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*芽依side*
眠っていると、ふと誰かに名前を呼ばれたような気がして… 重たい瞼を上げ、辺りを見回してみても……。
まだ夜は明けていないようで、ただ真っ暗な暗闇がどこまでも広がっているだけだった。
もしかしたらまだ夢の中なのかな? なんて思いながらボーっとしてたら…
「芽依」
どこか遠くで、また誰かが私を呼んでる声が微かに聞こえてきた。
とっても愛しい人の声。
私の大好きな、 ーー落ち着いた低くて優しい声。
海翔の声だと解った瞬間、早く逢いたくて堪らなくなった。
なんとか重い瞼を押し上げると、視界一杯に海翔の顔がぼんやりと映し出された。
海翔?
どうして泣いてるの?
そう海翔に聞きたいのに、まだ目覚めたばかりだからなのか、視界はクリアになってきたのに、身体は凄く重くて動いてはくれなくて。
まだ頭もぼんやりとしていて、なんにも言えなくて。
ただ、海翔のあったかい腕に、優しく包み込むようにして抱きしめられていた。
そしたら、
「ちょっと、海翔、しっかりしなさいよねっ!
今ナースコールしたから、お医者様にちゃんと診て貰ってからそーいうことしなさいっ! 何かあったらどーすんのよっ!
あんたも一応動物の医者なんだから……。それくらい解るでしょ!」
お母さんが子供を叱りつけるような声が耳に流れ込んできた。
その声を聞いた途端、リカさんが言ってたことが蘇ってきた。
「あれ? 芽依ちゃんどうしたの? どこか痛いの?
ほら、芽依ちゃんが泣いてんじゃないのよっ!
海翔、ちょっと離れなさいっ!」
「…あぁ。 芽依、ごめん。大丈夫か?」
海翔が今も忍さんのことを好きなんだと思ったら、そのことで頭の中が独占されて、さっきまでの海翔の優しい声も、あったかい温もりまで消えてしまって、悲しくて堪らなくなって、涙が溢れて止まらなくなってしまった。
眠っていると、ふと誰かに名前を呼ばれたような気がして… 重たい瞼を上げ、辺りを見回してみても……。
まだ夜は明けていないようで、ただ真っ暗な暗闇がどこまでも広がっているだけだった。
もしかしたらまだ夢の中なのかな? なんて思いながらボーっとしてたら…
「芽依」
どこか遠くで、また誰かが私を呼んでる声が微かに聞こえてきた。
とっても愛しい人の声。
私の大好きな、 ーー落ち着いた低くて優しい声。
海翔の声だと解った瞬間、早く逢いたくて堪らなくなった。
なんとか重い瞼を押し上げると、視界一杯に海翔の顔がぼんやりと映し出された。
海翔?
どうして泣いてるの?
そう海翔に聞きたいのに、まだ目覚めたばかりだからなのか、視界はクリアになってきたのに、身体は凄く重くて動いてはくれなくて。
まだ頭もぼんやりとしていて、なんにも言えなくて。
ただ、海翔のあったかい腕に、優しく包み込むようにして抱きしめられていた。
そしたら、
「ちょっと、海翔、しっかりしなさいよねっ!
今ナースコールしたから、お医者様にちゃんと診て貰ってからそーいうことしなさいっ! 何かあったらどーすんのよっ!
あんたも一応動物の医者なんだから……。それくらい解るでしょ!」
お母さんが子供を叱りつけるような声が耳に流れ込んできた。
その声を聞いた途端、リカさんが言ってたことが蘇ってきた。
「あれ? 芽依ちゃんどうしたの? どこか痛いの?
ほら、芽依ちゃんが泣いてんじゃないのよっ!
海翔、ちょっと離れなさいっ!」
「…あぁ。 芽依、ごめん。大丈夫か?」
海翔が今も忍さんのことを好きなんだと思ったら、そのことで頭の中が独占されて、さっきまでの海翔の優しい声も、あったかい温もりまで消えてしまって、悲しくて堪らなくなって、涙が溢れて止まらなくなってしまった。
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