屋は閉めていいから。アッシュ、フェルゼン頼む」
「あっ!双魔!ちょっと!」
「おう、任された!」
引き留めようとするアッシュに振り向くことなく、双魔はいつものフラフラとした足取りで評議会室から出ていってしまった。
「もうっ!双魔ったら!」
「双魔もわざとか知らないがやる気がなさそうに見える割にはしっかりと仕事をこなすし色々と忙しそうだ、仕方ないだろう。ハハハハハ!」
「アッシュ先輩これ終わりました。拗ねていないで早く確認をお願いします。あと、フェルゼン先輩はうるさいです」
「っ!別に拗ねてないよ!」
「おっと、すまん、シャーロットは手厳しいな」
膨れっ面のアッシュ、爽やかな笑い声をフェルゼン、淡々と仕事をこなすシャーロット。
遺物科評議会はロザリンと双魔が欠けても十分賑やかなのだった。
評議会室で新しく提出された書類を確認していた双魔は時計を見ると少し重く感じる腰を上げて立ち上がった。
窓の外は陽が地平線に沈みはじめ暗くなり、灯がついていた。
約束に基づいて今日からしばらく夕方にロザリンを迎えに行き、日付が変わる一、二時間前後までを共に過ごす予定だ。
昨夜は約束を交わし、双魔が食事を終えると解散となった。因みにロザリンは双魔がパスタを食べ終えるまでの間にちゃっかりとデザートを五品ほど平らげていた。
酔いつぶれていたゲイボルグも目を覚ますと双魔が自分の要望に応じたことに感謝して、激しく尻尾を振って喜びを露にしていた。
『送っていきましょうか?女性の夜歩きは危ないですから…………』
『……ううん、大丈夫。それより、家で待ってる後輩君の契約遺物……たしか、ティルフィングだったかな?のために帰ってあげるといいよ』
『……そうですか』
『ヒッヒッヒ!双魔!本当に恩に着るぜ!明日からよろしくな!』
『うん、それじゃあ、また明日』
そう言って踵を返したロザリンの横顔は一瞬、笑っているように見えた。そして、何処か軽い足取りで去っていく一人と一柄を双魔はAnnaの店先で見送った。
家に帰るといつものようにティルフィングが玄関で飛びついてきた。
連絡が遅くなったお詫びにセオドアに包んでもらった三人分のケーキを渡すとティルフィングは目を輝かせ、左文がお茶を用意した。
しばらくの間、ロザリンに付き合うことになった由と夕食を外で取ることを伝えると三人は了承してくれたが反応はそれぞれだった。
『ソーマ、我もついていってもいいのか?』
『ん…………聞いてみないと分からないな』
『そうか……むう……』
少し寂し気なティルフィングを抱き寄せてくしゃくしゃと頭を撫でてやる。
『ムフフ……ソーマ、くすぐったいぞ!』
『…………坊ちゃま、くれぐれもお身体はお大事に』
『ん、気をつける。それに毎日、家には帰ってくるからな。そんなに心配することもないだろ』
『坊ちゃまの心配をするのが私の仕事ですので』
『ははは…………』
そう言って眉を八の字にする左文はいつも通りだった。
そして、一番反応が気になっていた鏡華だが…………。
『そ、ええんやないの?うちは別に双魔のこと束縛する気なんてあらへんから。まあ、左文はんも言うたけど身体には気いつけてな?』
『あ、ああ…………』
思っていた反応と違い随分素っ気ない様子に内心何を言い出すかと身構えていた双魔は胸を撫で下ろしたのだが、やはり鏡華は一筋縄ではいかなかった。
『それで……その議長はんって女の人やったよね?』
『ん?ああ、そうだけど…………何だよ……』
鏡華は双魔に満面の笑みを浮かべていた。ついこの間、イサベルの一件の際に見せたあの悪戯っぽい笑みだ。
『ほほほほ!双魔……別にうちは何人になっても構へんよ?』
『…………いや、今回はそう言うのじゃないからな?』
『そ?双魔がそう言うんやったらそうなんやろけど…………どうなるかは分からへんよ?ふふふふ』
『…………』
『む?ソーマ、むずかしそうな顔をしてどうしたのだ?』
『ん?……いや、何でもない』
『ほほほほほ!』
何故か楽しそうに笑う鏡華を見て、胸の中に浮かび上がった、消えかけていた小さな、小さな面倒の予感が浮かび上がるのを、双魔はティルフィングの触り心地のいい黒髪を撫でて誤魔化すのだった。
「あれ?双魔、何処か行くの?そう言えば昨日はどうしたの?良かったら教えて欲しいな!」
双魔が立ち上がって動かないことが気になったのか隣の机で作業をしていたアッシュがいつもの如く人懐っこく声を掛けてきた。
アッシュには昨日起きたことを話せてはいないがもう約束の時間だ。行かなくてはならない。
「すまん、また後で話す。もし俺が戻って来なかったら部屋は閉めていいから。アッシュ、フェルゼン頼む」
「あっ!双魔!ちょっと!」
「おう、任された!」
引き留めようとするアッシュに振り向くことなく、双魔はいつものフラフラとした足取りで評議会室から出ていってしまった。
「もうっ!双魔ったら!」
「双魔もわざとか知らないがやる気がなさそうに見える割にはしっかりと仕事をこなすし色々と忙しそうだ、仕方ないだろう。ハハハハハ!」
「アッシュ先輩これ終わりました。拗ねていないで早く確認をお願いします。あと、フェルゼン先輩はうるさいです」
「っ!別に拗ねてないよ!」
「おっと、すまん、シャーロットは手厳しいな」
膨れっ面のアッシュ、爽やかな笑い声をフェルゼン、淡々と仕事をこなすシャーロット。
遺物科評議会はロザリンと双魔が欠けても十分賑やかなのだった。
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