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#10
しおりを挟む「ちょっと、海翔っ! あんたってロリコンだったの? ヤダー、信じらんない! 未成年じゃないのよっ」
「はぁ!? そりゃ姉さんよりは、若くてピチピチしてっけど。 ロリコン呼ばわりすんなよ! 芽依は21だ!」
芽依の病室に姉さんに腕を引っ張られて入ってすぐ、 数ヵ月ぶりに逢った俺たち姉弟の交わした言葉は、 病室には似つかわしくないようなものだった。
俺は心から、 芽依が眠っててくれて良かったって…思ったくらいだ。
ったく、急に大きな声で何を言い出すかと思えば……。
さっきまで引っ張っていた俺の腕を、 まるで汚いものに触れてしまった時みたいに急いで振りほどくと。
良い歳したオバハンが可愛子ぶって、自分の身体を抱きしめるようにして、俺のことを変態でも見るような視線を向け、表情を思いっきり歪ませている。
俺の言ったことがまだ信じられないって感じで……。
まぁ、確かに、芽依は童顔で可愛いけど?
「ビックリした~。 でも、七つも違ったらロリコンだしっ! 一歩間違ったら犯罪じゃない。 驚かさないでよ~。
ねぇ、母さんや颯介さんが言ってた通りで、カワイイーじゃない! あんた、逃げられないようにしなさいよねぇ……。
わぁ! ほっぺなんてつるっつる~。 肌、超キレ~」
「ロリコンって言うなっ!」
「ハイハイ」
やっと俺の言葉を信用したのは良いが、さっきから芽依のベッドにくっついたまんまで、 少しも離れようとしないオバ…否、姉さん。
挙句の果てには、眠っている芽依の顔をペタペタと触りまくる始末。
本当にコイツって、俺の姉なんだろうかと疑いたくなってしまった。
まぁ、実際、父親は違うんだけども……。
あ、だからか?
イヤイヤイヤ、 姉さんと同類になんてなりたくねぇし!
呆れた俺は、 いつもの椅子に座って、姉さんに悪態をつきながら、芽依の寝顔をぼんやりと眺めていた。
「あれ? 今、動いたんだけど…」
「ん? 姉さんが触ったからじゃねぇの? あんま触んなよな。 バカがうつったら困るからさぁ」
「あー! ちょっと、今、瞼がピクピクッて動いたんだけどー!」
騒がしい姉さんの声を聞いた俺が芽依に近寄ると、 確かに瞼がピクピクと震えるように動くのが、 俺にもハッキリと見てとれた。
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